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さんのレビュー一覧

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書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.33pt

レビュー数3

全3件 1~3 1/1ページ

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No.3:
(5pt)

夜想曲の感想

 オルゴールのレストウである主人公は少々神経過敏なところがあるが妻と愛犬に支えられ、平和の日々を送っている。
彼のところには時代を経た名品のアンティークのものからペンダントに至るまで音を奏でなくなった様々なオルゴールが持ち込まれる。それらは持ち主が死に、残されたものに託されたものだ。主人公がそれらのオルゴールを一つ一つ細心に手掛け、本来の音楽を回復してていく過程の中で、故人の生前の秘密をオルゴールが主人公に語りかけてくる。主人公はオルゴールをもちこんだ家族の相続のトラブルにまきこまれたりもしながらも一つ一つの問題の解決に奔走する。そして、オルゴールの名曲も蘇ってくる。
 普段は忘れてはいても誰もが心をゆさぶられるオルゴールを通して、何気なく暮らす人々の心のひだを覗き込むような繊細でかつ大胆な物語。愛と詩情に包まれた美しいミステリー。
夜想曲
太田忠司夜想曲 についてのレビュー
No.2:
(6pt)

死の天使はドミノを倒すの感想

 この作家の著書は2冊目。文春から出版されていた事から、読んでみたくなった。人の世は日常的な暮らしの中に様々な死が隠れている。病死、事故死、自殺、人間的な死、と様々な死が明らかにされていく。この本では、どれもが残された人々と故人との繋がりの希薄さが伺われ、現代における、家族間の隙間風が明らかにされている。あびてr読みたくはない本だが、生きる指針が示されている。ラストのborn againがとても効果的です。
 文春と聞くだけで信用してしまうところが私にはあるが、最近は文春砲なる言葉が注目を浴びているようで、少しイメージチェンジが必要かなと思いつつある。しかしこの本は人間の深いところを取り上げている。
死の天使はドミノを倒す (文春文庫)
太田忠司死の天使はドミノを倒す についてのレビュー
No.1: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)
【ネタバレかも!?】 (3件の連絡あり)[]   ネタバレを表示する

月読(つくよみ)の感想

 ふと目に留まった美しい題名「月読」に惹かれ、知らない作家さんでしたが読みました。
 地方都市に住む一人の高校生、克己の周辺に物語が展開していく。同級生の炯子の家で殺人と火事があり、刑事の河井が事件の解決を迫るが河井も姪を殺されていてその事件も未解決だ。その町のアパートには月読が陰のようにひっそりと暮らしていた。
 事件を追っていくうちに徐々に登場人物たちの接点が繋がっていく。読んでいくうちに次はどうなるんだといつのまにか物語に引き込まれていく。かなりの長編だがあっというまに読み終えた。
 但し、最後に月読が双子だった事が判明するが、双子であることは映画にした場合にはちょっと面白いかなとは思うが小説の場合はそれほどの効果はないように思う。ラストはもう少し工夫があったほうがよいと思う。
 

月読 (文春文庫)
太田忠司月読(つくよみ) についてのレビュー