「醜い顔に奇抜な服装、年は殆ど六十七…」幸せな気分で唄いながら、セーラはペンキを塗りたくっていった。

ビリングスゲート家の貴重なロールス・ロイスのクラシック・カー・コレクションのうちの一台が忽然と消えてしまった。

ボストン・コモン近く。セーラは納骨堂の開扉に立ち会っていた。

ポカパック島の所有者である老サビーン夫人に代わって、夏の滞在客のもてなし役をつとめることになったエマ・ケリングは、一路フェリー島に向かった。

「眠そうですね、ケリングさん?」ビターソーンがこちらを見て微笑んだ。

「マックス!鱈を失くしちまった!」ジェム伯父がわめいた。

「蠅がいない。蠅抜きでどうして、中世のギルドが運営できるんだ。

息抜きがてらビターソーンと二人きりの時を過ごそうと、セーラはアイアソン埠頭の家を訪れた。

「ドルフから聞いてないんですね。

セーラはため息をついた。