小説十八史略

評判

小説十八史略の評価:

4.45/5点 レビュー 85件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.45pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全74件 41〜60 3/4ページ
No.34
(5pt)

第4巻は三国志の時代から、南北朝時代そして隋による南北統一までをカバーしています

第4巻がカバーするのは、三国志の時代から、南北朝時代そして隋による南北統一までである。三国志の時代に特に力を入れており、本書の半分以上を割いている。三国志に関しては、本書だけで十分にその骨格を掴むことができるのではないか。この時代に関しては数多の本があるので、この時代を極めたい人はそれを参考にするとよいだろう。私自身が三国志の時代の全体を通読したのは本書だけであり、後は視覚的に中国の傑作TVドラマを楽しんだだけ(今は宮城谷昌光氏版三国志の完成を待ち望んでいます)。それぐらい、本書での三国志の部分の記述は充実している。その三国の一つ魏は台頭する司馬一族の晋に取って替わられ、晋は内紛もあって北方異民族に抗することができず、ここに南北朝時代が始まる。晋及びその後継者たる南朝政権は貴族社会であり、政治面が落ち着かない中で、政治からわざと身を引いて奇抜さを競う風が広まり、その中から今に至る中華文化(文芸・書等)の基礎が築かれたことは見逃せない。(もっとも五石散という麻薬の流行という悪弊も招いたが。)宗教の点でも儒教の権威の低下とともに仏教や道教が流行し、王室でも信仰されるに至った。北朝では道・仏の対立が起こり、廃仏令が出されたのも北朝が最初である。北朝は元来異民族の王朝なのに出身地を捨て、漢化政策を積極的に邁進する点が、第6巻に登場する遼などの征服王朝との違いになる。さすがに本書はこういった南北朝時代の重要性をしっかりと記述している。中国史に馴染みの薄い人にとっては新鮮な発見となるだろう。当時の文化人の代表として陶淵明のためにわざわざ一章を費やしているのに注目してほしい。彼もまた、政治の表舞台での活躍と隠逸・詩作の間で揺れた時代の具現者なのである。
小説十八史略(四) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(四) (講談社文庫)より
406185125X
No.33
(5pt)

六朝=ダメ夫たちの時代

三国志の時代を描いた前半よりも、五胡十六国、南北朝の時代を描いた後半の方が、私には遥かに面白かった。
この時代、漢民族は、北方異民族(五胡)に黄河流域を追われて江南地方に逃げ込み、約200年の間に、6つの小型王朝を興亡させた(よって、「六朝時代」とも呼ばれる)。マッチョな北方への反発からか、南朝の国家は貴族趣味に走り、上流階級の男達は、驚くと気絶するくらい ひ弱な方がクールとされたと言う。馬車に乗るにも、お供の人達に抱っこしてもらったというダメダメぶりである。
情けないと言えば、限りなく情けないが、儚げなものを美しいと見る感覚は、なんとなく日本人的な気もする。また、こんな風潮の中にあって、芸術・文化は成熟し、陶淵明、王義之のような、後世に決定的な影響を与える天才も出現している。
一方、北朝の国家の気風も次第に洗練されていき、「他民族との融和」という理想主義を掲げ、天下統一目前まで行きながら、尊重していた筈の他民族出身の将軍に裏切られて自滅し、失意の最期を迎える、苻堅のような人物も登場する。この時代の君主は、名君・暗君ともに、どこか、現代人的な脆さを感じさせる人が多い。
また、数世紀後の地方小王朝である南唐(このシリーズの第6巻に登場)も、軍事的にはボロボロながら、文化的・経済的には繁栄し、芸術面で不滅の影響をのこしたと言う。「国が栄える」とはどういうことか考えさせられる。
小説十八史略(四) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(四) (講談社文庫)より
406185125X
No.32
(5pt)

シリーズ中で一番盛り上がるシーンか?

第4巻は魏晋南北朝。つまり三国志の時代です。
陳舜臣の十八番といえるところでしょう。
三国だけでなく、五胡十六国時代の戦乱も三国志を読んでいるかのような
血わき肉踊る物語になっています。
分裂時代というのは複雑で理解しにくいものなのですが
その時代の中心的人物を取り上げ、物語を進めていく手法は
感情移入しやすく、エピソードの取捨選択も
すっきりしていると思います。
小説十八史略(四) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(四) (講談社文庫)より
406185125X
No.31
(5pt)

一気に読ませるおもしろさです

血みどろ残虐且つ、とてつもないスケールの中国史である本書は一気に読ませるおもしろさで、最早中毒症状です 著者の文体は簡潔、 ダイナミックで
長大・複雑な歴史書を、苦もなく理解させてくれます これは中国史の苦手な私でも、存分に楽しませてくれました 未だ読んでいない方には是非お薦めの1冊
です
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.30
(4pt)

揺るぎないものを、人びとに与えた者こそ、天下を経略しうる人である

始皇帝が急死すると、宦官の趙高は長子・扶蘇に自殺を促す偽手紙を送る。扶蘇を預けられていた辺境の将軍・蒙恬は三十万の軍をもつ。反乱もできる。逆にいえばそれだけ始皇帝に信頼されていた。それゆえに蒙恬は偽手紙ではないかと疑うが、扶蘇はあっさりと自殺してしまい、蒙恬は投獄される。
 趙高は法律を厳しく改正するが、李斯はこれに反対しない。始皇帝を失った直後は秩序維持のために法律の力を借りるのが最善と考えられたため。この厳格な法律の適用により、二世皇帝を除いて始皇帝の20数人の子は男女ともすべて殺された。恨みを恐れ、その家族・家臣も連坐の法によりすべて殺される。
 趙高は、二世皇帝に李斯が陳勝たちと通じているのではないかと吹き込む。このため、李斯は投獄され、拷問される。最後は、五刑(鼻、耳、舌、足を斬り、鞭打って腰斬)に処せられる。李斯は、趙高を甘く見ていた。
 項羽の純血の軍隊は敵を赦さないという評判ゆえに投降兵を加えることはできない。減ることはあっても増えることは難しい。劉邦は投降を歓迎するので兵が増える。
 秦を倒したあとの天下の経綸について、項羽は、いにしえにかえす、以外の抱負を持っていない。復古に魅力はない。それでは諸将の心を惹くことはできないので、国を増やす。自分だけ抜群に強い覇王であればいい。論功行賞もずさん。弱小王を大量製造しても、不満がたまる。
 劉邦は項羽に追われたとき、馬車を軽くするために子どもを捨てる。それを夏侯嬰が次々と拾う。これは劉邦は家族よりも家臣を大切にする、というパフォーマンス。子どもを落としても、夏侯嬰がちゃんと拾い上げることを知っていた(なるほど)。
 劉邦は犠牲者の家族を厚く遇する。だから、自分の身を捧げようとする者が現れる。項羽は自信過剰ですべて自分の功績と考えるため、他者の犠牲に感謝しない。これが楚・漢の争いの重要ポイントとなった。
 漢王朝創始後、韓信は、王から侯に格下げになった挙句、謀反する。しかし、もはや王ではないので大軍を動かせる立場ではない。家来に密告され、蕭何にだまされて参内したところを斬られる。彭越も殺される。ゲイ布は造反して劉邦と対決するが敗北し、妻の兄を頼ったところで殺される。ゲイ布はかつて項羽が秦兵20万人を穴埋めにしたときの執行者であり、楚の義帝を殺したのもゲイ布。
 張良は、劉邦が天下をとったあとは引退。仙人になろうとする。仙人は、仙薬を飲む必要があり、その前には腸を清める必要がある。そのためには穀類を食べるのをやめて気を呑んで生きる。つまり、カスミを食べて生きる。
 劉邦のあと、呂皇后の一人息子・恵帝が二世皇帝となる。呂皇后は、あやうく皇位を横取りしそうだった恵帝の異母弟・如意とその母が憎い。恵帝はやさしいので如意をかばったが、如意は毒殺されてしまう。如意の母も惨殺される。呂后は、孫娘を恵帝の嫁にするが子どもが生まれない。呂氏ゆかりの女性が妊娠すると、その子を皇后のご出産とし、秘密を守るために実母も殺す。こうして、恵帝の子とされた王子は5人いるが、いずれも実子ではない。
 恵帝は病死する。次の幼帝が呂皇后に実母を殺されたことを知ると、呂皇后はこの幼帝も殺す。結局、呂皇后が死ぬと、呂一族は皆殺しとなる。呂一族の禍もあり、外戚の影が薄いという理由で劉邦の息子・文帝が即位。文帝は質素。
 文帝のあとの景帝は、もっともすぐれた子を皇太子、もっともすぐれた女を皇后に、と考える。景帝は、栄を皇太子にするが母はいまいち。文帝も景帝も栄も地味。景帝の姉の強い推薦もあり、王夫人の生んだ徹が皇太子となる。これが武帝。
 その他・・・ 
 揺るぎないものを、人びとに与えた者こそ、天下を経略しうる人である(太公望)。
 今は、元号は日本にしかない。そもそも元号は、文帝から始まる。ただし、当時は簡単なもので、元号らしい元号は武帝のときから。 など。
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.29
(5pt)

小説十八史略について

思ったより大変きれいな本で満足しています。こんなにきれいになるのかなと思いました。
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.28
(5pt)

良い商品でした

期日どうり到着しました。 記載どうりの商品でした。・・・・・・・・・・・・・・・・・。
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.27
(5pt)

やはり何度読んでもいい本です。

中国の歴史というよりはやはり人間の本質に迫れる本だと思います。
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.26
(5pt)

前漢成立から武帝即位までの女の争いが特に面白い

本シリーズ第2巻が扱うのは、秦の始皇帝の死から漢の武帝の執政初期までである。始皇帝の死から項羽と劉邦の争い、そして漢の成立までは、司馬遼太郎等の多くの作家の題材として取り上げられているが、本書もかなり多くの頁を割いており、本書だけで十分な知識が得られると思う。項羽と劉邦の争いは中国史のハイライトの一つとも言えるので、是非押えておくとよい。最近の宮城谷昌光氏の「香乱記」はまさにこの時代を取り上げながら、漢楚の争いの骨格が分かりにくいという難点があったが、本書が格好の副読本になるだろう(もっとも同氏にも「長城のかげ」という名脇役たちの目で見た漢楚の攻防に焦点をあてた良書があるが)。さて、前漢成立から高祖(劉邦)死去まで、特に韓信など功臣たちの粛清(対照的に張良の巧みな身の処し方)、呂一族の専横とその滅亡、その後の文帝の即位とその善政については、それぞれ部分的に取り上げた良書(特に宮城谷昌光氏の叙事詩とも言える「花の歳月」は必読)があるが、さらにその後の景帝の治世(特に呉楚七国の乱)および武帝即位に至るまでの女の争いについて分かりやすく教えてくれる本は、寡聞にして私は知らない。それだけでも本書は貴重である。また、宮城谷氏等の著作とは同じ登場人物でも光の当て方は異なるので、それと比較するのも一興である。要は、本シリーズでは、陳舜臣氏の史観に身を委ねて、1本筋の通った中国史の体系を確立すればよいのである。しかし圧倒的に面白い本なのであるから、読者は自然に先へ先へと読み進んで行くこと間違いなしである。本巻も傑作である。
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.25
(4pt)

おすすめできます。

やはり、長い歴史をさらっと読めるところがいいように思います。
ただ、その分スピードが速いのが難点かと。
おそらくこの本を買おうという人は、中国歴史物全般に興味が
あると思うので、いろんな著者の各時代の著書なんかと併せて
読むと一層面白いのでは。
この本で数十頁分の時代も、数冊の本で書かれている場合が多い
ですから。
安能務や吉川英治や田中芳樹や、私はそういった人の本を読み
漁っています。
逆に、すでに詳しい人にとっては、ある意味ダイジェスト的に
楽しめます。他の本の訳とは話が違ったりして楽しめる部分も
あります。
小説十八史略(二) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(二) (講談社文庫)より
406185089X
No.24
(4pt)

腐った時代に「世評」で権力を握った王莽

武帝は始皇帝以来の封禅の儀式を行う。天命を受けたことを天に告げる儀式。太史令(記録保管職)の司馬談(司馬遷の父)は、この儀式の人事リストにリストアップされなかったことに憤激し、それがもとで憤死したという。
 武帝の後継者である戻太子が反乱で死ぬと、残りの皇子にはロクなのがいない。一人、期待できる末っ子がいるが、武帝63歳のときの子なのでどんな人物になるかわからない。武帝はこの末っ子・弗に期待をかける。弗の母親・拳婦人はやがて些細な罪で武帝に処刑される。幼帝が即位すれば母が実権を握ることは目に見えているため、武帝は将来のために拳婦人を処分する。霍去病の異母弟・霍光が弗の後見人となる。武帝は70歳で崩御。弗は8歳で即位し、昭帝となる。
 昭帝は賢明だったが、子どもを残すことなく若死する。霍光は、武帝の孫の劉賀をいったんは擁立するが、劉賀は色情狂でこれもイマイチ。庶民として生きていた戻太子の孫を探し出し、劉賀を追い払う。この孫が宣帝として即位。
 宣帝は、庶民育ちのせいでしっかりしており、宣帝時代は、地味ながら漢代ではもっとも安定した時代となる。
 実務的な宣帝は儒者嫌いだが、宣帝の息子(後の元帝)は情緒的すぎて儒者に傾倒する。次が成帝で、成帝の母の一族に王莽が連なる。とはいえ、王莽もすぐに出世したわけではない。そもそも王莽は王一族との血縁が薄い。王莽は自らの評判を高めるため勤倹に徹する。
 王莽は奴隷を殺したからという理由で次男を自殺させている。この差別意識撲滅を感じさせる行動力により下層からの期待が王莽に集まる。王莽は地位が上がってくると、儒教に力を入れ、歴史を掘り起こしては功臣の子孫をさかんに叙勲する。こうして、王莽は上層階級の支持も取り付ける。
 長期間にわたる世評工作で、王莽は「聖人」と認められる。平帝を14歳で毒殺し、赤ん坊の劉嬰を選ぶ。でも、赤ん坊だからという理由で即位させない。王莽は、天の威命によりやむを得ず、という形をとり王朝簒奪。国号を「新」とする。これは王莽が最初に新都侯に封じられたから。ちなみに、劉邦は項羽に漢中を与えられて漢王となったから漢を国号とした。地方領主時代の領国の名を全国政権の名にするというパターンはその後も踏襲される。
 各地で反乱が起こるころ、70歳近い王莽の生活は乱れ、頭がおかしくなっていた。王莽は、更始帝(漢の皇族)の緑林軍に殺される。
 更始帝にしたがった劉秀は、赤眉軍と戦わされるのを避けるために自立。王莽に反対してあちこちで蜂起した反乱軍は、漢の皇族をめいめい擁する。劉姓でない者まで勝手に即位を自称する始末で皇帝だらけ。そんな中、劉秀は即位する(光武帝)。
 赤眉軍は更始帝を降したが、赤眉軍もバラバラ。光武帝は洛陽を落とし、統制を失った赤眉軍も破る。緑林軍も赤眉軍も指導者に人を得ず、農民政権を打ち立てることはできず、結局、光武帝という豪族に利用され、政権を奪取されてしまう。
 光武帝、明帝、章帝、和帝と続くが、和帝から後漢滅亡までの9人の皇帝はすべて未成年で即位している。幼帝が立つと外戚が強くなる。霊帝は、官職を売って蓄財する。曹操の父、曹嵩は、国防省の地位を金で買っている。
 名誉が欲しい者は朝廷の官職を買い、金儲けしたい者は地方の官職を買う。地方で苛酷に徴税する。金で買った官の任期は短いので税金の取り立ては非常に厳しい。
 肉体的に劣等感をもっている宦官は宗教に走りやすい。宦官は張角の太平道のお得意だった。張角は宦官の一部を手なずけ、挙兵のときには内応させるつもりだった。しかし、朝廷に計画が漏れ、前倒し決起。前漢末の反乱では緑林軍も赤眉軍も皇族を推戴した。緑林系は更始帝をかつぎだしたし、赤眉系はくじびきで皇族の中から劉盆子を皇帝にした。各地の長官や有力者を味方につけて勢力拡大を図る。一方、後漢末の太平道は漢王朝滅亡を宣言している、つまり、皇族をかつぐ気なんかない。地方長官も殺し、「新しい政権」を志向する。
 その他・・・ 
 孔子は宦官に偏見をもっていた。衛の霊公が宦官と同じ車に乗車しているのを見た孔子は、それが理由で衛を去る。
 宣帝のころは、人口も増えて、一字の名では同姓同名が増えてきたためか、二字名が増えてくる。しかし、漢末に王莽が「二名の禁」を唱えたため、また一字名ばかりになった。
 など。
小説十八史略(三) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(三) (講談社文庫)より
4061851071
No.23
(5pt)

小説十八史略について

傷みやすれがなく大変きれいな状態で届いたので、満足ています。
小説十八史略(三) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(三) (講談社文庫)より
4061851071
No.22
(5pt)

面白い

今の中国はとても嫌いですが、とにかく国民性は長い歴史から
生まれたもの。歴史としては大きく驚異です
小説十八史略(三) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(三) (講談社文庫)より
4061851071
No.21
(5pt)

本巻が扱うのは前漢の最盛期から後漢の衰退期までです。

本巻では武帝がもたらした前漢の全盛期からその武帝末期の失政に端を発する前漢の衰退と滅亡、王莽の時代、後漢の成立と外戚・宦官の横暴によるその衰退、そしていよいよ三国志の序章、つまり黄巾の乱とそれが契機となった群雄の登場までをカバーします。武帝の匈奴政策に関わる人たち(例えば李陵や司馬遷)の運命の流転は他の書でも読む機会が多いでしょうが、その後の陰謀の連続といってよい歴史は、私もそうでしたが、馴染みの薄い人が多いのではないでしょうか。そういった人には本書は絶好の読み物です。皇帝専制政治の悪い面が次々と噴出します。武帝自身も罠を見抜けず有能な皇太子を死に追いやり、哀れな晩年を迎えます。陰謀をめぐらすのは宦官や外戚だけではありません。庶民の地位から登極した宣帝が善政を敷くことができたのは、霍氏一族を一掃してからでした。宣帝の時代もつかの間に終わり、凡庸な皇帝が続き、王氏一族、特に王莽が権力を奪取し、遂には自ら天子になります。この王莽が自分のたくらみを着々と進め、最後には聖人の化けの皮が剥がれて破滅に至る過程は読み応え十分で、本書の白眉だと思います。その王莽を主人公にした歴史小説が書かれるとは夢にも思いませんでしたが、塚本 青史氏が「王莽」を著し、比較的最近文庫本でも出ているので、王莽の屈折した心理を深く探求したい人は同書を併読するとよいでしょう。王莽の後、漢は復興しますが、優秀な皇帝は初代光武帝・第二代明帝ぐらいで後は政治は乱れっぱなし。混乱の中で、いよいよ三国志の英雄達が登場する時を迎えます。本シリーズの虜になった読者は次巻を待ちきれないことでしょう。
小説十八史略(三) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(三) (講談社文庫)より
4061851071
No.20
(5pt)

深い歴史知識に基づく傑作

中国の歴史が好きなのでシリーズ通して大変面白く読めました。
私がおすすめするのは漢の武帝とその息子、戻太子にまつわる悲劇から宣帝時代までのくだりです。
さまざまな伏線と謀略とが入り混じってすごく面白いのです。
登場人物が多い上に長い年月のことを書いていますので、人物の掘り下げなどは多くないのですが、このシリーズでは人物を描くことを目的としていませんので問題ありません。
むしろすっきりしていて良いくらいです。
時代の大きな流れ、その中で象徴的ともいえるエピソードの数々を作者の想像を交えて書いているのですから、人物に感情移入したい人には向いていません。
客観的に時代の流れを見ることができ、歴史に造詣が深くない人にも楽しく読めます。決して堅苦しくありません。
エピソードの大半は皇帝やその周辺の人々のスキャンダルなんですから…。
この巻の目玉はやはり、武帝の時代だろうと思います。
特に霍去病は人気のある武将ですからご存知の方もいると思います。
また、悲劇の将軍李陵や彼を弁護した為に罰せられた司馬遷など見所は盛りだくさんです。
ぜひ、読んでみてください。
小説十八史略(三) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(三) (講談社文庫)より
4061851071
No.19
(4pt)

漢の安定から衰退

項羽と劉邦の時代が過ぎ、英雄が多くでて日本では好まれる三国時代までの流れを追っていく小説。次にくる三国志の時代の伏線を引くために興味を惹く文章になっている。
 この時代には西域の拡大に伴う英雄が多く排出され、しだいに「中国」が拡大している様子がよくわかる。しだいに国が膨張をはじめ、視野が広がっていく。大国となった後、内憂により破綻していく。
 歴史的には安定していた時代のように見えて、内紛の続いた様子をよく描いている。
小説十八史略(三) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(三) (講談社文庫)より
4061851071
No.18
(5pt)

やはりバイブル

小説史記と同じく、中学生の頃にはまって一気読みした思い出の本。
今でも本棚に大事にとってあります。
後でちゃんと史記、十八史略を読み直しましたが、これがあったからこそ非常に面白く読めたのだと思います。
小説十八史略(一) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(一) (講談社文庫)より
4061850776
No.17
(5pt)

大人にも子供にも

中国史絶好の入門書です!
学生でも大人でも楽しめます!
そして、中国史が好きになる。
わたしの中国史への入り口でした。
小説十八史略(一) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(一) (講談社文庫)より
4061850776
No.16
(4pt)

与えることは取ることであり、それを知ることが政治の秘訣である(管仲)

1977年初出の本。殷の紂王からいろいろなエピソードがつらなっていく小説。
 殷の紂王は、暴君であっても暗君ではない。天性の雄弁家で、行動は敏捷、理解力するどく、才能は並外れていたと「史記」はいう。殷は神権政治であり、殷王はファラオのイメージに近いともいわれる。有力諸侯の周公は、美女の娘・妲己(だっき)を紂王好みに徹底的に仕込む。狙い通り、紂王は妲己に溺れる。紂王は妲己のいいなりになるが、本人はそう思っていない。他人に命令されたことのない紂王は、次第に、妲己の言ったことを自分の命令だと思い込むまでに妲己と一体化していく。妲己にマインド・コントロールされ、殷王室の権威はどんどん落ちていく。
 周は挙兵。殷は大敗し、紂王は自決。周公は、妲己がいっそ自殺していてくれればと思うが、引っ張り出された妲己は立派に任務を遂行したのだから、と助命を嘆願する。殷を滅ぼすための武器である妲己が、自分の任務をわきまえていたことを知った周公は愕然とし、妲己を殺害する。
 周王室もやがて衰えるが、名目だけは存在するので、諸侯は「公」を名乗る。
 晋の分裂期が春秋と戦国の境とされる。大国・晋は、3国に分裂し、周王室からこれら三国はやがて諸侯と認定される。春秋と戦国といった分け方よりも、奴隷制社会か封建制社会かといった時代区分の方が重要ともいわれる。晋が分裂し、下克上の世の中になった。三国(三家老)が強くなり、晋の王室は衰え、晋公が三家老を挨拶回りする状態になり、やがて晋は三家老に滅ぼされる。彼らは諸侯と認定されていたので、対等の諸侯として晋を滅ぼしたことになる。形骸が捨てられ、内容が重んじられる実力本位の時代になった。
 はじめ商鞅がつくった法律は誰も守らなかった。商鞅は法律違反のかどで太子の側近(公族)を鼻切りの刑に処する。これで法律が守られるようになった。商鞅はひそかにこの鼻を切られた側近に贈与していたが、支援主が商鞅だとわかるとこの側近はかえって激怒する。この恨みが原因で保護者の孝公が死ぬと商鞅は殺される。
 謀略の師・鬼谷先生は、高弟の蘇秦と張儀それぞれに合従(六国連合)と連衡(個別和親)の策をすすめて競わせる。いったん合従は成るのだが、張儀はこれを掘り崩していく。楚の国の屈原も斉との友好をすすめる。蘇秦と利害は一致するが蘇秦と屈原は合わなかったらしい。張儀は斉の大臣たちを焚きつけ、蘇秦を暗殺してしまう。楚は孤立し、抗戦主義者の屈原を追放。屈原も自殺する。楚は秦に媚びを呈する屈辱外交を続けた挙句、秦に滅ぼされる。
 秦王政(後の始皇帝)の母は、呂不偉の元・愛妾であり、政の実父は呂不偉。母は淫蕩で、夫が死に、政が王になると、呂不偉とよりを戻す。父不在で淫蕩な母を見て育った政はやがて出生の秘密を知る。呂は身の危険を感じ、太后との愛人関係を解消しようとして、男をあてがったりするのだが、結局は政に攻められ自決する。
 秦王は、実力者の割拠が動乱の原因であると考え、王の存在を許さない。しかし、秦王も「王」である。丞相の李斯らは協議し、「泰皇」の称号を考え、秦王はこれを気に入らず、五帝の帝の字と組み合わせ「皇帝」を名乗る。ただし、始皇帝は専制独裁一辺倒ではなく、いつも群臣の意見を聞いている。戦争もほとんど将軍に任せており、親征していない。始皇帝が天下を平定できたのはこのあたりにも理由があるのかもしれない、と著者はいう。秦は封建制をやめ、天下三十六郡に中央から長官を派遣する郡県制を採用する。中国では部分的に封建制が復活したこともあったが大名のような大領主が全国に分立することはなかった。三国時代や南北朝時代は例外的。
 始皇帝は統一マニアであり、文字を統一し、車輪サイズを統一する。斬新で独創性のあるものを好み、前例を好まない。朕という言葉はそれまで一般の人も普通に使っていたが以後は一般使用禁止。始皇帝が出現しなければ、中国はヨーロッパのように数カ国に分かれていたかもしれない。
 その他・・・
 与えることは取ることであり、それを知ることが政治の秘訣である(管仲)。
 孔子が夢見たのは、奴隷制はなやかなりし殷周時代。身分の違いを強調するのはそれが奴隷社会を成立させる基本条件だから。
 など。
小説十八史略(一) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(一) (講談社文庫)より
4061850776
No.15
(5pt)

面白い!

「小説」と謳ってる様に、登場人物の会話や描写が生き生きしてて、まるでドラマや映画を観てる感じで楽しく読めます。さながら、中国版大河ドラマを連続して観てる感じ。
それにしても、まだ3巻までしか読んでませんが、中国の歴史のなんと血なまぐさい事!その分、ドラマティックとも言えるのですが・・・。
駆け足で歴史をなぞっていきますが、登場人物も濃い人ばっかりだし展開はドラマティックだし、中国の歴史にそんな興味ない私でも楽しく読めます。
小説十八史略(一) (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: 小説十八史略(一) (講談社文庫)より
4061850776