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祖先の物語 ドーキンスの生命史
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祖先の物語 ドーキンスの生命史の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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今現在生きている生物とのつながりがよく分かる。 | ||||
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生命の誕生は謎だが、確かにその系統は一つであるとの推定はできる。ただし、ウイルスがどこで発生するのかそこは謎のままだ。 | ||||
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単なる生命の歴史についての記述ではありません。 ドーキンスのこれまでの著書を踏まえたうえで、生命進化の軌跡を綴っています。 また、ジョン・メイナード・スミス、スティーブン・ジェイ・グールド、スチュアート・カウフマン、ダニエル・デネット、スティーブン・ピンカーらの、 生命進化に関連した主要な学者らによる知見も取り込んだ豊富な内容になっています。 更に、当然といえば当然なのですが、地質学、化学、物理学など生命に深く関連する領域からも知見を得て展開していますので、 説得力が高いものになっています。 生命進化に興味のある方であれば得るものが多い本だと思います。 あと、巷に溢れている似非生物学や、反証されてなお巷で生き残っている古い生物学についてもクギをさしていることも価値ありです。 なお、全編を通して創造論者への批判がちりばめられていますが、 これは未だにそのような論争が続いており、手を焼いている証なのだと思います。 更に、下巻後半で進化論を社会において作為的に利用することへの批判をしていますが、 ドーキンス曰く、ウルトラ・ダーウィニストだからこそこのような批判をするのだといっています。 残念なのは、 原書ではカラーになっている挿絵がモノクロであること、日本語訳が日本語としてこなれてないことです。 原書を読むことができる方には、原書で読まれることをお薦めします。 2008/3/8読了(上下巻) | ||||
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素晴らしい作品だけに、訳の杜撰さが残念すぎる。下手な訳、誤訳が多すぎて読み進めるのがストレスです。訳者は科学ジャーナリストらしいですが、翻訳論・人文社会系の知識が怪しいのではないか。大著なのだから、共訳にしてしっかり役割分担・全体統括をしたうえでいい翻訳本を出してほしい。少々時間がかかっても原書の方を買えばよかったと反省しています。 | ||||
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(上下巻通してのレビューです) 自分の先祖の自伝を読むような面白さ。 身近な人たちだけじゃなく、会ったこともないような人たちや、他の生物、魚や、ナメクジや、昆虫や、アメーバ―や、細菌や、植物や…。 地球上のすべての生き物が共通の祖先を持っていると思うと、この世界がいっそう居心地良くなります。 | ||||
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今回で2冊目です。 退屈かな?と、思いながら読み始めたのですが、次第にヘェ〜…あら?そうなんだ…と、徐々に引き込まれるように上下巻を読んでしまいました。 今回はプレゼントとして購入しました。 | ||||
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ヒトから順に枝分かれした別種の生物との共通の祖先を年代逆順に辿っていくかたちで、生物とその進化を解説した本書の下巻は、第十八合流地点で魚類との共通祖先から始まります。 第十七合流地点の両生類の次です。 下巻はついに、全生物の共通祖先までたどり着きます。 読み通して感慨深かったのは、 「こうして、生物は多様性を増してきたのだな。 」 です。 進化の逆順に辿ることによって、 特に親しみやすく理解が出来たと感じました。 最近、生物多様性の保全が盛んに叫ばれていますが、 単なるスローガンではなく、科学的に正確な意味で、「生物多様性」とは何か、 を理解するには、この本は最適だと思いました。 | ||||
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これだけ長い本であり、簡単ではない部分も多いので全部読むのは大変なのだが、面白そうな箇所だけ選んでも充分に楽しめるし驚かされる。 本書では、ドーキンスの新鮮で鋭いセオリーと、読者に対する語りの上手さに改めて感心した。人類から進化の道を逆にたどり、地球上の最初の生命を目指して行く。その途中で、かつての共通の祖先から枝分かれした生物と合流することになり、その度に、合流する生物や、共通祖先についての物語が述べられる。これだけでも、本書を読者に飽きさせないように書くには、進化についての幅広い知識と、興味を引き付けるような文章の上手さを必要とすることが分かる。ドーキンス(と助手のヤン・ウォン)は本書を書くのに相応しい人物であり、進化に興味を持つ者にとっては記念碑的な作品を完成させた。 そして、本書で最も素晴らしいのは、その中で使われているコンセプトだろう。合流を「ランデヴー」、最後の共通祖先を「コンセスター」、最初の生命を目指す旅を「巡礼」という言葉で表現している。この見事なコンセプトにより、読者の理解をかなり助けている。特に、「巡礼」という宗教用語をここで使用し、しかもまさにぴったり合う言葉であることは、見事である。ドーキンスは、『カンタベリー物語』にならって本書を書いたと述べている。中世の物語と、科学の最先端の解説書が同じ形式になっているのだ。 内容については、かなり量が多いのでここで紹介することはできない。しかし、進化について知らなかった発見がたくさん出てくるし、現生生物の多様さにも驚かされる。本書によって、ルーシーやリトルフットの発見がどれだけ貴重だったかも知ることができた。 | ||||
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「ケダモノじゃないんだから」と言うセリフに接するたびに、「それでは、ヒトとはなんですか?」と聞き返したい気分になる僕にとって、良い解説を得た一冊です。 現世の人類から、枝分かれした別種の生物との共通の祖先を年代逆順で辿っていきます。 最初の合流地点(ランデブー)1「チンパンジー」の前に、ランデブー0として、人類の共通祖先を考察しているサービス章があり、 上巻では、第十七合流地点の両生類との共通祖先までを辿ります。 この一冊で特に僕が面白いと感じたところは三カ所ありました。 一つめは、人類の共通祖先を考察したランデブー0。「ミトコンドリア・イヴ」と言う女性だけをたどっていったところで見つかる共通祖先の存在は人口に膾炙されるものですが、「女性だけ」に限らなければ、他にも沢山の共通の祖先(それも、アフリカ以外のところで!)がいることを指摘している点です。言われてみれば、なるほど、その通りですが、言われるまで気が付きませんでした。 二つめは、ローラシア獣と合流するランデブー11。そのなかの鯨偶蹄目の類縁関係です。鯨偶蹄目は、ラクダ、ブタ、ウシ、シカ、カバ、クジラなどを含みますが、カバに最も近縁なのが、同じ四つ足を持つ他の動物ではなく、クジラだと言うことに驚きました。言い換えれば、カバとクジラの仲間は、他のどのローラシア獣より(もちろん、他のどの生物よりも)互いに近縁と言うことです。また、この事を著者自身も驚きを以て情熱的に語っていることが面白かったです。 三つ目は、アホロートル(両生網トラフサンショウウオのネオテニー)です。胚発生は、近年に生物学が解明した大きな成果の一つですが、変態が抑制されたナオテニーも進化を解き明かす上で重要な示唆を含むという指摘に開眼した思いです。 このように、本書は、生物学(のうち、特に進化論)を扱いながら、人間を出発点として順に他の生物を選んだことで、ごく自然に、種分化を理解できるのが特徴だと思います。 例えば、進化論に猛烈に異を唱えたかつてのキリスト教との戦いを話題に持ち出すのではなく、このように人間を出発として順を追って説明されると、本当にわかりやすいと言うことがおもしろかったです。 なんだか、上巻だけで、「おぉ、役に立った。十分。おなかいっぱい」と言いたくなりますが、下巻は、魚類との共通祖先、さらには、昆虫類などと合流する以前の脊椎動物に近縁な他の動物、さらに辿って、菌類や植物、最終的には全生物の共通祖先へまでたどり着きますので、引き続き楽しみに読み進みます。 | ||||
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いかなる崇高な指針をも欠如した進化という猥雑な物語は、そのまま人間社会の猥雑さにもつながっていく。 生物学の教科書の最高峰。 | ||||
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テーマは進化を理解するため、とはっきりしているのですが、そのための内容が多岐にわっており、充実しまくっています。 理解が浅い、あるいは知らない用語を調べながら、2度じっくりと読み返しました。 「○○の物語」として随所に挿入してある話題は、進化理解に必要なテーマが一つずつ、一つの種を軸に取り上げてあります。その一つ一つがたいへん興味深く、少しでも深く理解したいという焦燥感に駆られました。調べながら2度読み返したのも理解への強い欲求が生じたからでしょう。著者の思惑にまんまとのせられたのかもしれません。 この本を読むことで進化への興味が一段と増したのは間違いありません。 今後も手元に置き、何度も読み返して自分の知識として吸収したい。そんな気持ちにしてくれた本でした。 | ||||
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現生人類(つまりあなた)から始めて、他の現生の生物との共通祖先を節目としながら、祖先へ祖先へと遡る形式で、生命の歴史をたどる物語だ。それぞれの節目で合流した生物を題材にとって、生物の不思議、進化の不思議の解説が、エッセイ的に述べられる。その解説は体系的ではないし、これまでの彼の著書の内容をくどくどと繰り返してはいないので、ドーキンス初心者には分かりにくいかもしれない。 本書で感じたのは、ドーキンスがえらい博物学をやっているなあ、という点だ。生物の取り上げ方に少しグールドを感じてしまった。アメリカ人的温かさのグールドに対して、イギリス人的怜悧さのドーキンスという特徴はあくまで維持されているものの、グールドが亡くなったことがドーキンスに影響を与えたのではないだろうか。 個人的には両生類・爬虫類・哺乳類の分類がイマイチ分からなかった。爬虫類+哺乳類が単系統で両生類と分岐するという図式になっているのだが、最近は、哺乳類と爬虫類は両生類に別々についた枝だということになっていたんじゃなかったっけ。現生の生物だけをとると、こう言う分類で良いのかなあ。 上巻は悠々と進んで、古生代半ば、両生類との合流の所まで。これで、陸上脊椎動物は終り。これからは、どんどんなじみの無い生物が増えてくるので、読み進めるのは少し不安。前半でも、結構な大部で苦労したのよ。 そうそう、本書の最大の問題点は翻訳だ。生硬な直訳調が多いし、訳語が適切でない所が間々あるし、意味不明のところもある。原文を理解して訳したのかかなり疑問だ。これだけ大部の本になると、翻訳がこなれてないと読むのが大変。と、見たら、『三葉虫の謎』もこの人なのね。そう言えば、あれも読みにくかった。 | ||||
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いやあ、下巻は苦戦した。登場する生物はどんどんなじみがなくなる。それを章立てで見てみると、 肺魚/シーラカンス/条鰭類/サメ類/ヤツメウナギ/ナメクジウオ/ホヤ類/ヒトデ/旧口動物/扁形動物/刺胞動物/有櫛動物/板形動物/カイメン類/襟鞭毛虫類/ドリップス/菌類/アメーバ動物/植物/古細菌/真正細菌 という具合だ。途中からドーセ虫やろ、と言いたくなる。それでも、少しでも面白くしようと、エピソードを持ってくるのはよく頑張っている。さすが、ドーキンス。 生命全体の祖先までたどり着いた後、かなり長いあとがきで、進化の本質について、ドーキンス節全開。この辺は好きだし、安心して読めた。グールドが提起した進化のテープの再現の可能性に付いて、平行進化を論拠に、進化の必然性を議論しているのは、なかなか説得的だった。具体的な生物が目に浮かばない部分は厳しかったが、最後が楽しく読めたのでよしとしましょう。 | ||||
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単なる生命の歴史についての記述ではありません。 ドーキンスのこれまでの著書を踏まえたうえで、生命進化の軌跡を綴っています。 また、ジョン・メイナード・スミス、スティーブン・ジェイ・グールド、スチュアート・カウフマン、ダニエル・デネット、スティーブン・ピンカーらの、 生命進化に関連した主要な学者らによる知見も取り込んだ豊富な内容になっています。 更に、当然といえば当然なのですが、地質学、化学、物理学など生命に深く関連する領域からも知見を得て展開していますので、 説得力が高いものになっています。 生命進化に興味のある方であれば得るものが多い本だと思います。 あと、巷に溢れている似非生物学や、反証されてなお巷で生き残っている古い生物学についてもクギをさしていることも価値ありです。 なお、全編を通して創造論者への批判がちりばめられていますが、 これは未だにそのような論争が続いており、手を焼いている証なのだと思います。 更に、下巻後半で進化論を社会において作為的に利用することへの批判をしていますが、 ドーキンス曰く、ウルトラ・ダーウィニストだからこそこのような批判をするのだといっています。 残念なのは、 原書ではカラーになっている挿絵がモノクロであること、日本語訳が日本語としてこなれてないことです。 原書を読むことができる方には、原書で読まれることをお薦めします。 | ||||
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これは、現在から過去へ向かう巡礼の旅である。系統樹を逆向きに辿りながら、合流してくる地球上の仲間たちに各自の物語を語ってもらうという形をとっている。我々は、自分自身に近い生き物ほど詳しく知りたいと思うし、実際に良く知っているので、生命史を語るのにこれに勝る方法はないと思えてくる。過去への巡礼の旅は、次第に曖昧模糊とした困難なものになってくる。ついに、最も謎に満ちた「生命の起源」の瞬間に到達したとき、はるばる旅をしてきたという感慨にとらわれることであろう。 分子生物学的な見方に慣れてしまうと、いくつかのモデル生物について知ることで、生物を理解した気になってしまう。一方、博物学的な「いきもののはなし」は、往々にして、雑多なトリビア的知識の寄せ集めで終わってしまう。本書の素晴らしいところは、様々な、いや、地球上の全ての生物について語っていながら、全体が一つのテーマによって貫かれているところである。そのテーマとは、言うまでもなく<進化>である。これだけ数多くの、具体的な最新の話題を盛り込みながら、全体として一つの物語にまとめ上げてしまうドーキンスの筆力には圧倒させられる。本書を通読してみれば、誰もが、生物多様性に対する驚嘆の念を抱かずにはいられないだろう。 最近のゲノムデータの蓄積によって、哺乳類の目の分岐順序など、形態では決して分からなかった物語を語ることができるようになってきた。ただし、ドーキンス自身も述べているように、いくつかの分岐の順序は極めて不確かである。実際、本書の出版後の研究により、現在ではランデブー23(ナメクジウオ)と24(ホヤ類)の順序が入れ替わることがほぼコンセンサスになっている。 初版第1刷にはいくつか誤訳があるので注意。また、日本語版の欠点は、高くて重いことである。こんなに分厚い紙を使う必要があったのだろうか? | ||||
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数多くの論戦を戦ってきたドーキンス。本巻でもそこかしこにその戦跡を見ることができます。 例えば、社会的・人間的関係を破壊する人種差別を憎む余り「人種的差異に遺伝的意味はない」と断ずる生物学者ルォンティンを、却って真実に至る道を塞ぐとして批判(バッタの物語)。また、カンブリア紀「爆発」から主張される断続平衡説(故グールド他)を、自然選択の漸進的・累進的性格をないがしろにする点で聖書に生物学的意義を見出す創造論に似るとして退けています(カギムシの物語)。 特に、ルォンティン批判に続けて、著者は文化的な性淘汰が遺伝学的には瑣末だが皮膚の色など外見的特徴に大きな差異をもたらしたのでは、と推察しています。このようなところに論争を超えた次元に活路を見出していく著者の積極的姿勢が感じられます。議論の封殺ではなく真実を以って人種差別の誤りを正そうとするのがドーキンスのやり方であり、また私もそれ以外に方法はないと思います。 本書の生物学的知識およびドーキンス先生の啓蒙的姿勢について、とりわけ若い世代、大学生だけではなく中高生にも広く読まれることを願います。 | ||||
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いかにもイギリスの教養人がものしたらしい壮大な作品(masterpiece)。ヒトから遡って,哺乳類,脊椎動物,多細胞動物,植物,単細胞生物,古細菌まで,目眩くスピードで視野を広げて生命の世界を訪ねる旅は,読者に新たな世界観を提供するという意味で,自然科学の本にもかかわらず「宗教的」な薫りさえ感じさせる。 しかし,内容は博物誌的な進化物語にとどまらず,遺伝子の構造や発現のしくみから,分類学,発生学,生理学,行動学,生態学など,生物科学の多岐に渡る分野の最新トピックスにも触れている。体系立てて学説を並べてはいないが,一般読者向けの現代生命科学の個性的な啓蒙書にもなっていると思う。 一気に読んだあと,しばらくは「茫洋とした陶酔感」とでもいった感覚に浸りました。 唯一瑕疵をあげるとすれば,訳文が生硬すぎること。原文に忠実なのかもしれないが,やたらと無生物主語が繰り返されたり,何行にも渡る複文が主部になった後に一言述語が続いていたり,読み返さなければ意味のとりにくい構文が多すぎる。一般読者向けの本なのだから,もう少しこなれた日本語にしてほしかった。 | ||||
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進化生物学の「大御所」ドーキンス先生が満を持して送る地球生命30数億年の歴史の本です。通常の古きものから新しいものへ物語るという方法とは逆に、本書は現代のホモ・サピエンスを起点にしてご先祖へと系統樹を遡っていくというスタイルをとります。そしてチョーサの「カンタベリー物語」に倣って、進化の分岐点で共通祖先とそこに合流してくる生物達にまつわる40以上の物語を語ってゆくという趣向なのです。 さすが「利己的な遺伝子」で名を上げた著者だけあって、それらの物語からは単に生物を紹介するというだけではなく、一貫して「遺伝子から見た進化」という観点が伺えます。例えば、冒頭でヒトの起源について触れられている部分。いまやミトコンドリア・イブ仮説などでアフリカ単一起源説が定説になった感がありますが、著者はミトコンドリアDNA以外の遺伝子の系統研究から、多地域起源も矛盾なく成立する可能性を示唆しています。 この他にも、ビーバーのダム湖が個体の身体や行動から「延長された表現型」である話、遺伝子の相同から種の遠近を知りより正確な系統樹を復元してゆく手法について書誌学者が古文書を復刻してゆく方法と共通している話などがあり、著者のかつての著作や他の進化生物学者の本に親しんだ方なら思い当たる節が多々あって、さながら現代進化生物学の最新知見を“巡礼”していっているような気分にになれるでしょう。とはいえ、この手の本が初めてという方々でも十分楽しめる内容になっており、敷居の低さは保障できます。 上巻ではホモ・サピエンスから始まり、両生類が合流してくる時代までを扱います。 | ||||
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倒叙推理小説は一時はやったが廃れた.歴史を倒叙法で書くのも,だんだん不明瞭になるしゴールがぼやけるので効果的でない.この本(上下2巻をまとめて扱う)もその点で不安だったが不安は的中した.それに,古生物学的に見ても,植物抜きでは自然界は存在できないはずで,なぜそこまで人間にこだわるのかよく判らない(人類の歴史は今でも急激に発達中で,本も出ている).Knollの名著 生命 最初の30億年 も,ゴールに Ediacara 動物群がいたから書けたのではないか.これに著者と同じく FRS (王立協会会員)の Fortey の 生命40億年全史 があればこの本は殆ど必要ない.しかも現生の種がないと何も言えない著者の方法は,必ずしも納得できるものではない.少なくとも,これは古生物学とは無縁の方法でしかない.なお,原本を買って見たらフルカラーの美しい本だった.折角カラー印刷用の厚手の紙に白黒印刷をやってのけた出版社の見識を疑う. | ||||
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ドーキンスはいうまでもなく、ヒトが単なる自然界の一構成員でしかないと言うことを前提にして、しかし、われわれにとって興味深い性質が、過去のどの点で分岐した生物群と関係が深いのかを語りながら、生命の起源への旅をする。 ちょっと恥ずかしい話ではあるが、私はこれまでの分子生物学的な知識から、漠然とカバとイルカはイヌ・ネコぐらいの大きさの共通祖先を持つのかと思っていたが、この本に明らかなようにおそらくそれは哺乳類の原型といっていいような形のトガリズミだったはずだ。 専門の生物学者でなければ、だれにでも分類学上の、あるいは日進月歩である分子生物学上の最新の知見を常にキャッチアップできるわけではない。この本はドーキンスの美しく理解しやすい文章で、生物学の中でも、われわれ一般人が興味を引くような進化の歴史を概説してくれる。ぜひとも科学の常識として読まれるべきである。 | ||||
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