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ショパン 炎のバラード
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ショパン 炎のバラードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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ショパンが最後の年に,彼の代表作の一つバラード第4番ヘ短調のコーダを書き直し,Presto con fuoco (これが原題) の発想記号を与えた,その自筆楽譜の運命がこの複雑な物語のテーマである.語り手は,死を目前に控えた天才ピアニストである '私'. この'私'は,Arturo Benedetti Michelangeli としか考えられない設定である.話は Eco 流のディレッタンティズムをふんだんに含んで面白く,これで良い,と思う人は多いだろう.訳者が薔薇の名前の河島英明氏である安心感も大きい.'私'は,昔からこのヘ短調バラードに夢中で,だからこそ運命のいたずらでこの第2稿の自筆楽譜を手に入れた喜びは名状し難い.しかし私が ('私' ではなくて) 納得できないのは,大作曲家の主要作品の異稿の存在を世界に知らせる行為を全くしない点である.Eco 流の倫理感で扱えば,大ピアニストはこの過ちに対する報復として死ななければならない.あるいは,ピアニスト生命を絶たれなければならない.確かに天才ピアニストはどの道死ぬのだし,ピアニストではなくなるのだけれど,それは倫理的制裁であるよりは寿命の問題に過ぎないようにしか読めない.そこが口惜しいのだ. | ||||
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ショパンが最後の年に,彼の代表作の一つバラード第4番ヘ短調のコーダを書き直し,Presto con fuoco (これが原題) の発想記号を与えた,その自筆楽譜の運命がこの複雑な物語のテーマである.語り手は,死を目前に控えた天才ピアニストである '私'. この'私'は,Arturo Benedetti Michelangeli としか考えられない設定である.話は Eco 流のディレッタンティズムをふんだんに含んで面白く,これで良い,と思う人は多いだろう.訳者が薔薇の名前の河島英明氏である安心感も大きい.'私'は,昔からこのヘ短調バラードに夢中で,だからこそ運命のいたずらでこの第2稿の自筆楽譜を手に入れた喜びは名状し難い.しかし私が ('私' ではなくて) 納得できないのは,大作曲家の主要作品の異稿の存在を世界に知らせる行為を全くしない点である.Eco 流の倫理感で扱えば,大ピアニストはこの過ちに対する報復として死ななければならない.あるいは,ピアニスト生命を絶たれなければならない.確かに天才ピアニストはどの道死ぬのだし,ピアニストではなくなるのだけれど,それは倫理的制裁であるよりは寿命の問題に過ぎないようにしか読めない.そこが口惜しいのだ. | ||||
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