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コンラッド・ハーストの正体
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コンラッド・ハーストの正体の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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ベルギー生まれの新鋭スパイ・スリラー作家ウィグノールの本邦初紹介となる話題作です。まず私が本書を読み終えて悩んだのがタイトルの意味です。この題名はコンラッド・ハーストがどんな性格の人間だったのかという意味合いに於いては肯けますが、それ以外には文字通りの意味で彼の正体が別人だとかいうスパイ小説的などんでん返しがある訳でもありませんので首を傾げさせられます。はっきりした答は出せませんが、ふと閃いたのはもしも著者が二重三重の意味が取れる漠然とした題名をつけ謎めかして深読みさせる意図であるならば、それは十分成功しているといえましょう。さて、物語は9年間も殺し屋家業を務めて来た男コンラッドが最後の殺人をきっかけに病んだ自分の姿を思い知り、足を洗おうと決意して自分を知る4人を消そうとする思いを9年前に失った恋人アンネケへの手紙で語り掛ける形でスタートします。その後紆余曲折はありますが、結局の所本書の評価は果たしてこの主人公を許せるかどうかという一点に掛かると思います。私は自分の心を無理矢理封じ込めて読み切りましたが、やはり予想通り最後まで駄目でした。病んでいると言いながら自分の運命を呪って殺人を怒りの捌け口にしてきた訳で、目的を達する為に障害となる者を、感情を排して誰彼構わず情け容赦なく殺す姿は到底承服出来ず激しい怒りを感じます。本書の他の部分では、こんなに大人しくプロとして情けない隙だらけの組織があるのかと不自然さに呆れました。私は不謹慎ですが途中で怒りに駆られた組織の人間が主人公を殺せば物語が終わって丸く収まるのにと始終考えておりました。ラストに用意されたサプライズには少し哀感が漂いますが、私には人としての道徳感が欠落した男をかわいそうには思えません。やはり現代社会は何処か歪んでいると感じられ、非情でも人間らしさがあった昔のスパイ小説は良かったなとつくづく思います。 | ||||
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