田沼との激闘の日々は遠くなった。尚武館道場に入門し、兄弟子と立ち合い稽古に励む空也。

寛政七年仲夏、豊後関前藩の湊に降り立った坂崎磐音一家。

老中田沼意次が頼みとする将軍家治が病に倒れた。権勢に陰りを見せる田沼を葬ろうと、御三家らが動き出す。

佐野政言が城中で起こした刃傷騒ぎに起因し、田沼意次の嫡男・意知が落命する。

天明四年弥生二十四日。粛然と稽古に打ち込む磐音のもとに、霧子から急報がもたらされる。

小梅村の尚武館道場に現れた老武芸者。

改築中の尚武館道場に、読売屋の和蔵が訪ねて来た。聞けば、佐野政言が田沼父子を告発する闇読売をばら撒こうとしているらしい。

参勤交代で江戸入りした関前藩主・福坂実高を出迎えた磐音は、次期藩主の俊次に剣術の弟子入りを志願された。

田沼一派に襲われた豊後関前藩の跡継ぎ福坂俊次を守って、毒矢に切られた霧子。

三年余にわたる流浪の旅の果て、坂崎磐音とおこんが、江戸に戻ってきた。

甲府勤番支配の任を解かれ、江戸へと還る速水左近。だが、その道中を狙う田沼一派が不穏な動きを見せる。

豊後関前藩から密かに上府した、坂崎磐音の父で国家老の正睦。

寛政五年十月、江戸を見舞った大火事のあと、吉原に大勢の客が押し寄せる。

磐音は、関前藩留守居役の中居半蔵から、実父正睦が藩物産取引で不正を働いた疑いありと告げられる。

佐々木磐音は、南町奉行所定廻り同心・木下一郎太の相談を受ける。

京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和国室生寺に向かう一行と同道することになった。

出羽山形からの帰路、俄雨の宿場で磐音は、追手に襲われた若い侍を助ける。

旅の空にある磐音らの無事を祈りながら暮らす江戸の面々。

一面銀世界の紀州姥捨の郷で、磐音とおこんは生まれたばかりの空也を抱き、束の間の安息を得た。

江戸・三十間堀の小さな町道場が、怪しい証文を盾にした男たちから狙われている。

小正月を迎えた江戸。佐々木磐音は鵜飼百助のもとを訪ね、愛刀の備前包平を研ぎに出す。

年の瀬、門弟の餅搗きで賑わう尚武館を武芸者が訪れる。

尚武館を追われ、小梅村にある今津屋の御寮でひっそりと暮らす佐々木磐音とおこん。

薩摩国の国境に近い牛ノ峠に、一人の武者修行の若者が辿り着く。

京の都。祇園感神院の西ノ御門前で空也は、往来の華やかさに圧倒されていた。

かつての許婚・奈緒が身請けされた紅花問屋前田屋が、取り潰しの危機に瀕しているー。

千鳥ヶ淵一番町にある高家の屋敷に、おこんらと冬桜見物へと出かけた佐々木磐音。

江戸を離れ逃避行の末、磐音はおこんらと尾張名古屋に身を寄せた。

安芸広島城下で空也は、自らを狙う武者修行者、佐伯彦次郎の存在を知る。

坂崎磐音とおこんは危難に満ちた船旅を経て豊後関前藩へと辿り着く。母・照埜と念願の対面を果たすおこん。

安永七年正月。白梅の香り漂う新年早々、尚武館佐々木道場に朱塗りの大薙刀を引っ提げた道場破りが現れる。

尚武館佐々木道場で朝稽古に励む磐音を、元師範の依田鐘四郎が訪ねてくる。

秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。

吉原会所の裏同心神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五歳の浅草弾左衛門に面会した。

豊後関前藩の若き武士３人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。

坂崎磐音とおこんの帰りを待つ江戸。

数年にわたって修行の日々を過ごした西国を去ることに決め、福江島から船に乗り込んだ空也は、長州藩の萩城下に降り立った。

森藩藩主の命により、参勤交代に先行して国許の豊後国を訪れることになった小籐次。

玖珠山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。

吉原会所の頭取四郎兵衛の傷がようやく癒えた折り、またも吉原が脅威にさらされた。

吉原を過去最大の危機が襲う。会所頭取、四郎兵衛の無残な姿。

長く廓の用心棒であった神守幹次郎が吉原を率いる八代目頭取四郎兵衛に就任、御免色里の大改革が始まった。

武者修行中の嫡子・空也の身を案じる江戸の坂崎磐音のもとに、長崎会所の高木麻衣から文が届く。

端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。

文政９年初夏。太平の世を謳歌する江戸では近頃、貧しい長屋に小銭が投げこまれるという奇妙な事件が続いていた。

正月。小籐次は望外川荘、おりょうの実家、久慈屋と宴席が続き、掏摸を捕まえた駿太郎は、奉行所から褒美をもらうことになった。

正月を迎えた江戸。

安永二年、深川の夏祭りをめぐって、地元の親分の間で起こった諍い。

平戸を発ち、長崎へと辿り着いた空也は、島巡りの途中で出会った長崎会所の高木麻衣、奉行所の鵜飼寅吉と再会する。

吉原会所を嶋村澄乃と名乗る武家の娘が訪れた。裏同心として働きたいと言う澄乃に、一同は驚く。

八代の湊を出た空也は、五島列島の福江島へと辿り着く。

大志を抱き切磋琢磨した友を喪い、豊後関前藩を出奔した坂崎磐音は、江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る。

眉月に縁がある高麗の陸影を望む対馬へと辿り着いた空也。

十三歳にして剣術に優れ、研ぎ仕事の腕も上げた駿太郎はアサリ河岸の桃井道場に入門し、年少組で稽古に励む。

高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。

廓に上がらず、吉原で金を使わない地廻りと呼ばれる男の骸が切見世で見つかった。