言語化するための小説思考
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その他
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あらすじ
評判
言語化するための小説思考の評価:
8.00/10点 レビュー 1件。 B ランク
言語化するための小説思考の総合評価:
8.07/10点 レビュー 55件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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読み終えて、小説を書く暇があったら一冊でも多くの本を読みたという私のような読書人間と、小説を書いて生計を立てているプロ作家との間の大きな落差を感じました。
そんな私にも、印象に残ったことが、いくつかあります。
●小説家は、抽象化と個別化を通じて、知らない世界について書く。この抽象化と個別化がうまく働くと、『ペスト』や『一九八四年』や『カラマーゾフの兄弟』のように「普遍性」を獲得することができる。読者が「この小説は私について書かれている」と感じるとき、小説家はあなたのことを知っているわけではなくて、小説家自身のことしかわからない――わからないのだが、自分の体験を抽象化し、抽象化した構造を個別化する作業に成功しているのだ。
●僕の基準はシンプルで、どの作品が一番面白いか、という点に尽きる。じゃあその「面白い」ってなんだよ、小説の「面白さ」ってなんだよ、という議論はしていきたい。というか、僕が本書で明らかにしたいと思っていることの一つでもある。で、今回はその「面白さ」が読者の中で生まれていく過程で、かならず発生する問題について考える――作者と読者の関係性の問題だ。
●小説とは一種のコミュニケーションだ。著者は読者に向けて何かを語り、読者は語られた内容を読んで著者が伝えたいことを理解しようとする。コミュニケーションがうまくいくためには、語り手が聞き手に対して適切に情報を与えなければならない。加えて言えば、この「適切な情報」は(伝わる内容が同じであれば)端的であるほどいい。
●「主張」や「設定」は後から考えるべきで、最初に考えるべきなのは「書いてみたいこと」や「考えてみたいこと」だと思う。自分が小説という手段を通じて「書いてみたいこと」や「考えてみたいこと」は何なのかを考える。言い換えれば、大事なのは「答え」ではなく「問い」だ。それ自体は陳腐で構わない。その時点で自信がなくてもいいと思う。小説の面白さは、執筆の過程でかならず生まれてくる。創作をする上で気をつけなければならないのは、過程で生まれてきたディテールに宿る「面白さ」の種を逃さないことだ。
●小説のアイデアに必要なのは、いわゆる発想力などではなく、偶然目の前に転がってきたアイデアをしっかりと摘みあげる能力なのではないか、と僕は考えている。一人の人間が机の上で考えることには限界があるけれど、執筆の過程にはさまざまな偶然が待ち受けていて、その偶然をきちんと拾いあげれば「一人の人間の脳内」という限界を超えることができる。
●アイデアは生みだすものではなく、見つけるもの――すなわち「視力」である、と僕は考えている。
落差を感じたとか言いながら、印象に残ったことが随分あるではないか!