悲しき戦記
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人間とはこんなにも愚かな者とは・・・。改めて考えさせられた。 | ||||
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戦記を書かれた方はそれこそ星の数ほどいらっしゃいますが、伊藤桂一さんは実際に戦場に赴かれた方でありながら、文学を勉強されているということで、随一の存在だと思います。 とかく戦争ものというのは、時代に流されやすく、正しい記録と言うよりはある種の思想やイデオロギーを帯びやすいものですが、伊藤さんの文章からはその手の下心が全く感じられません。 自己正当化でも、自己卑下でもない。まして右でも、左でもない。 戦争賛美でもないし、いわゆる反戦でもない。 誰も書かなかった本当の下級軍人の姿を、ただ淡々と描いているところに私は大変好感を持てます。 さらに、戦記物の作者の方には大変優れた知識や調査力を持ちながらも、紋切型の文章を連発するなど、はっきり言って読むだけで疲れてしまう方も散見されますが、その点、戦前から本格的に作家の道を目指されていた伊藤さんの日本語は実に美しく、また味わいがあるのも素晴らしいと思います。 伊藤さんの軍歴を追いますと、中国戦線での長い従軍体験をお持ちですので、やはり中国戦線の作品に対しては、非常に思い入れがあると言いますが、我々の知っている日中戦争というものが、いかにある種の思惑やイデオロギーに満ちており、間違っているか、目が覚める思いです。 もちろん、伊藤さんが「全ての」日中戦争について、知っているわけではないでしょうし、また記しているわけではないと思いますが、それでも、伊藤さんの書かれたことを理解しなければ、真の姿には到達できないような気が致します。 それにしても日中戦争と対米戦争とは、全く違いますね。 右も左も決して言いませんが、伊藤さんの言われるところの同種同文同士の戦いは、もちろん残虐極まりなかったでしょうが、時として本書等に書かれているような救いもあったのかもしれません。 その点、対米英戦争には両方の側とも、そのようなものは「かけらすら」なかったわけですから。 ところで伊藤さんは戦記文学というものは「実際に経験したものに愛され、いずれ消えて行く運命にある」と何度も書かれております。 ですが、私は決してそうであってはいけないと思います。 巷を賑わせている「戦記物」がいかにいかがわしいものか。 「自分にとっての真実」を、「事実」として声高に主張している人が実に多い。 ですが、人間的真実と歴史的事実はイコールではないのです。 もちろん伊藤さんの書かれていることも人間的真実です。 でも、他人に押し付けようなんてことは全くない。 ただ淡々と、兵隊たちの思い、生き様が描かれているのです。 確かに下級兵士は全体像は見えないでしょう。 でも、従軍した人間の90%以上が下級兵士でした。 だから彼らに思いを寄せることは、大切なことではないかと思うのですが。 そういう意味で、ぜひ、若い方にも伊藤さんの作品を読んでいただき、その美しい日本語に触れて欲しいと切に望む次第です。 | ||||
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