初恋写真
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最近ちょいちょい読んでいる藤野恵美作品。表紙のイメージから「いわゆるアオハル系かな?」と思いつつ拝読。 物語の方は大学生として二年目の春を迎えた星野公平が所属する写真部の新歓ブースで友人の笹川と暇を持て余している所から始まる。中高一貫の男子校出身である公平だったが、一年生の時に「ノート貸して」と頼んで来た女子はしっかりと彼氏持ちであったり「大学生になれば彼女が出来る」という夢は叶わないまま。 そんな冴えない状況を笹川相手に愚痴っていた公平だが首からカメラを下げて写真部のブースに目をやる新入生らしき女子がいる事に気付く。女子に不慣れな公平がモタモタやっている間に声を掛けた笹川はさっさと花宮まいという名前と所属学部が二人と同じ法学部である事を聞き出してしまう。 大学生活における保護者役であり、まいの過去を知る「しず姉ちゃん」から本当に写真部で良いのか、女子だけのサークルでなくても良いのかと心配されながらもまいは写真部への入部を決め、GWに開催されたバラ園での撮影会に参加、初対面ではとっつき難い様に見えた公平の意外な親切さに触れ興味を持つに至るが…… 爛れた中年には眩し過ぎて目が潰れそうな「初々しさのスタングレネード」みたいな作品。異性に不慣れ過ぎる二人が武道家だってもうちょっと大胆に距離を詰めるだろと言いたくなるぐらい一つ一つ互いの距離を確かめながら近付いていく過程を丁寧に追った初恋物語。 構成の方はリレー式の一人称文体。要するにダブル主人公である公平とまいの一人称が交互に入れ替わりながらストーリーが進んでいく形式。この構成が互いにモジモジしながらも「ここまでは大丈夫だろうか?」「相手に変な印象を与えていないだろうか?」とおっかなびっくりで距離を詰めていく二人の心情を表現する上で効いていた感が。 恋愛関係でどちらかが慣れていればリードする事もできるのだろうけど、世間的にリードするべきであろう先輩で男性な公平が中高一貫の男子校出身で女子との交際経験ゼロというだけでもハードモードなのに、ヒロインのまいが高校時代に不登校へと追いやられた性被害の経験者で男性恐怖症なのだから難易度はナイトメアモード。 案の定というか何とかお部屋デートをするまでにこぎつけた公平がファーストキスをゲットしたまでは良いけど流れで押し倒しちゃった途端まいの男性恐怖症が発動してチェリーボーイからの卒業に失敗しただけでなく、女子との距離感が測れない自分を思い知らされ自信喪失する羽目に。 こんな主人公で二人の恋が実るとか不可能だろうと読者も不安になるのだが、まいが健気にも「自分の人生、このままではダメだ」と必死で男性恐怖症を克服しようと頑張るからストーリーが停滞せずに済む(上でご紹介させて頂いたリレー式一人称構成はこのまいの健気な努力を強調する部分において大いに効果的であった) かくて物語は石橋を叩いて渡るかの如くまことにもってもどかしい事この上ない感じで進んでいくのだけど、本作においてはこの「もどかしさ」こそがキモだったのかな、と。なんというか大学生ではあるけどまだまだ子供っぽさを残した二人が不器用ながらも何とか前に進もうとするのを手出しをせず見守ってやっている様な気分にさせられる。 そんな感じだからまいの辛い過去を「しず姉ちゃん」から知らされた公平がまいを不埒な男から守らねばと奮い立ち、勝手に自分の過去を公平に伝えられた事を知ったまいも「いつまでも守って貰ってばかりではダメだ」と奮い立ち二人が一気に前へと進もうとする所は「ガンバレ、ガンバレ」と大いに応援したくなった。 ……が、まいの男性恐怖心を克服するための「特訓シーン」でちょっと待て、と。 先輩とお付き合いして自分の人生を生きよう!→わかる その為には男性恐怖心を克服しないと!→わかる その為には先輩のナニを直視できるようにならないと!→おい、何を言い出すんだ ナニを視るだけではダメだ手〇キぐらい平気で出来る様にならないと!→ちょっと待て、ガール ……もう盛大にズッコケた。いやね、健康な若い男女が互いに好意を抱けば最終的に行為に至るというのは分かるんだけど、その行為に至るまでのステップがトチ狂っているだろうと。なぜ序盤からリアルな童貞&処女(レイプは男性との交際に含まれんだろうし)を描いておきながら肝心の部分でこうなっちゃったのかと作者には小一時間ほど問い詰めたい。 終盤の「特訓シーン」こそ盛大にやらかしちゃったけど、それまでの不器用な二人を見守るが如きストーリー展開には全くもって不満は無いし、この不器用極まりない初恋物語が醸し出す初々しさは間違いなく本物。若く未熟な二人を親目線で見守りたいという願望が満たされた感のあった一冊であった。 | ||||
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本屋さんが無くなってしまったので購入しました。 | ||||
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