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スキャン さんのレビュー一覧
スキャンさんのページへレビュー数2件
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※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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甘く、ほろ苦い青春を舞台にする学園ミステリを生み出す作家、米澤穂信。彼が手掛ける
”小市民シリーズ”第2弾 高校生、小鳩常悟朗は「小市民」たることを目標にし、同級生、小佐内ゆきと”互恵関係”を結び、日々精進を重ねている。 そんな彼らの2年生の夏、小佐内は小鳩に”小佐内スイーツセレクション・夏”という夏休みにおけるスイーツコンプリート計画を提示した。 小鳩は多少訝しみつつも、推理しようとする自分に鞭打ち、小佐内に付き合う。 一方、小鳩の旧友である健吾は、恋人(健吾本人は否定)の姉を不良グループから抜けださせるために奔走していた。 そして、スイーツセレクション達成間際、事件は起こった…。 以下のレビューは本書の細部について触れるため、『ネタバレ感想』とさせて頂きます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ユーモア、ファンタジック、ダーク。
あらゆるジャンルの独特の味わい、それらをほどよく織り交ぜ、 読者にひとときの”夢”を見せる作家、初野晴の寓話ミステリ。 脚が不自由な鞄修理人「シズカ」、人語を話す赤毛のサル「ノーマジーン」。 突然出会った二人(?)は、荒廃した世界の中で、共同生活を営んでいる。 シズカは初めは当惑しつつも、徐々にノーマジーンのことを理解し、受け入れていく。 そしてクリスマスの夜、シズカは自分の本当の気持ちを悟り、彼女の心に希望が生まれた。 ーしかし、シズカは残酷で、そして悲しい真実を知る。 初野晴の作品は読みやすい文体(これがいわゆるライトというものか?)でありながら、その裏には 社会派と形容しても過言でない重い要素が含まれている。 そして登場人物の、まるで見てきたかの如くリアルな感情が、読者に伝わってくる。 特にこの物語は、シズカのどことなく人生に失望したような(言い過ぎだろうか?)言動が印象深い。 が、ノーマジーンと出会うことで、次第に生きる喜びを噛みしめていく。 そしてラストでは、シズカは葛藤を乗り越え、自分の本当の気持ちをノーマジーンに告げる。 そのシーンは、読者に感動と、希望を与えるのである。 ーそう、希望。 この本の他に、初野晴の著書「1/2の騎士」「水の時計」では、ラストにて、今後を予測させる展開となっている。 ハッピーエンドなどという単語では表せない、なんとも言えない余韻を残してくれる。 私はそれに何度も感動させられてきた。 感動とか、絆とか、そして希望とかをミステリに求めるのであれば、初野晴の名前は外せない。 |
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