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言語化するための小説思考

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評判

言語化するための小説思考の評価:

4.04/5点 レビュー 54件。 B ランク

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平均点4.04pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全39件 21〜39 2/2ページ
No.19
(5pt)

小説を書く時、読む時に作者と読者に起こっていること

小説が好きなあまり、日常の中(例えば将棋)にも、小説を探してしまうという著者。
小説とは何なのか、小説を書くという事はどういう事か、小説を読む時に読者の中で起きる反応とは何か、それを踏まえてどのように書く必要があるのか、といった事を分析的に書いた書であると思った。
私が特に注目したのは小説の文章とはあらゆるものが相互に関係しており、言わば全てが伏線である、とも言える、というくだり。ならば、単に話者や状況を説明するためだけの文章や、知識を披露するだけの文章は避けるべきであるという事。これらはカート・ヴォネガットJr.が言っていた小説の文章に必要なものにも通じると思った。
自分が書くときに冗長になりがちなのはそこなのかと合点がいった次第である。
どちらかというと文学寄りの文章について書かれていると思うが、書くことと読むことの間にコミュニケーションがあるという点は、エンタメ小説でも同じなので、小説を書く人にとっては何かしら発見がある本だと思う。おすすめします。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.18
(5pt)

面白い

美容室のくだりが面白かったです
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.17
(5pt)

人気そうだから読んでみた感想

君が手にするはず…も読んでこちらも読みました。小川哲さんの著書はなぜか読了までに費やす時間が他の小説を読むより短い、1時間で100ページくらい読める。だからと言って書かれていることが単純だとかそういうことでも無い。この本に書かれていることは小説が好きな人は理解できるし、小川さんの想いを理解したい人が読むとは思うのですが、小説好きの人に刺さるか少し疑問に思ってしまいました。というのも読んだからと言って驚きはあまり無く、そりゃあそうだよね、逆にそれ以外ある?と感じてしまいました。日常的に小説を手にしている方々にはもうすでに理解されていることを順を追って説明されているように感じてしまいました。私は小説など書こうと思ったこともありませんし書くつもりも無いですが、小川さんが本書で伝えていることはほとんどすっと理解できました。つまり目新しいことには出会うことはありませんでした。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.16
(5pt)

物を書く人も、読む人も、そうでない人も。

読書録「言語化するための小説思考」5

著者 小川哲
出版 講談社

p144より引用
“小説の魅力は(というか、あらゆる芸術作
品の魅力は)、言語に圧縮されたファイルを
読者が脳内で解凍し、「人間の認知」へ、
そしてその先の「世界」へ広げていく過程
にあるはずで、小説から作られた小説は解凍
したところで他の小説に突きあたってしま
う。”

目次より抜粋引用
“小説国の法律について
 小説の「勝利条件」
 「文体」とは何か?
 小説はコミュニケーションである
 「伏線」は存在しない”

 小説家である著者による、小説を書く手法
と考え方等を記した一冊。
雑誌「群像」連載、「小説を探しにいく」
改題新書版。
 各作品における決まりごとと読み手の中
の決まりごとについてから、コミュニケー
ションとしての小説他芸術についてまで、
著者の手法や考え方を惜しみなく記されて
います。

 上記の引用は、小説の感動を小説にする
行為についての著者の考え。
書き手側の思いや考えを、一定の解凍ソフト
で展開出来るようになれば、より大勢に読
んでもらえるようになるのかもしれません。
しかし、答えの出し方を一つにしてしまう
というのは、奥行きと広がりの少ない世界
になりそうです。
 物語によって現生人類は繁栄してきた、
というのが「サピエンス全史」で書かれて
いたように記憶しています。
その物語を作っていたのが昔は宗教家や思想
家で、それらのより圧縮比の高い考えを、
細かく解凍して広めてきたのが、今の芸術
や作家なのかなと思われます。
今後これらをになっていくのが、AIの役割
へと変化するのでしょうかね?
 7項の伏線についての記述は、なんだか
とても腑に落ちます。
最後の文を読むと、著者はいきあたりばっ
たりが上手いのだなと、思ってしまわざる
を得ませんでした。
 11項、「小説の見つけ方」を参考にして
日々を過ごすと、日常をよりドラマチック
に生きられるのでは?それとも、考えすぎて
疲れてしまうのか?
 物を書くにしても読むにしても、あまり
本を読まない人でも、日常により彩りを与
える考え方になれそうな一冊。
一番大事なのは、「書き始めること」そして
「行動すること」なのかと。始めることで、
その他の物事も動き、その中に何かを見つけ
だせるようです。

ーーーーー
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.15
(5pt)

普段本に線を引かない僕が、3箇所もマーカーを引いた理由

趣味で10年ほど小説を書いていますが、本書は巷に溢れる「小説技法書」とは一線を画す、極めて本質的な一冊でした。

普段、古本に出すことを考えて本を綺麗に読む私が、思わずピンクのマーカーを引いてしまった箇所が3つあります。

■ 特に刺さった3つの視点
• P.38: 小説家が「知らない世界」をどう捉えるか

• P.93: 「主張」や「設定」よりも先に考えるべき優先順位

• P.108: アイデアの正体は「生み出すもの」ではないという定義

これらは、創作において迷走しがちな「視点」や「気づき」を鮮やかに提示してくれました。

■ 本書が他の技法書と違う点
本棚を埋め尽くす技法書の多くは「書き方」を教えてくれますが、本書は「小説家の思考プロセスそのもの」をなぞらせてくれます。

「他の人はどうやって物語を立ち上げているのか?」という尽きることのない興味に対し、小川哲氏の脳内を覗き見るような感覚で応えてくれました。

また、創作における「再現性」に悩んでいる方には、暗闇を照らす道標(ガイド)になるはずです。自分なりの方法論に「あと少し何かが足りない」と感じている隙間を、本書の言葉が埋めてくれるかもしれません。

■ こんな人におすすめ
• 創作に行き詰まりを感じている書き手

• 小川哲氏の作品が、なぜあそこまで面白いのか知りたいファン

• 文学的なアプローチで小説を考察したい方

正直、小説を書かない人がどう読むのかは想像がつきませんが、「物語を編む」という孤独な作業をしている人間にとっては、再読の価値がある一生モノの一冊になると思います。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.14
(4pt)

「言語化するための小説思考」は人生に役立つ

小川哲の本は基本的にすぐ買う。すぐ読む。面白い。それだけでいいといえばいいのだが、やはりそれはなんなのかを知りたいと考える。この本は小説の作法だけでなく、あらゆるコミュニケーションや創造行為、時には生きていくうえでいちばん大切なリズムの作り方のようなものが書いてあると思う。「言葉を生みだす過程で働いている思考の動きを言葉にする」これがテーマです。
この本では、「情報」という言葉がキーワードになる(いまならだれしも言いそうなことだが)。
小説を書くとは、読者に読ませるためのフィクションを書くことである。ところが、最初、読者は情報量ゼロで作者は情報量マックス、という状態だ。つまりどんな内容を読まされるのか、どんなことで自分の貴重な時間を割くのか、読み手はわからない。これでは不安になる。だから最初に作者は、この小説が読み手にとって面白いと思ってもらうための情報を与える必要がある。これは、旅行者に列車の切符を買ってもらうことに似ている。切符を買おうとするのだが、その切符に行き先が書いていないのでは困る。旅行者は当然不安になる。そこで、〇〇方面の列車であるとか、途中でこんな景色が見られるとか、こんな体験ができるとかいうそれなりの事前情報が必要となる。いわば契約書の中身のようなものだ。同じように小説家は、作品の中で、読者に対して(暗黙のうちに)ある種の契約を取り結ばなければならない。これが情報の出し方、という小川哲の考え方である。不特定多数の、趣味も人生も感性も異なり、会ったこともない人間に物語を読んでもらうには、あなたの時間を奪うことと引き換えに、こんな世界に導くということを最初に明らかにしておかなくてはいけないのだ(もちろん、ミステリーツアーというのがあるように、わざと情報量を絞ることで、読者の不安と好奇心を利用する契約もある)。つまり、小説とは読者とこうしたコミュニケーションを取ることで成立するものだというわけである。この後は、小説とは、結局小説とはどこにあるか、を探す旅のようなものだと語られるが、そこらへんのロジックはぜひ読んでもらいたい。
一番役に立つとぼくが思うのは、アイディアの出し方。
自分が不得意な分野に手を出してみる、日頃からアンテナを張る、いろんな人と話をする、連想力を高めるなどこれまでいろんなことが言われてきたが、ぼくは小川哲のかんがえがいちばんしっくりくる。自分が書いた文章のなかに、思わぬアイディアが含まれている。自分が書いてしまった文章が、収拾がつかなくなる、そのときこそ、アイディアを生みだすチャンスだという考え方だ。むかし、京都学派のひとりで木村素衛という哲学者が「表現愛」という概念を提出していたのを思い出した。あらかじめ表現したいものがあるというのではなく、「表現すること」で「表現対象を生みだす」というものだけど、アイディアもまさしくそうしたもの。
ただ、表現を「情報」の出し方に還元してしまうと、大事なものを見落とす可能性があると思う。おそらく、そこが小川哲の弱点。彼の今後が楽しみですね。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.13
(5pt)

絶対に読んだ方がいい

めちゃくちゃ面白かった。小説と言う奇跡を解読し、理解するための本。そこにはなんの奇跡もなく理論がある。すごく読みやすくて面白くて内容も理にかなった物なのでおすすめです!
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.12
(5pt)

(日常に存在する)小説(的なもの)の見つけ方

文芸BRUTUSで1章読んでいたので待望の書籍化。

日常には小説(的なもの)になり得る事象がたくさんあって、それをどうやって小説(的なもの)に変換していくのかを、小川哲なりに書き綴った作品。筆者も冒頭で、「この世の多くの原理は抽象化していくと似た構造に突き当たる。その点で、抽象的な話に終始する本書は、きっとあなたの興味に重なるはずだ。」と書いているが、決して小説家を目指す人のための本ではなく、文章を書く人、いや何か他者に表現を用いて何か伝える人に視座と、日常の過ごし方を考えるきっかけを与えてくれる作品。

若干、小説思考というタイトルの一言が読者層を狭めてしまいそうでもったいない気がする。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.11
(4pt)

思考実験

"小説家に必要とされる想像力とは『物語を創作するためのもの』と理解されがちだが、僕は『顔の見えない読者を想定するためのもの』という側面も大きいのではないかと思っている"2025年発刊の本書は『小説家』という"神話"と、『小説』という"奇跡"を徹底的に解体した一冊。⁣

個人的には著者の『地図と拳』他を既読だったことからタイトルに惹かれて手にとりました。⁣

さて、そんな本書は執筆においてプロットは立てないことでも知られる著者が【小説を書くときに考えていること】を可能な限り言語化してみよう。という試みの軌跡が記された、ある種の実験小説となっていて、作者と読者のコミュニケーションである小説について。『小説国の法律について』から始まり、終章の『本気で小説を探しているか?』で終わるまで。いわゆるハウツー的なわかりやすい創作術と違って、『自分の価値観』を捨てて、自分の知らない『小説』を探すプロセスが、あの手この手で記されているのですが。⁣

AIの加速度的な進化で、最大公約数的なテキストが創作においても溢れかえっている現在。著者の小説家としての思考の一端を垣間見ることができる読後感があって楽しかったです。⁣

また小説という。商業的にはより多くの他者からの支持が求められながらも、それだけが決して全てではない芸術としての側面について。考えさせてくれるのも良かったです。⁣

著者ファンの方はもちろん、小説を書いている全ての方にオススメ。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.10
(5pt)

本当は低評価にしたい

小説という、一見神技に見える営為を極力体系的に、理性的に捉える事を試みた一冊。文章全体から著者の誠実さが伝わり、真に迫る内容である事が感じられます。
本書の内容をあまり広めたくないような、自分だけの秘密にしたいような気持ちになるのも、きっと本書から著者の人柄が伝わるからでしょうね。(あるいはこの感覚すら、著者による操作の結果でしょうか。)
広めたくないので低評価にしたいところですが、作者に倣って誠実な評価をつけます。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.9
(5pt)

✨️何を伝え、何を残し、誰のために書くのか。作り手側と読み手側それぞれの気持ち✨️

なぜ小説を書くのだろう。なぜ書いてみたいと思うのだろう。その考えを数多の言葉から探してみるが、文章にするとなぜ伝わらないのだろう。何が問題か。言語化するための小説思考。意識の届かないところに発想はある。共感できない部分に価値はある。何を伝え、何を残し、誰のために書くのか。作り手側と読み手側それぞれの気持ち。それぞれに合わせた文章の書き方はあるが、どうしたら面白さにつながるか。伝えるために必要のない情報を削ぎ落とし、加えてはまた削り、生み出された発想は形にならなくても記憶に残り、いずれ小説で紡がれるだろう。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.8
(5pt)

氏の小説好きなら、おすすめ

好きな作家が自らの仕事について書いてくれている、それだけで贅沢なのに、さらにそれを捌いて思考にしてくれました。
最高か。
私は勝手にこれを食らって、止めてた創作の続きをやろうと思いたちました。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.7
(5pt)

軽快な文章

奥付に「まえがきとあとがきは書き下ろしです」って書いてあって笑った
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4065410436
No.6
(5pt)

爆笑

最後の小説が笑ってしまった。ユーモラス。25/11/15読了。
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4065410436
No.5
(5pt)

何をどう書くか

小説に限らず文章でなにかを伝えたい時、本書の観点は多くの場合で有用である。相手が誰、何を伝えたいか、どのように連れて行くのか、最後には認知させるのか。作る側の醍醐味を知り、改めて著者の小説を読みたいと思ったし、何より自分も何か書いてみたいと思うことができた。
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4065410436
No.4
(5pt)

恣意的、という言葉の意味

恣意的とか恣意性という言葉がよく出てきますが、小川哲さんは、最近よく誤用される「意図的」という意味で使っているのか、本来の意味である「独断的」「勝手気まま」で使っているのか、どっちだと思いますか。小川哲さんほどの人でも「意図的」という意味で使ってるなら、もうそっちになってしまったんだな、と思って。
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4065410436
No.3
(5pt)

小説の読み方が変わる本

誰に向けたもので
何を知ってほしくて
情報の順番が大事で
全部を書けばいいわけじゃない

アイデアは「視力」(つまり観察力)で
自分の認知を「話」に落とし込む
届けたい誰かに正確に届くためのやり方を模索する

小説思考はデザイン思考に通ずるのだなと思った。
小説の読み方がちょっと変わった。
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4065410436
No.2
(5pt)

どんなジャンルでも必要な作品の考え方

資料や会議、企画にも通ずる考え方だと思う。届けたいと思う人に最高の作品を伝えるにはどうしたら良いか。
道標を示すことかもしれないし、世界観に浸ってもらうことかもしれないし、分かりやすい説明かもしれない。
答えはないが、それでもお互いがいいね!となれるように問いを作り答えを仮に立て、考えたことを全く知らない人に前提を共有し、目的と背景ストーリーの中でメインメッセージを作ることは全てに共通していると思う。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436
No.1
(4pt)

娯楽であって芸術であるミドルレンジの情報の弾丸

2025年、10/21出版。初出は、2024年7月~2025年6月の『群像』の「小説を探しに行く」。
 小説の技術において、一番重要なことは、「順番」となります。見知らぬ読者に、どういう順番で文章という情報を並べるか。情報量をいかにコントロールして、読者とコミュニケーションをするか。読者は多様で、小説家自身に小説の作法があるように、読者にも個々の小説のあり方についての作法がある。
 文章は、端的で的確で、単なる情報伝達以上の暗示を含むように、そして「象徴的で影響力の大きな出来事」を伝える連鎖で、基本的な小説は構成される。
 小説家になりたい人は、主題や設定などから入らず、書きたいことや考えたいことから、始めるとよい。アイデアから入ると、専門的になるか陳腐化するか、になりやすい。執筆している過程の中で、小説家はアイデアの種をまき、芽吹かせ、それをつまみながら、個人の想像の限界を超えていける。
 小説とは何か、と考えていると、自分自身の価値観が一番縛るものとなる。それは捨てなければならない。自分がダメだと思って、下に見ている作品は、低俗だと判断しているとき、自分は、そこから得られる新しい可能性を捨てている。その拾い損ねた可能性を、真剣に「分析」するためにも、小説家は、作品を書こうとしなければならない。
 小説の面白さは、人間の認知した世界の質と、それを文章に圧縮する技術のかけ算によって決まる。AIは小説から小説を生成している。それでは、小説を解凍する読者は、小説を読むことから現実世界の認知へと拡大することができない。
 「小説には正解がない」。それぞれの作者が自分自身のやり方で、小説を探していく過程にしか、小説の先の何かを、読者に与える小説が生まれる可能性はない。

【感想】
 他者、言語化、コミュニケーション、いつからこういう言葉がゴロゴロと批評の界隈に並べ立てられるようになったのだろうか。どこにでも現われる抽象用語の氾濫に何を仮託しているのだろうか。偏見は悪だと思うとき、偏見の有用性を考える力が落ちていく。しかし、偏見という一つの見解を俯瞰しながら、考えるということを自らに課しながら生きるのは、脳疲労一歩手前になるような、一歩一歩歩くたびに、下が氷でないかと不安になるような。ケア労働する側がいずれケア不可能な疲労に沈み、歴史の針がまき戻るときが到来し始めている気がする。
 逆説的な価値観の転倒を、どこかで気づきとして与えようとばかりすると、重箱の隅から抽象への飛翔に失敗するSNSの炎上となりかねない。その絶妙な塩梅のうえに、小説のナイフエッジがあるのだろう。出来事が微細すぎては象徴性を保ち得ない。
 ○○思考という本は、今の売れ筋なのかな。そういえば、タイトルについては何も書かれてなかったような気もするような。そんなこといってしまえば、ペンネームはどうするか、本の表紙、執筆環境とかまで伸び散らかすか。言語化するために小説の思考の仕方が役に立つよみたいなビジネス本ではないはずだけど、本屋でビジネス書コーナーにおいてはあったなぁ。
 コミュ力という時代があったけど、もう自己PR力とでも言えそうなSNS時代。
 足で、隠れて何かをする。手と口は、納得しているかのように。そして、相手も、そういう振る舞いの中で。白鳥がバタ足をするように。必死なことは、真に必死だから水面下でブラックボックスの中で、アタマの中で――。
言語化するための小説思考 Amazon書評・レビュー: 言語化するための小説思考より
4065410436