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パラレル
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パラレルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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芥川賞を受賞したときから、長嶋さんのことは気になっていたのですが、この「パラレル」で初めて著作を手にしました。 そんなに期待しないで読み始めたのですが、すごく文章が巧くてびっくり。物語中、イベントらしいイベントは起こらないにも関わらず引き込まれてしまって読むのを止められませんでした。 主人公は元ゲームクリエイターの七郎。×イチ、仕事無し。元妻からは何故か毎日メールが届く。声をかけてくれる知り合いはいるものの、仕事を再開する気にはまだなれない…。そんな冴えない中年男のリアルな生活が、七郎の一人称で淡々と語られます。 過去と現在が交錯する構成で、学生時代からの友人・津田や元妻の恋愛も絡まりつつ…七郎は緩やかに緩やかに再生してゆく。その過程を見守っているのがとても心地よかったです。 一番印象的だったのが、七郎が津田と、団地の屋上で朝を迎える場面。こうした局面を経験しながら、人は否応無しに大人に「ならされて」いくんだなぁ…としみじみしてしましました。 | ||||
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主人公の名前がまず、いい。 「七郎」って聞くと、ある年齢以上の人は、深沢七郎を思い出すと思うけど、(実際、作中で本人も、父親はそこから名前をつけたって言ってるし)でも、深沢七郎を知らない人の方が多いと思うので、「七郎」って名前の響きは、なんだか大勢の兄弟の中の下のほうの、のんびりしたというか、どうでもいいっていうか、なんかそんな感じ。 七郎は、成り行きでなんとなくゲームディザイナーになって、 ある程度ヒットしたゲームをつくり、今はそのおかげで食っている無職の三十代の男。 会社をやめたのは、今の世の中の経済について批判的な思いがあったためだが、一昔前の時代の人とは違い、声高にその意見を主張したりしない。 ただひとりの親友は、対照的に、がむしゃらに経済的成功を追及し、一度は社員50人から抱える会社の社長になるが、ついには、倒産してしまう。 しかし、彼もまた、どこか深刻さに影がなく、飄々と時代を生きているような感じを受ける。 この二人を軸に、主人公の離婚した元妻や、親友の付き合っているキャバクラ嬢、そして弟子(この、弟子という言葉は、男の生き方について一つのテーマにもなっていて、この辺は女の私には絶対ない発想に思えて面白い)というべき存在の男たち。 彼らが絡みあい、交錯しつつ、でも淡々と物語が語られていく。 この語り口が作者独自の世界で、とてもいい。 脱力系というか、ちいさな宇宙観というか。 「神は細部に宿る」って諺もあるくらいだから、 人生の大事な部分は、こういう些細な生活のディテールにあるんだと、つくづく思わせてくれます。 「結婚は文化である」とか、「恋人でも、家族でも、友達でもない、弟子という存在」とか、 それぞれの登場人物が何気なく言う台詞は、読んだ人それぞれの自分の今の心境に、すとんと胸におちてくるものが、一杯つまってると思う。 しばらくして、読み返すと、今回とはまた違ったところでぐっと来るものがありそうだし。 きっとずっとそばに置きたくなる、お気に入りの一冊になると思います。 | ||||
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妻と別れてぷらぷらしてる元ゲームデザイナーの向井七郎、向井の大学以来の友人で社長の津田。二人ともいい味の駄目人間である。その度合いは町田康と張るくらい。 いとおしくなる人々は沢山描かれている。また著者は男性なのだが、女性か男性か分らない。そのフラットな語り口で90年代以降ののっぺりとして滑稽な空間からこぼれてしまいそうな破片を拾いあげ、描き出す。 結婚と離婚、加害者意識と被害者意識etcそういったテーマも自然と見つかるだろうが、長嶋有さんの小説はもっと私たちに「ひっかかる」小物が散りばめられていて、大味な小説では表現されない、戸惑いやもどかしさを私たちにもたらしてくれる。 もし興味が湧いたらポプラ社のサイト内の「ポプラビーチ」の連載『電化製品列伝』を読んでみるといいかもしれません。長嶋さんの著書に登場する電化製品について、ときに作品と絡めて、ときに時代的なものを感じさせながら綴られています。バックナンバーも読めます。長嶋さんのエッセイとして、そして「電化製品」のアーカイヴとして機能していて、いろんな意味で貴重だと思います。 「パラレル」と並行して読むと楽しさもひとしおです。 | ||||
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著者初の長編小説?(「ジャージの二人」は長編と違うのかな?) とはいえ、いつものような淡々とした物語の運びで スルスルと読めました。 | ||||
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