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欲望の街
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欲望の街の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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重厚。ストーリーよりは人物重視。ブローナーの特徴とも言えるアメリカの腐敗社会の描写が圧巻の一冊。 主人公は刑事でも探偵でもなく、一介の保護観察官。そして手のつけられない黒人不良少年が彼の前に立ちはだかる……というと、何だか軒上泊のアメリカ版か、と思われ る。しかし、さすがアメリカの不良は、日本の同世代のようには一筋縄では行かない。それどころか主人公の保護観察官を含め、市民を恐怖に落とし入れるほどの迫力を備えており、血と殺意に満ちた短い生涯をめざそうとするデカダンスな姿勢を見ていると、まるで現代版ビリー・ザ・キッドである。 主人公の保護観察官は、街の若者たちの多くの問題を抱えているが、そこに客観性を持ち込むというよりも自分自身をより深く関わらせ!てゆく独自の動きをしてゆく。少女に惚れ込み、不良少年の威嚇にはビビる。だからこそこの腐敗の街には特別な物語が流れてゆくのだろう。変化を求めないごく普通の市民たちは、物語をあまり作り出さな いだろうけれど、ここでは積極的に関わり動いてゆく主人公、そして彼に憎悪を燃やし対決を迫る一人のティーン・エイジャーという構図が光り、徐々にだが緊迫感を高めてゆく。 物語がこれ以上もない沸点に達したとき、街は燃え盛り、物語は終わりを告げてゆく。何かの救いとか良心といったものはここにはなく(ブローナーはいつだってそうだ)、ただあるがままのアメリカの病んだ現実がぼくらの中に冷たい風を吹かせる。「社会派問題作」という形容が最も似合うような小説と取っていただいていいかもしれない! | ||||
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