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解読! アルキメデス写本
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解読! アルキメデス写本の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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『誰も読まなかったコペルニクス』のレビューで書誌学の本はあまり面白くないなんて言いながら、「数学史を覆す世紀の大発見」に引かれて(まあ、騙されて。って、世紀の大発見とは何ぞやの問題だから、騙したというのはいかんか)買ってしまった。 アルキメデスの著書の写本の羊皮紙がリサイクルされた古写本(インクを削って祈祷書にした)が、オークションに掛けられてから解読に至る物語。こう言う重複使用された古写本を「パリンプセスト」と言うそうな。落札した大金持ち(Mr.B だそうな。B は Bill ではないとか。そうすると、Steven Ballmer かしら。)から世話役に指名されたウィリアム・ノエルと数学的内容の解釈をしたリヴィエル・ネッツが、書誌学的な古写本の解読の話と、解読された数学の意味を交代に書く形式である。 いずれも、なかなか面白そうなのだが、個人的には、解読に出てくる手法が私にとっては原理が既知のものばかりで、イマイチ面白くなかった。「一番いいのはXRFで元素マッピングだよなあ」と思っていたら、最後に出て来て快刀乱麻で読めるようになったと言う落ち。もちろん、それを使うのが簡単ではないとは思うけれども、「なあんだ」という印象は否めなかった。 一つ面白かったのは、個人所有で所有者が解読の費用を持ったことが、解読を効率よく進めた事実。これが、公的な研究費を使っていたのでは、研究費の請求、審査、交付、に時間がかかるし、足りなくなった時にはどうしようもない。もちろん、所有者が悪ければ正反対の結果になるわけで、一般論として個人所有が良いわけではない。この辺は「王制」と「民主制」の関係にも似て、制度を考える切り口になる。 数学の方については、実無限が認識されていたというのは、あまり説得されなかった。もう一つの新発見「組み合わせ問題」の方も含めて、面白いことは面白いのだが、西欧の数学の体系がここから転がり出したとは思えない。ここまでなら、アラビアでも出来ていただろうし、わが国が生み出した和算もある。これが、数学の体系になっていくところこそが、現代につながる西欧文明の本質なのだろうから、アルキメデスがこれを考えていたことが「世紀の大発見」は、ちょっと言い過ぎなのではないだろうか。 | ||||
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