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無限の猿
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無限の猿の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全1件 1~1 1/1ページ
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シャレている。ハードボイルド探偵が気障でタフでハンサムで女にもてるという公式はなんとかならぬものか、と思うものの、これはたぶんレイモンド・チャンドラー症候群なんだろうと自分に言い聞かせて読むのだが、やはりというか流石というか、1987年、レーガン大統領時代はハメットのようには行かず、同世代のスティーヴン・グリーンリーフを思わせる、格好良いことはセオリー通りだが、マイ・スイート・ホーム主義というか、こじんまりと一人の女性への愛に収斂していくのは時代の違いというものだろうか。 グリーンリーフの「タナ―・シリーズ」にも感じたが、アメリカでの人生の苦みをへの字に唇を曲げるような風味で、笑い飛ばすでもなく、苦々しくでもなく、英国風でもなく皮肉っぽく描く軽みのある渋さがあり、探偵小説、ミステリ小説というよりは、ちょっと犯罪風味のある普通小説として読んだ。 シェイクスピアを引用したり、反面アメリカンヒーローを出して来たりと、第一タイトルからして「け無限の猿にタイプライターを叩かせたら、どれかはシェイクスピアの作品を無自覚に叩き出すに違いない」という数学問題からとってきているのだから、著者の博覧強記、ないし衒学趣味はわかろうというものだ。 だがガシェットこそペダンチックだったりコカインを出して来たりだが、読後感はエンタメだから軽いが、著者、アメリカ風の私小説というか、軽さの中にずっしりした部分があり、ミステリとは思わずに楽しく読み終えてしまった。 アーロン・エルキンズ「画商の罠」にも通じるが、登場人物の誰もが魅力的だった。 ところで著者は1937年7月18日生まれ…日本では塩野七生(1937.7.7-)と11日違いで、塩野七生同様健在である。ロバーツは邦訳されていない「ミラン・ヤコヴィッチ」シリーズが好評で、これはこの「無限の猿」が含まれるサクソン・シリーズと同じく1980年代後半に始まり、2016年まで刊行されているのだから大したものである。 アメリカには日本には未知のままの文芸の宝庫がたくさん眠っているのだろうな、と思わされた。 | ||||
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