昭和十四年五月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の四ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。

斬るか斬られるかの厳しい剣の世界で死と隣り合わせに生きる剣客たち。

3度にわたる、7年にもおよぶ兵隊暮らしの原体験を礎に『蛍の河』で直木賞を受賞して以来、営々として戦争小説を紡いできた戦争文学の第一人者が、82歳のいまもなお心気横溢、兵隊と戦場生活を語り継ぐ。

直木賞作家、伊藤桂一の体験的小説の書き方。

飛び交う揚羽蝶を目隠しのまま斬る秘剣の持主が、人妻と脱藩した。

軍隊の常識、戦場の生活、敵との戦闘、生と死。

ふとした出来心で、追い詰めた強盗から金を受け取り、目こぼしをしてしまった浜吉親分。

直木賞作家が生と死の戦場を鮮やかに描く実録兵隊戦記。

釣りというのは、魚を釣ることもそうだが、風景をも釣ることではないか―釣り師は、清流や渓流沿いの風景に身を濯われることが何よりもたのしいのだ。

天網恢恢疎ニシテ漏ラサズ!が口癖の、風車の親分こと御用聞の浜吉。

奥深く混沌とした戦場から生みだされる悲しき兵隊たちのそれぞれの人間模様。

鬼怒川沿いの大きな宿場町、阿久津。行き交う多くの人々で賑わいを見せているが、何かと事件も多い。

直木賞受賞作「蛍の河」の文学界の重鎮が今なお営々と書きつづける悲しき兵隊戦記。

直木賞受賞作「蛍の河」の文学界の重鎮が今なお営々と書きつづける悲しき兵隊戦記。

南京攻略戦の真相を衝く表題作、崑崙関の死闘を描いた南寧作戦ほか二篇を収載する感動の戦記文学。

しがらみを乗り越えて結ばれる恋。はかなく消える恋。

名もなき兵隊たちの生と死と愛を凝視し、描きつづけてきた直木賞・吉川英治文学賞受賞作家の戦場ロマン。

ここに凝縮された人生がある―銃弾飛び交い、硝煙渦巻く苛酷な生と死のはざまで、ひたすら戦いつづけなければならなかった名もなき下級兵士たちの真情と人間愛を謳いあげた感動の戦話集。