白露: 警視庁強行犯係・樋口顕
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| 刑事 樋口のシリーズは大好きです、欠かさず読んでます | ||||
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| ストーリー展開が奇抜で一気に読み終えた。 | ||||
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| コテコテの民族主義者である著者にしては珍しい意外なテーマ設定〜在留外国人差別を否定的に問題視して捜査を進める主人公。その一方で、SNSに翻弄される若者やコンプライアンスに神経質な企業などと言った昨今の世相に強い抵抗を表明させる。そう言う意味で、著者の政治的イデオロギーは、神谷(宗弊)に与すると言うよりは百田(直樹)近い懐古主義思想である事が強く理解出来る異色作。 | ||||
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| MLBシーズンが終わるといよいよ「読書の秋」。やっと、読書がすすむようになりました。しかし、何と秋が短くなってしまったのだろう(笑)。 今野敏の著作を読むのは、「一夜 ―隠蔽捜査10」(2024/1月)以来になります。作者は、速射砲のようにその著作をリリースしまくっていますので、誰がどの組織だったのか困惑してしまいます(笑)。 主人公は、警視庁強行犯係・樋口顕。事件は世田谷、二子玉川あたりで発生します。時代を表す或る企業の本社があるあの土地で。工事現場で南アジア国籍の男性の刺殺体が発見されます。殺人犯捜査係の刑事、樋口が現着します。何より捜査本部より早く、SNSであたかも犯人を特定するかのように、その外国籍の男の写真や住所が晒され、検証されないままの情報が錯綜します。何故、誰が、その情報を振り撒いたのか?樋口はそのバランスの取れた思考をじっくりと保持したまま、多くの捜査員たちの協力を得て、その殺人事件を解決へと導きます。 入管法、世界の常識とは?、防犯カメラとDNA、外国人の労働力無くして自国を贖えないこの国の実状、外国人差別、企業コンプライアンス、あらゆる種類のハラスメント、そのことを理解しながらどう対応すべきか惑う我々、それらのアクチュアルなファクターを散りばめながら、一つのリアリティの高い(ありそうな)事件を構築しつつ実際の事件の解決とそのことに伴う<精神性>についての或る解決策を作者は整然と開陳して見せてくれます。そのキレのいい凄みに感嘆しました。 事件は若干小ぶりであり、その単純明快なエンディングに少し肩透かしを食ったりもしますが、一人の刑事の陰にまるで<相談役>のように国会議員・秋葉が控えていて、そのことがまた或る疑問(課題)に対する示唆を与えてくれます。 「いつからこんな社会になってしまったのだろうと、時々樋口は思う。・・・・」(p.54) その疑問は私もまた常々心の中で嘆くことでもありますね。 その答えは本書の中に隠されていて、尚且つそのことはタイトル「白露」が良く示してくれます。 事件が起きたのは九月、夏から秋へと向かう「白露」の頃、そのことはこの国の今を未来をシンボライズしているのかもしれません。「英国」は見本にはなり得ない。しかし、向かう方向は見せてくれているように思えます。 そして、この国にとって、可能であれば秋が少しでも長く続いてくれれば・・・ ◻︎「白露 警視庁強行犯係・樋口顕」(今野敏 幻冬舎) 2025/11/24。 | ||||
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