ラベンダー・ドラゴン



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    ラベンダー・ドラゴン (1979年) (ハヤカワ文庫―FT)

    -1年11月30日 ラベンダー・ドラゴン (1979年) (ハヤカワ文庫―FT)

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    (1pt)

    龍が流暢に語る話

    フィルポッツによるファンタジー小説という非常に珍しい作品である本書はしかしその予想を大きく裏切る内容である。

    題名に示すように登場するのはラベンダー・ドラゴンという美しい鱗に覆われた巨大な古竜でラベンダーの香りを放つことからその名がついた。物語は武者修行中の若き騎士ジャスパー卿が最後に出くわしたこの竜との戦いを描くかと思えば、その予想は大きく裏切られる。

    ジャスパー卿は決闘を挑むも古竜に躱され、別の場所と時を告げられる。そしてその決闘の場所に赴くと不意打ちを食らってさらわれてしまう。

    そして辿り着いたのはドラゴンが創った理想郷とも云える村。そしてそこにはドラゴンに食われたと思われた人々が実に愉しく暮らしていた。

    そこから繰り広げられるのはその理想郷に暮すようになったジャスパー卿とその従者の結婚とラベンダー・ドラゴン、即ちL・Dの長ったらしい講釈の数々だ。

    それは理想的な街づくりの話であったり、理想の生き方や思想、教育論など様々だ。

    それはさながら仏教の教えのような様相も呈してくる。
    即ち万物の命は皆尊いとか謙遜の心が足らない―これは逆に日本人特有の精神だからドラゴンが西洋人に諭すのには思わず苦笑いをしてしまうのだが―、人の非難をする、取り壊すことは容易だが、建設的な話をする方を好む、などなど道徳論や人の道を説くのだ。

    これらは一度L・Dの口が開けば延々2〜3ページに亘って語られる。これがずっと続くのだ。

    物語の起伏を挙げるとすればドラゴン村に新しい若いドラゴンが迷い込み、L・Dが彼と対話するが、決裂し、飛び去った彼を追ってL・Dもまた1週間いなくなるくらいだ。
    それは若いドラゴンが彼の甥だったが、彼は人間たちを奴隷であり、そして食糧であると見なしていた。しかしL・Dは人間は共存している生き物であり、肉食から菜食主義への転換を進めるが、若いドラゴンはそれを聞いてL・Dを罵って最後まで和解できずに去ってしまう。

    これはいわば年寄と若者の考え方の相違に対して折り合いがつかないことを示しているのだろう。

    巨大で人間以上の知識を持ち、人語も話すが、その気になれば人間などは簡単に殺すほどの力を持ったドラゴン。そんな畏怖すべき存在が穏やかな性格で人間たちの住みよい街を与え、そして人間たちが図りしえない長い年月を生きてきたことで学んだ考えを諭す。
    これは当時61歳となったフィルポッツ自身を投影した姿ではないだろうか。
    彼が蓄積した知識と思想をラベンダー・ドラゴンを介して語っているように思える。

    しかしその内容は正直長い説教でしかなく、非常に退屈極まりない。そして上に書いたようにエンタテインメントとしての体を成していない。
    全知全能の存在であるドラゴンをフィルポッツは人間たちが到底敵わないような強大な存在として描かず、人智を超えた経験値を得た、仙人のような存在として描く。

    ファンタジーの世界ではドラゴンは最後に勇者が斃すべき強大な存在である。従って最も大きな困難であると云っていいだろう。そして従者のジョージがジャスパー卿に云うように残忍で獰猛なモンスターで人間の安寧を護るためには殺さねばならぬ生き物だとされる。
    そんな存在であるべきドラゴンが人間に理想郷を与え、訓示を与え、そしてL・Dなどというニックネームで親しみを以て呼ばれる存在になっているというのがフィルポッツなりの捻りであったのだろうが、何とも広がりの無い物語を作ってしまったものだ。

    本書はファンタジーの意匠を借りたフィルポッツの理想論を書いた作品だとするのが正しいだろう。そしてそれは物語の姿を借りずにノンフィクションで出してほしい。

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    Tetchy
    WHOKS60S
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    No.1:
    (4pt)

    フィルポッツが描く理想郷。

    英国文壇の最長老と呼ばれたイーデン・フィルポッツの異色作。

    悪名高いドラゴンに挑んだ騎士は、何故か、ドラゴンに攫われ、ドラゴンに食べられた筈の人々と再会する。

    そこは、フシギな温かさを持つユートピアであった。

    医者に止められていながら、好物の砂糖菓子についつい手を出してしまう一方で、穏やかで豊富な教養を持つドラゴンが築いたユートピアを描いた作品です。

    人間以外が統治する都市の是非、住人達の営みから浮かび上がる人の本能、キリスト教徒以外を認めない僧侶の存在など、純文学的要素が色濃い作品です。

    どこかユーモアを込めて描いており、文体も平易ですが、ある意味では、深遠な哲学書とも言えます。

    単純に物語としても十分、ウィリアム・モリス等と比較する哲学書としても読める、面白い作品です。
    ラベンダー・ドラゴン (1979年) (ハヤカワ文庫―FT)Amazon書評・レビュー:ラベンダー・ドラゴン (1979年) (ハヤカワ文庫―FT)より
    B000J8F1HK



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