江戸の残映 綺堂怪奇随筆選
- 幕末 (129)
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昨年末に図書館の新着図書コーナーで見かけて読んだが、今年も末になって急に思い出して再び借りて読んだ一冊。 副題に「綺堂怪奇随筆選」とあるように、「四谷怪談異説」や「番町皿屋敷」といった怪談に纏わる随筆を主に収録しているのだが、巻末の編者(東雅夫)の解説によると、それらの随筆や『青蛙堂奇譚』をはじめとする本格的な怪奇小説が誕生する一契機となったのは皮肉にも、岡本綺堂(以下「綺堂」)も被災し家財や文献資料を一切焼失したという関東大震災とのことである。 震災関連作品が四篇収録されているのだが、その内の「地震雑詠」と「焼かれた夜」の二篇は本書が初の復刻であり、貴重といえる。 各随筆から垣間見える震災以前の江戸の風景ー逝きし世の幻影ーには隔世の感を禁じ得なかったものの、それでも同じ日本人だからであろうか、どこか郷愁の念を抱かずにはいられなかったのであった。 ところで、変わり種として感染症が題材の作品も二篇収録されている。 一つはコレラを題材とした「長唄の師匠」、もう一つはインフルエンザを題材とした「お染風」である。 ころりと亡くなることから江戸っ子から「コロリ」と呼ばれたコレラによる一家離散の経緯を何の感慨も無く述べただけの前者とは対称的に、インフルエンザにはお染風なる可愛らしい名前を付け、感染防止に「久松留守」なる貼札が新聞報道によって推奨された後者を読むにつけ、例のコロナ禍の中で「アマビエ様」が流行った現代に通じるものを見た思いがしたのである。 最後に、本書で最も異彩を放つ、『甲子楼夜話』収録の「盲目王」(注)を取り上げた作品である。 この随筆を綺堂が描いた経緯と背景は全くわからない。 しかしながら、「盲目の将」繫がりで洋の東西の対極として大谷吉継を並べながら描かれるその「義」に殉じた最期は、淡々とした記述ながらも、読む者の心を揺さぶること請け合いである。 本書そして綺堂の作品がより多くの方々に読まれることを願いつつ、一先ず筆を擱く。 (注)ボヘミア王兼ルクセンブルク伯だったヨハン盲目王を指す。1346年のクレシー(本文ではクレッセー)の戦いにて戦死。 人物で見る歴史1ヨハン盲目王(山崎恭司)2019.5.15付LIEF(ルクセンブルクを紹介するインターネットホームページ)投稿記事参照。 | ||||
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