死体は、地上十五メートルの高さに「展示」されていた。大学教員・西之園萌絵の推理はいかに。

東京近郊に広大な敷地を持つ百目鬼家は、大正期の女流作家、百目一葉を世に出した旧家。

満員電車の中、三十代の女性がナイフのようなもので切りつけられる事件が立て続けに起こった。

結婚をしたはずの男がいない。婚姻届は出されておらず預金も消えていたが、とにかく、もう一度会いたい―。

黒髪の佳人、佐竹千鶴は椙田探偵事務所を訪れて、こう切り出した。「私の兄を捜していただきたいのです」。