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縮みゆく記憶
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縮みゆく記憶の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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スイス人作家が描く、心理サスペンス。大手企業の創業者一家を中心とした人間ドラマ、愛憎劇といった趣が強い。 スイスの大手企業の創業家のコッホ家にとって、別荘の管理人のコンラートは目の上のたんこぶでありながら、何故か手厚く扱う。コンラートは別荘の火事がきっかけで、イタリアに住まわされる。イタリアでコンラートは金持ちの未亡人と知り合い、幸せに暮らすのだが、アルツハイマーを発症し、少しずつ記憶を喪っていく… 終盤に訪れる驚愕の事実… 今は亡き、ランダムハウス講談社… | ||||
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というより、(新作だけでなく旧作もベスト10に必ず入っている)ドイツ語圏屈指の人気作家です。といっても、村上春樹みたいなカリスマではなくて、読書好きに熱烈に支持されるタイプの人みたいです。経済紙にコラムを書くなど、現代を舞台としたリアルな設定には定評があります。 本作は、アルツハイマーにかかって記憶を失っていく男が主人公。この男、別荘の管理人として登場すると、物語の1ページ目で早々とその別荘に火をつけ、立場を危うくしてしまう。ところがその雇い主である実業家家族は、彼をなかなか追い出さない。記憶に障害があるとわかると、自宅を改造してまで彼を看病しようとする。なぜか? そこが物語の山でもあるのだけれど、プロットの確かさもさることながら、語りのスタイルが最大の魅力です。 | ||||
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現代スイス文学界の第一人者で四十九歳で遅咲きのデビューを果たした人気作家ズーターの邦訳2冊目にして大ヒットした処女作の紹介です。本書に取り上げられているメイン・テーマはアルツハイマー病で、ごく普通の男が記憶障害を覚え最初は軽度であったのが、やがて自身を制御出来なくなり奇行を繰り返すまでに進行して行く悲惨な病状が克明に描かれており、幸福から不幸へと転落する人生模様の運命の変転に深い憐憫の情が湧いて来ます。 スイスの大企業コッホ製作所に雇われている別荘管理人のコンラートが、過失によりコッホ家の別荘を全焼させてしまった。会社の影の代表である今は亡き創業者の妻エルヴィラは何故か彼を許しイタリアに送る。酒びたりの毎日だったコンラートだったが、ある日富裕な未亡人と出逢って恋に落ち、真面目に生きようと決意し酒も断って幸福に暮らし始める。しかし幸せな時間は長く続かず、彼にアルツハイマー病が発症し、恋人ローズマリーの懸命の努力も実を結ばない。 コンラートの病気の進行と平行して、彼の過去の記憶が甦るのを極度に恐れるエルヴィラの焦燥感が物語のサスペンスを高め、読者の頁を繰る手を休ませないでしょう。徐々に手掛りが積み重なり明かされた真相には、左程の意外性はありませんが荒唐無稽でなく説得力十分なリアリティーが感じられます。本書には犯人を追う警察官は最後まで登場せず、病魔に冒されたコンラートを助けようとする人々の善意により意図せず最終的に悪人の罪が暴かれるという皮肉な結末が面白く、落ち着いた自然ですっきりした読後感を生んでいます。互いに深く愛し合った女性ローズマリーとの恋が悲恋に終わってしまったのは非常に残念ですが、サプライズとして最後に新たな幸福へと続く道が用意されており、物語を不幸のままでは終わらせない作者の温かな人柄を感じさせてくれました。 | ||||
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