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(短編集)
音迷宮
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音迷宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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なかに、最初の購入者とみられる方のお名前と著者サインがありました。それについて記載がなかったのが残念です。 ですので星を少し減らしました。 | ||||
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ダークファンタジーの短篇集。 収録されている十の短編は、一応、ホラー小説に分類される作品群だが、それよりもナタリー・ショウの絵の様に美とグロテスクが紙一重である事を示す怪奇小説群と云ったところか。いや、それよりも文字で描かれた怪奇なスケッチと云った方が良いか。 | ||||
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知性とユーモアと耽美な感性、ちらりちらりと顔を覗かせる皮肉と ガラクタへの愛と押さえきれない怪奇趣味という色々と矛盾したも のが渾然一体となって、この世と重なりながらもずれている世界を 描き出しています。 各短篇はそれぞれ妖怪を隠されたテーマにしていますが、この妖怪 譚がこうなるのかと驚いてしまいます。全く新しく書かれた妖怪譚 なのに、間違いなくあの妖怪がここにいるという不思議な体験をさ せていただきました。 もっとも、最後の一篇だけは、別の神話の気配が濃厚でしたが。 | ||||
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読み始めは、正直言って、あまり良い印象はありませんでした。美しく描かれていることは認めますが、少しも怖くないんですね。少しだけ恐怖の味付けをした散文詩を読んでいるような感じでした。詩的な恐怖小説というと、古くはエドガー・アラン・ポー、少し近くではレイ・ブラッドベリの初期の作品が思い出されます。「音迷宮」はそれらのものに比べて、闇の成分が少なく、物足りないと思いました。が、後半の短編「鳥の女」と「Rusty Nail」を読んで、がらりと評価が変わりました。ともに赤ん坊を扱った短編ですが、どろり、ぬめっとしたいやらしい質感がたまりません。著者は女性だろうと思いますが、男性作家にはなかなか書けない世界です。こんなのが冒頭から並んでいたら、卒倒するほどの歓喜にむせぶのですが。一読の価値はある本です。なお、本の各ページの左下に、作品の名称が印刷されています。ここにちょっとした工夫がほどこされていますので、初めて読まれる方は、ご注意を。 | ||||
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石神茉莉の作品に共通するのは、異界と日常空間、或いは夢と覚醒、そういう間を彷徨うような不安感、「現実」の深淵に潜む、人間の存在そのものをも不確実なものに溶解してしまうような禍々しさにあるように思われます。そして、そんな不思議な物語の語り部はしばしば、魔鏡をとおって異界を彷徨う「アリス」の姿がダブるような清冽さを備えた女です。そんな女を主体に据えた、潔癖なまでに上品で透明感の漂う美意識の枠組みが確固としているところにまず、石神作品の基本があるといえるでしょう。その点で、すでに神経反応に訴えるだけの、いわば「びっくり箱」でしかない凡庸な物語とは一線を画した、高度な知的文学装置として洗練されたものが横溢しています。ただ、そんな石神作品は、単に難解めかした高踏的な作品でもなく、例えばユーモア小説だって別に書けるのではないかと思わせるほどの、玩具店三隣亡の「T」と美珠兄妹でドツキ漫才的なまでの楽しさをみせたり、クラシック音楽への造詣の深さを窺わせるような、音楽を鍵とする物語の進行など、エンタテイメント性や知性、芸術的教養の広さにも感服させられます(ついでに、この「三隣亡」は、既に刊行された長篇で、石神独特の「闇」をしっかりと包容するような奥行きをもっていて面白い)。注目株の異能の作家は、確かに過去に二篇刊行された長篇も魅力的でしたが、この短篇集は、石神のさまざまな「闇のかたち」を堪能するデギュスタシオンとして、違った意味で面白いし、実は石神の本領はこういう短篇にこそあるのかもしれないと思わせられます。 | ||||
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既に講談社ノベルスの玩具館綺譚シリーズで、独特の美意識と世界観、魔術的な手法とを駆使した長編小説二篇を上梓した石神茉莉が、デビュー作以来、主に異形コレクションシリーズなどに寄稿してきた短篇小説を集成した単行本が刊行されました。ここには、まさに怪奇幻想小説作家としての石神茉莉の美質が端的に凝縮された、濃密だが透明感に溢れ、知的で上品な仕上がりの佳作が収められています。ネタバレにならないように詳細は遠慮しますが、日本の極めて土着的で泥臭い主題である「妖怪」の多くが、極めて自由闊達に、洗練された筆致で意外な展開や情景設定、舞台のなかに、我々のイメージを完全に翻弄するように登場します。それぞれの妖怪の属性や特徴を確実に押えながら、もはや私たちの既製のイメージをまったく通り越した、別の存在に造り替えてしまっているのが面白い。しかも知的遊びとしての作者の知性は驚くべきもので、例えば『眼居』にみる、プッチーニの『蝶々夫人』の演劇的、音楽的な構成についての読み込みの深さなど、まるで総譜の音符ひとつひとつまで熟知しているかのような精密さは、驚きです。タダモノではありません。まず蝶々夫人という、西洋異国趣味の中に生まれた「非現実の日本人」が、そもそも一種の幻想譚であるという意識が示され、その蝶々夫人と「ある妖怪」が同じ空間に居ることが、至極自然に思えるから面白いのです。ついでに、玩具館綺譚で、実に味わいのあるキャラ立ちぶりをみせる、Tと美珠との兄妹コンビを取り入れた、センスの良いユーモアはここでもとても楽しいですよ。石神茉莉の原点があり、またこれからの石神の活躍に期待を抱かせるような短篇集。これを読まない手はないでしょう。文句なしにお奨めの一冊です。 | ||||
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