赤穂浪士を斬れ。〈影〉からの指令に総兵衛は苦悩する。

表向きは古着商大黒屋、裏は徳川の隠れ旗本として、徳川家危難の際には身命を捨てて闘え──家康は死の間際、初代総兵衛に命じた。

名優団十郎が殺された。この日、総兵衛は彼の相談を受けるはずだったのだ。

突如伊勢詣でが流行しはじめた。大黒屋小僧の丹五郎、恵三、栄吉の三人も抜け参りで店から消えた。

川越から甲府に転封となった柳沢吉保は、武田信玄の昔に勇名を馳せた赤備えの騎馬軍団、武川衆を復活させた。

二千石を超える巨大船、大黒丸が完成した。執拗な与力の探索を躱し、極秘の任務を負った大黒丸は江戸湾を出航した。

“影”の指令は、将軍綱吉の側室へさる公卿の娘を送り込まんとする柳沢吉保の陰謀の阻止であった。

琉球沖の大黒丸遭難で総兵衛以下、又三郎、駒吉など主だった人材を欠いた富沢町大黒屋を柳沢吉保の魔の手が襲う。

巨大帆船大黒丸の乗組員だった船大工箕之吉に柳沢吉保一派が目をつけた。

大黒丸は信之助の待つ琉球泊湊へ寄港した。

江戸・三十間堀の小さな町道場が、怪しい証文を盾にした男たちから狙われている。

京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和国室生寺に向かう一行と同道することになった。

寛政五年十月、江戸を見舞った大火事のあと、吉原に大勢の客が押し寄せる。

京の都。祇園感神院の西ノ御門前で空也は、往来の華やかさに圧倒されていた。

吉原会所の裏同心神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五歳の浅草弾左衛門に面会した。

安芸広島城下で空也は、自らを狙う武者修行者、佐伯彦次郎の存在を知る。

長く廓の用心棒であった神守幹次郎が吉原を率いる八代目頭取四郎兵衛に就任、御免色里の大改革が始まった。

玖珠山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。

六代目総兵衛の活躍した元禄・宝永年間から九十余年。享和二年(1802)、九代目総兵衛勝典は、労咳で瀕死の床にあった。

今坂一族の卜師梅香林は、鳶沢一族に張り巡らされた闇祈祷を看破した六義園を拠点とした闇四神の結界は富沢町、さらに駿府鳶沢村をも包囲していた。

坊城桜子を伴って京を目指す総兵衛一行が鳶沢村に逗留中、薩摩の密偵が捕らえられた。

頭成の湊に着き、森藩の国家老・嶋内と商人・小坂屋の不穏な結びつきを知った小籐次は、ある過去の出来事を思い出した。

“影”本郷康秀を誅殺した総兵衛一行は、上野、越後、越中を経て盛夏の加賀に入った。

森藩藩主の命により、参勤交代に先行して国許の豊後国を訪れることになった小籐次。

数年にわたって修行の日々を過ごした西国を去ることに決め、福江島から船に乗り込んだ空也は、長州藩の萩城下に降り立った。

小正月を迎えた江戸。佐々木磐音は鵜飼百助のもとを訪ね、愛刀の備前包平を研ぎに出す。

端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。

身の丈五尺一寸、風采の上がらない五十男。しかし実は来島水軍流の凄まじい遣い手――。

吉原を過去最大の危機が襲う。会所頭取、四郎兵衛の無残な姿。

淀川を襲う激しい嵐から人々を救うため、来島水軍流・剣の舞を天に奉納する小籐次・駿太郎親子。

勘定奉行である父秀信の秘命を帯び、関八州に巣くう公儀の敵を倒してきた夏目影二郎。最後の始末旅より七年。

天明八年正月、京で大火が発生、吉原を狙った島原の勢力は力を殺がれたかに思われた。

燕飛び交う初夏に、将軍家治は日光社参を決行する。

薩摩国の国境に近い牛ノ峠に、一人の武者修行の若者が辿り着く。

文政９年初夏。太平の世を謳歌する江戸では近頃、貧しい長屋に小銭が投げこまれるという奇妙な事件が続いていた。

師走、寒気増す江戸深川・六間堀長屋。

落馬で腰を痛め、息子との立ち合いでは不覚を取る。

自ら考案した行灯づくりの指南に水戸に行くことになった小籐次。だがなぜか、同行者の中に探検家・間宮林蔵の姿が。

深川の長屋で浪人暮らしの坂崎磐音は、日光社参の勘定を担うことになった両替商・今津屋からある提案を持ちかけられる。

文政８年冬。

おこんの慰労をという今津屋の心遣いで海晏寺まで紅葉狩りに出かけた磐音たち。

江戸で有名な盗人「鼠小僧」は自分だ、とついに明かした子次郎。

吉原で新たな太夫を客が選ぶ催しが行われることに。

御鑓拝借に始まった騒動から年が明け、文化十五年。赤目小籐次と、肥前鍋島本藩を含む四家が組織した追腹組の死闘は続いていた。

穏やかな新年を迎えた江戸深川に、引く手数多の浪人がひとり。坂崎磐音である。

坂崎磐音とおこんは危難に満ちた船旅を経て豊後関前藩へと辿り着く。母・照埜と念願の対面を果たすおこん。

久慈屋の大番頭、観右衛門の依頼で芝神明大宮司、西東正継を助けることになった小籐次。

武者修行中の嫡子・空也の身を案じる江戸の坂崎磐音のもとに、長崎会所の高木麻衣から文が届く。

北町奉行所の年番与力が、小籐次に面会を求めてきた。極秘の依頼があるらしい。

文政９年正月。今年こそは平穏な日々を送りたいと願う小籐次のもとに元日早々、藤藩の近習頭・池端が訪ねてくる。

秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。

十三歳にして剣術に優れ、研ぎ仕事の腕も上げた駿太郎はアサリ河岸の桃井道場に入門し、年少組で稽古に励む。

豊後関前藩の若き武士３人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。