グルジェフの残影



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初公開日(参考)2006年07月
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長編小説

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グルジェフの残影 (文春文庫)

2006年07月01日 グルジェフの残影 (文春文庫)

20世紀初頭、革命前夜のロシアに彗星のごとく現れた神秘思想家グルジェフとは、いったい何者なのか?ラスプーチン、スターリンなど歴史を彩る大物をはじめ、魅力的な思想家群像を描きながら、“20世紀最大のオカルティスト”の正体に迫るスリリングな本格歴史ミステリ長篇。奥泉光氏との特別対談を収録。 (「BOOK」データベースより)




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グルジェフの残影の総合評価:7.40/10点レビュー 5件。Eランク


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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(1pt)

趣味に走り過ぎて、背中も見えなくなってきている

本作は『神の子の密室』がイエス・キリストの復活の真相を探るミステリであったように、ロシアの神秘思想家ゲオルギイ・グルジェフの正体と彼と親交の深かった哲学者ピョートル・ウスペンスキーの関係を探る歴史ミステリである。
双方の作品に共通するのは現代から文献や資料を当って調査・推理するのではなく、その時代を舞台に当時生きていた人物、しかも実在の人物を主人公にして謎を探る趣向になっていることだ。

ただ本作は『神の子の密室』に比べるとかなりエンタテインメント性を排しており、かなり困難を強いる読書になった。
本作で取り上げられているウスペンスキーとグルジェフの2人はイエス・キリストよりも馴染みの薄い人物である事がそれに拍車を駆けていると云えよう。更にはそれを読者に理解させるために、ウスペンスキーがその著書『ターシャム・オルガスム』で提唱した高次元論から、グルジェフの思想である「三の法則」、「七の法則」、それを図象的に表した「エニアグラム」という考え方などなどの哲学の分野の専門知識が作中に横溢しており、小説というよりも小論文に近いものがあるがために、読者の側もそれ相応の知識と理解力を求められている事になっている。
特に16章などは単に時系列的に物事を列挙しただけで小説の体さえ成していない。

上記に述べた本書の内容から鑑みると、小森氏のミステリ創作姿勢はどうも他のミステリ作家と比べるといささか異なっているように感じられる。
概ねのミステリ作家は、あくまで根幹がミステリであることを前提にして、作品の肉付けとなる題材―それはしばしば作者が個人的に興味のある対象である事もあるが―を取材し、ミステリを創作するに対し、どうも小森氏は自身が教授でもあるせいか、自らの研究題材を調べていくうちにこれはミステリとしても創作できるのではないかという、自身の研究からミステリ作品を派生させているような節が感じられる。
したがって作品の主体は自身の研究発表の場のようで、ミステリは付属的なものとして捉えているようだ。

それを裏付けるように本作と趣向が似ているとして例を挙げた『神の子の密室』もそうであったし、本作においてミステリ的趣向である殺人事件はようやく物語も終盤になって起こる。
特に本作における事件は『神の子の密室』と比してもさらに添え物の感が際立っている。
山中の小屋で起きる発砲事に巻き込まれたかのようなある人物の死。しかしちょうどその時を目撃していた主人公オルロフは彼が撃たれたときには窓ガラスが割れていなかったことを気付いていたが、今ではその窓ガラスが割れ、恰も流れ弾に当って死んだかのように偽装されている。そこに居合わせた9人の人物はそれぞれ別の場所にいたという証言があるものの確たるアリバイがない。

この謎をグルジェフのエニアグラムで解き明かすという趣向でこの事件が本作に密接に関わり合いがあるかのように見せているが、本当にそれが元で真相を解明されたなら、かなり乱暴な謎解きだと思った。
が、作者もそれは感じていたようで、一応の論理的解決は成される。しかしそれは推理クイズの問題程度のレベルを脱しえず、本書のメインには全く成りえていない。

とどのつまり、本作におけるミステリとしての主眼は上述のように当時親交の深かった二大思想家ウスペンスキーとグルジェフがなぜ途中で袂を別ったかという謎を小森氏独自の調査で解き明かすところにある。
しかしなんとも観念的な話である。興味のない者については全くどうでもいいような話である。
さらに驚くのは本作は文藝春秋の「本格ミステリーマスターズ」叢書の1冊として刊行されたことである。これほどまでにエンタテインメント性を排した作品をこのシリーズで刊行した同社の担当者は商業性やシリーズの特性を全く無視して刊行したのではないかと勘ぐらざるを得ない。

また小森氏に関して云えば、自らの知的探求の愉悦に浸るがために作品を重ねるごとに読者を突き放す方向に突き進んでいるようにしか見えないのが気にかかる事だ。
とはいえ、それがこの作者の目指す道であり、ワン・アンド・オンリーとしてその道を更に深く追求するのならばあえて何も云うまい。ただ私は彼の作品から手を引くだけだ。


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No.4:
(5pt)

再度ベルゼバフの本を

ウスペンスキーを題材にしたグルジェフの本はわかりやすく、読みやすいです。
一気に読んでしまいました。
何度も挫折していますが、再度ベルゼバフ孫への話に挑戦する気になり、読み始めました。
郷さんの電子書籍でですが、、、。
グルジェフの残影 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:グルジェフの残影 (文春文庫)より
4167679922
No.3:
(5pt)

ウスペンスキー主役の小説として読めば5つ星

主人公のウスペンスキーを敬愛する青年の視点から、ウスペンスキーとグルジェフの姿が描かれています。
「グルジェフの弟子の一人」という枠では収まりきれない、
ウスペンスキー自身の魅力が描かれた小説です。
それから、ロシア革命により荒廃していくロシアの様子の描写が鮮明でした。

グルジェフとロシア革命の意外な繋がり…。
何故ウスペンスキーは、グルジェフから離れたのか?それが解き明かされます。
彼らに関心があるなら、きっと楽しめるはずです。

しかし、ウスペンスキー、グルジェフの思想や生涯に全く興味がなく、
ミステリー目的だけで読まれると、期待が外れるかと思われます。
この小説の一番の関心事は、ウスペンスキーとグルジェフに関わる事だからです。
ミステリーの文量は非常に少ないですし、事件が起こるのも遅いです。
どちらかというと、事件部分はオマケに近い感じがしました。
私には、殺人事件部分はウスペンスキーの物語のちょっとした休憩に近い感じで、悪くなかったです。
それに事件はしっかりと小説の内容と関連したもので、無理に入れたような不自然さはありません。
グルジェフの残影 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:グルジェフの残影 (文春文庫)より
4167679922
No.2:
(5pt)

グルジェフ入門の傑作

この本は、ミステリーの名を借りた哲学書でもあり、哲学書の名を借りた歴史ミステリーでもある。
オスロフという狂言師により、稀代の神秘主義者「グルジェフ」の思想が浮かび上がってくる。しかも、自分にとっては謎であった同時代の神秘主義者「ウスペンスキー」との関係も露わになっている。また、スターリンとの関係も明かされ、歴史的な背景も無理の無い説明がなされている。もちろん、これらの「事実関係」が必ずしも正しいと証明されているわけではないが、そこはあくまでも小説であり「本格ミステリー」なのである。
グルジェフ、あるいはウスペンスキーを知らない方々には、彼らの思想は理解し難いと思うので、本著を読んでも「ミステリー」としては物足りない作品となってしまうだろう。しかし、本著にもでてくるハートマンとグルジェフとの共作によるピアノ曲や演奏が実際に残されており、多くのアーティストに影響を与えている。著名なところでは、東京駅や帝国ホテルを設計した「フランク・ロイド・ライト」や、映画監督「ピーター・ブルック」、ジャズピアニスト「キース・ジャレット」、キング・クリムゾン「ロバート・フリップ」などがいる。
神秘主義ということで敬遠する方も多く、哲学書では手が出せないと思うが、この本著では判り易く語られていて簡単に読めるので入門書として最適である。
自分は決して信奉者ではないが、その思想は自分の生活に多大な影響を与えてくれた。日々の弛んだ生活や精神に大きな警鐘を鳴らしてくれる。是非一読して欲しい。
グルジェフの残影 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:グルジェフの残影 (文春文庫)より
4167679922
No.1:
(3pt)

まぁまぁかな

ロシア革命時代の神秘思想家を描いた本格推理。

こういう類の小説はすごく好きなんだけど、あまりにも事件が起きるのが遅すぎる。

謎解きがつまらない。笠井潔の矢吹駆シリーズの方が圧倒的に面白い。
グルジェフの残影 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:グルジェフの残影 (文春文庫)より
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