カブール、最悪の13日間
※タグの編集はログイン後行えます
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
カブール、最悪の13日間の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本書の舞台は、勿論アフガニスタン。フランス大使館に勤めていた作者、モハメッド・ビダによるノンフィクション作品です。2021年8月15日、タリバーンが支配を取り戻したカブールから多くのフランス人、アフガニスタン人、避難民を国外脱出させた十三日間の顛末があたかも見てきたかの如く(当然のことですね。何故なら作者はその”エクソダス”を指揮した一人ですから)描写されています(真っ先に想起したのはベン・アフレックによって映画化もされた1979年に起きた「イランアメリカ大使館人質事件」。本書でも言及されています)。 我々がなかなかその思想と宗教的背景を理解し難いアフガニスタンという国家。多くの欧米のスリラーを読むことによって培われた偏ったタリバーン像。しかし、誰もが国家の本当の姿など把握できたためしはないことを自戒しつつも、戦闘が蔓延るアフガニスタンという国家の持つ危険性と怪しさを本書はよく伝えてくれていると思います。 時折、作者がフランスの警察官になるまでの経緯がインサートされていて、最初は無駄な描写に思えたりもしましたが、そこに内在するフランスという国に根付く<差別>問題が、今回の脱出劇を逆側からプロジェクションさせていて、そのことはリーダビリティに於ける効果とは別に、作者に或る種の「神」の視点を与えているようにも思えます。それは、不遜でありながら、しかしそうでなかったとしたら乗り切れなかった過酷な、あまりにも過酷な現実という名の<脱出行>が張り詰めた緊張感の下に横たわっていたことを認識させてくれます。尽きるところ行動と決断の積み重ねによってのみ勇気が語られることになります。 国家の自立もまた人間の自立同様、<依存>との関係性を持って語られるべきだと思いますが、タリバーンの復権によって回復しつつあるアフガニスタンの成り立ちに決して希望がないわけではないと思うことにもなりました。米国という名の悪しき依存にいつまでも囚われる我が国(日本)に比して。 ⬜︎「カブール、最悪の13日間」(モハメッド・ビダ 早川書房) 2024/4/24。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 1件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|