つきまとう死
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ミステリーとしては古典的な題材を用いつつも、余韻ある上質な人間ドラマに仕上がっていると 思いました。 富豪の遺産を巡り、親族がいがみ合い、様々な思惑を巡らせるというのは、 ミステリーの古典的題材ですが、この作品はそういった題材を用いつつも、 前作より、格段な進歩と確かな描写を見せている、上質な人間ドラマと、様々な余韻を描き出す事に、 成功していると思います。各登場人物達にも、それぞれ興味を抱く事ができました。 おそらく、登場人物、特に女性の登場人物達の中では、一般的に読者がより関心を奪われやすいのは、 特異で不幸な環境の中で育ち、謎めいた中にも、激しい気性を垣間見せる、美女ルースなのでしょうが、 私は不器用で一途過ぎる、哀しい愛し方しかできない女性ケイトの方に、より深い感情移入を してしまい、一際心に残りました。 私としては前作の「薪小屋の秘密」は、あまり良いとは思えなかったのですが、 こちらの方は、期待を裏切らない内容で、満足でした。 | ||||
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英国本格ミステリーの黄金時代を築いた作家のひとりギルバートの1956年に発表された代表作が待望の邦訳刊行されました。著者は男性名なのですが実は女性で、デビューした1920年代の世相では女性が探偵小説を書くのが一般的でなかった為に男性名を名乗ったという当時の事情があったそうです。日本での著者の紹介は本書がわずか3作目という誠に不遇な扱いで、例えば同時代の作家クリスティー女史と比べると気の毒といえましょう。1973年に74歳で亡くなられるまでに約100冊程の著作があり、その大部分の作品のシリーズ探偵は本書にも登場するアーサー・クルック弁護士です。彼のモットーは「私の依頼人はみな無罪」で、少々強引な所もありますが悪徳弁護士かというと左程でもない印象で、ユーモアたっぷりで正義感も人情も持ち合わせていて真実の探求にも熱心な愛すべき人物です。さて本書の内容ですが題名通り、死につきまとわれる女ルースが物語の中心です。憎んでいた父親の薬をすり替えた疑惑、浮気性の夫の自動車事故死と、それぞれ裁判に掛けられながら証拠不十分の為に放免されて来ました。寡婦となった彼女が雇われたのは、莫大な財産を握り親族や家政婦を専制支配する老未亡人の暮らす一家だった。やがて、またもや疑惑に満ちた死が起こりルースが巻き込まれる。 殺人事件のトリックとしては素人が発作的に行った犯行で驚くような部分は皆無ですが、クルック弁護士が自ら屋敷に乗り込んで容疑者の証言を吟味し、タイムテーブルをつき合わせて論理的に犯人を割り出す推理の過程が最大の見せ場です。善人ばかりの容疑者達の抑圧されてきた心理が暴かれる人間ドラマも巧みで、犯人を単純に責められない思いに駆られます。さて、ルースは果して最初から潔白なのか?それは明白には語られず読み手の感性に委ねられます。何れにせよ私は逆境に負けない強い性格の彼女を応援したいと思いました。 | ||||
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