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一朝の夢
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一朝の夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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読んでいてあさがおの花、朝顔其の物が別物の様に思えました。江戸時代の人の物の見方は何やら不思議で楽しくなります。 | ||||
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変化アサガオのブームは、第1次が江戸時代の文化文政(1804-1830)。その時期に浮世絵や歌舞伎が始まる。第2次が江戸時代末期(嘉永安政期:1850頃)で、交配の技術を持っていた。第3次が明治中期と言われる。 本書は、第2次ブームの時で、主人公は北町奉行所・同心の中根興三郎。興三郎は6尺あまりの長身であるが武術はほとんどダメで、3男坊。学問の道に行くように言われて、アサガオに興味を持っていた。ところが、2人の兄が死んでしまい、やむなく同心になった。うだつのあがらない仕事をしていたが、アサガオの話になると夢中になる。幼馴染の里美が飯屋で働いているのを見たことで話が展開して行く。里恵が不幸な人生をおくっていて、借金十両あり、與三郎は、自分の育種したアサガオ「柳葉采咲撫子アサガオ」をあげることで、里恵は窮地を脱するのだった。 時代的な背景が、きちんと押さえられていて、植木職人、成田屋留次郎が関わってくる。成田屋留次郎は変化アサガオ図譜の『三都一朝』の著者であり、アサガオの品評会を主催していた。成田屋留次郎は、柿色のアサガオ団十郎の育成者として有名であった。 興三郎は、『あさかほ叢』の「大輪極黄采」に惹きつけられて、黄色いアサガオを育種したいと思っていた。アサガオの花いろは、青から赤そして白はあるが黄色の色素がない。 留次郎は「黄色は夢の花ですぜ。咲かせたいと思っても咲かせられる花じゃないんですよ。懸命に育てて、アサガオが認めてくれたら、その時初めて咲いてくれる。一生に一度だけ、アサガオがくれる褒美の花」という。留次郎も黄色のアサガオは咲かせたことがないが、『三都一朝』にはボタン咲きの黄色いアサガオが描かれている。 そのころのアサガオで有名な育種家は、杏葉館と言われ、五千石の旗本、元北町奉行所の鍋島直孝だった。その鍋島直孝に興三郎は呼ばれて、茶人宗観に引き合わされて、大輪のアサガオを作って欲しいと依頼される。実は、宗観は井伊直弼だった。與三郎は、井伊直弼の暗殺事件に巻き込まれて行くのだが、その事実は知らないままだった。與三郎は、大輪の黄色アサガオを作ることに専念する。 なかなかできなかったが、鍋島からもらった「州浜葉」と「とんぼ葉」を掛け合わせて、黄色大輪の『一期一会』作出するのだった。 物語は、井伊直弼の暗殺を巡っての事件に巻き込まれる中根與三郎であるが、アサガオの育種に専念する。アサガオ同心とも呼ばれている。 大輪黄色アサガオを題材にして、物語を構成するチカラは並々でない。 | ||||
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全体構想が良く、主人公のキャラクターも魅力的で内面まで好く書けているのだが、およそ「井伊大老」らしくない、著者の創作した井伊直弼が登場したあたりから無理が祟って急にダレて詰らなくなる。 そういう厳しい対立を、何で時代が呼び込む方向に流れたのか、著者が歴史を大きく展望できていないため、後半、いささかストーリーが緊張感に欠けて独りよがりに流れ、安易なこじつけが目立つ。 せっかく面白く出来たプロットなのに、またディテールまで好く書けているのに、著者に「安政の大獄」から「桜田門外の変」にいたる政治史の理解が弱いのと、それと、時代考証が粗っぽくて、だいぶ損をしている。 主人公のキャラを描くことに主眼を置きたいなら、こんな無理な歴史解釈を施す必然はなく、ただ、時代に翻弄された市井の1人の目撃者として主人公を設定すれば十分だったわけだし、もしも、能動的に時代に関わった人間として、これまでにない、著者なりの「井伊大老」像を描きたかったのなら、このような甘っちょろい人間像の「井伊大老」では、読者は納得しないだろう。 まあ、歴史小説というには骨格が細すぎたと言うところ。しかし、時代物ミステリーとしての部分は読み応えのあるものになっている。 | ||||
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