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あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベア



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あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベア

あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベアの評価: 5.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点5.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

小学生と対等な「おっさん」

あっという間に読み終わった。小学生のみずきにあきれられる、謎のおっさん、ひぐっちゃんがかわいい。
あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベアAmazon書評・レビュー:あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベアより
4092893221
No.1:
(5pt)

麗しのはみ出しオジサン

幼いころから頭の中であれこれ妄想をしてはモノを書かずにいられなかった女子ならば、たぶん一度は書いてみたことがあるはずだ。「理想のオジサン」を。
 外見は、このましい。美しいといってもいい。だが、当人はそれをハナにかけたりしていない。身体的能力はきわめて高い。が、たたずまいはふつうではない。なぜなら、彼は世間からはみ出した存在で、「おとうさん」や「学校の先生」のような、背広で通勤したりするひとではないからだ。彼は自由で、平日の午前中にそこらをぷらぷらすることができる身分である。学者であるか、芸術家であるか、さもなきゃ探偵だったりする。
 私の場合そのようなポジションのキャラの年齢はかならず「32歳」だった。二十代ではひよっこすぎ、四十越えちゃったらもう年寄りだと思っていたから(いまにしてみると、それはいかにも、なにもわかってない子どもだからの想定だったわけだが)。
 ちゃんとおとなだけれど、でも、常識や体制にまるめこまれてない、支配してこない、断定してこない、話がわかる、対等になれる、こっち側のことをわかろうとしてくれる。そんなオジサン。ていうか、「少年のようなこころの持ち主」だから、むしろ時々幼い。子どもであるこっちが心配になっちゃうぐらい、楽観的だったり、トンチキだったり、珍妙だったりする。けれど、ぜったいに邪悪ではない。悪ぶっても潔癖。
 そんな架空の理想のオジサンたちを――ノートに鉛筆で走り書きしてみた顔、わずか数ページ分数エピソードしかない口調や行動――ああ、久しぶりにおもいだした。
 そして、当時の自分のことも、ぼんやりとなんとなくだが。
 だから、『あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベア』を読みながら、なんども「うわあ」「どへえ」と叫ばずにいられなかった。小学五年生のみずきに見える世界、受け止め感じられることがらは、ものすごく生々しかった。記憶のように、デジャブのように、あまりにすっかり「自分ごと」すぎて、ときどき、恥ずかしいほどだった。
 だから、ものすごくドキドキしたし、ハラハラしたし、どうかなんとかうまいことやってくれと祈るような気持ちだった。途中で出てくる「シンギング・ヒニー」いうところが、ほんとうに素晴らしく、あまりに素敵で、うっとりした。ほんとうに涙が出るぐらい嬉しかった。主人公になってその場にいたかった。その体験をしたかった。
 ネタバレになるから具体的には言わないけれど、だいじょうぶ、最後はほっとします。
 
 櫻井とりおさんは、『虹いろ図書館のへびおとこ』で、第一回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞なさった。長く図書館におつとめで、たくさんの絵本や児童書にかかわってこられ、図書館に来るこどもたちのための季節のイベントなどを担当してこられたらしい。たぶん、ふつうにおとなとして有能なひとになることより(あるいはそれと同等ぐらいに)、こどもの気持ちをわかることのほうに傾注して生きてこられたのではないか。だから、ほんとうにきちんとした職業についていた公務員さんなのに、だったはずなのだが、なかみは、ふつうのおとなからはちょびっとはみだしているかもしれない。学者か、芸術家か、探偵か、図書館員さんみたいに。ひぐっちゃんみたいに。
 ひぐっちゃんに、これっきりじゃなく、また会いたいな。続編希望です。
あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベアAmazon書評・レビュー:あたしとひぐっちゃんの探偵日記 消えたテディベアより
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