触れもせで
評判
触れもせでの評価:
4.94/5点 レビュー 16件。 A ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 21〜34 2/2ページ
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触れもせでの評価:
4.94/5点 レビュー 16件。 A ランク
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向田邦子が類まれなるイイ女=ハンサムウーマンだったことがありありと窺われる名エッセイでしょう。
「狡くて可愛い女」「良き時代の良き娼婦の資質を持った女、娼婦の資質を持ちながら娼婦になれなかった女」など、久世光彦が鋭い感性で表現した向田邦子という女性像が実に魅力的に綴られているのです。
向田邦子に関する書籍でよく取り上げられているのは、あからさまな性描写を書かない脚本家だったこと。具体的な描写はないのに、台詞、音、情景にものすごく艶めかしさがあり、濃厚な色香が漂っていた点に触れられている箇所は、興味深いと思います。切った爪を踏んでしまうシーンで「男の爪と女の爪の違いを語る台詞」、ドラマ『隣の女』で壁越しに聞こえてくるとぎれとぎれの会話と揺れる壁の描写の実に官能的な様etc、映像で性的なものを直接見せるよりも、視聴者に想像の余地を与えるだけでゾクッとさせる艶めかしさがあります。
著者の久世光彦は、向田邦子のアパートに泊めてもらったことがあったが、「柔肌の熱き血潮に触れもせで」朝を迎えたことがあったそうです。「だからこそ、いつまでたっても思いきれない人なのかもしれない」」と綴られた『触れもせで』の章はタイトルになっただけあって、特に秀逸なエッセイ。
また、向田邦子は「恭しき良き娼婦の資質があった」のに、「男が女を金で買う」ことに抵抗があり、まるで「女学生のように潔癖だった」こと、「川を飛び越えない女の道徳律=同時に複数の男と体のかかわりを持たないルール」を持っていた事に触れた一節も秀逸だと思います。
久世光彦から向田邦子にあてた、恋文の名文に酔ってしまいました。
巻末には向田邦子年表〜生い立ち・書籍・テレビドラマ編あり。
向田邦子との二十年 (ちくま文庫)はこの書を文庫化したものかもしれません。