信長殺すべし
- 織田信長 (72)
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信長殺すべしの総合評価:
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読みやすいというのが第一印象。 | ||||
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ハムレット役者多岐一太郎が入院をきっかけに「本能寺の変」の謎に取り組むベッド・デティクティブものである。 本書の構成は、簡単である。 1.明智光秀には共謀者がいる。(当然のように扱われ、ほとんど検証されてない。本書は、共犯者探しの本である。) 2.その共謀者は「本能寺の変」と同時に行動を起こしているはずだ。 様々な仮説を提示しながら”2."の原則に基づいて否定していき、最後に「本能寺の変」と同時に行動を起こしている”犯人”を見つけ出す。 本書には、歴史小説風の描写に逃避して検証を放棄している箇所が少なからず見られる。ミステリーとしてはルール違反であり、本書の持つ最大の欠陥だ。 もちろん、登場人物の一人の推理として提示され反論もきちんと提示されている場合もあるが、無責任に"事実"であるか如く描写し検証をスルーしているケースが多々ある。 信康のことで信長に詰問された酒井忠次が信康のために必死に弁明する光景を描いている箇所なんか最たる例だ。歴史作家見てきたような嘘を書く(笑)。「信康殺し信長の命令説」の典拠である『三河物語』にすらこんなことは書いてない。”酒井忠次は、すべて事実と認めた”と書かれている。 こういう露骨な”操作”から窺えるのは筆者が信長嫌いらしいことだ。 他のレビュアーの方も書かれているが、本書のファイナルアンサーには見事に説得力がない。貧弱な論理とごまかしに満ちた記述のためだ。 少し細かいが・・・ 小説的描写に逃げ検証をスルーしている箇所は他にもある。 1.本書は、光秀が丹波、近江の領地を取り上げられたことを"事実"として描写している。本来、根拠となる『信孝文書』の真偽を検討する必要がある。『信孝文書』には偽書の疑いがあるからだ。 2.信康殺し信長命令説を当然の"事実"であるかのように描写している。信康殺し信長命令説は『三河物語』に基づく主張であり、『当代記』『安土日記』等の史料に基づく徳川家お家騒動説(現在では、こちらの方が通説である。)との比較考証が必要な”説”である。 3.光秀が母親を人質にして和睦に漕ぎつけたのに信長が波多野兄弟を磔刑にしたシーンを当然の事実のように描写している。この話は江戸時代に作られた疑いがある。同時代史料は、波多野兄弟は、信長が京を制圧した直後に臣従を申し入れながら、後に織田家を裏切ったことを示している。(磔刑は裏切り者に対する一般的な処刑である。) 4.「長篠の戦い」で徳川家ばかりが活躍しているシーンを事実のごとく描写している。しかも、それが徳川家の史料に基づく描写でしかないことを断ってない。徳川家の史料に徳川家の活躍だけが書かれているのは当たり前だ。 以下は蛇足です。 歴史ミステリーというのは推理の過程を楽しむもので結論を信じてはいけない。歴史ミステリーで主張している”結論”が本当の意味で証明できているのなら学術論文で画期的な新説として発表出来るはずだ。 まず歴史ミステリーは、奇説を主張しないと売れない。本能寺の変は、光秀の単独犯行で動機は不明、というような結論では、そもそもミステリーとして成り立たない。これは通常のミステリーで犯人の意外性が要求されるのと同じだ。 そして、通常のミステリーで、推理に説得力が無ければ失敗作とみなされるように、歴史ミステリーにおいても、最後まで読んだ読者に、「これはない」と思わせた作品は失敗作だ。(よく出来た歴史ミステリーを読んで、その結論を真に受けた読者を私は何人も知っている。) 歴史ミステリーでは、結論に合わせて史料が選択される。 1.都合の悪い史料は取り上げない。 2.都合の悪い学説、史料解釈は、簡単に論破出来る時を除き紹介しない。 3.逆に、都合のいい学説、解釈は、疑いようのない"事実"として紹介する。 こういうことが許されるのが”歴史”ミステリーだ。歴史ミステリーは作者によって与えられた史料(前提条件)のもとで推理を楽しむものだからだ。大事なのは推理の説得力だ。 | ||||
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何故、歴史ミステリーとして書いたの? 撮影中の事故で入院した俳優(織田信長役)が、監督、脚本家、共演者を相手にまわして「本能寺の変」真相の推理合戦。『時の娘』『成吉思汗の秘密』の系譜に連なる歴史物ベッド・ディテクティブなのですが、歴史の知識を現代人が開陳して検証することの連続では関心の乏しい読者には難解だと判断したのか、再現映像なのかイメージ映像なのか、時代小説風の過去パートと現代パートを交互に展開するという凝った構成であります。 著者のよどみない文章力もあって、リーダビリティはよろしいのですが、過去パートはあくまでそれぞれの段階で紹介された解釈にもとづく再現映像?なので、時系列が頻繁に前後する上、必ずしも作中の事実として採用されているわけでもないため歴史小説や推理小説に読みなれない読者は混乱してしまうかも。 それにもう一つ、読んでいて楽しいことと説明が正しいかという点が合致しないのがこうした歴史ミステリーの悩ましさ。作中では羽柴秀吉役の噺家清風師匠が『甲陽軍鑑』を二流の史料と揶揄していましたが、出版当時は信用されていた『武功夜話』は仕方がないとしても、信頼性は三流以下の軍記物の記述なども無批判に「事実」として紹介されている他、個々の情報についても出典を明かしていないことが多く、厳密な検証とはいいづらいというのが正直な感想です。 妙心寺派を仲立ちにした明智光秀と武田家の繋がりに着目した点には感心したものの、解説を読んだらこの著者、山梨県の方だったのですね。本能寺の変の真相をおらが地元に誘致?という試みでしたか……。結論として開陳された推理は実証性に乏しく、立花京子著『信長と十字架』や明智憲三郎著『本能寺の変・431年目の真実』と同様、都合のよいように事実と解釈を繋いでいったら表面的には破綻のない説明が作れるよね、といった程度のもの。理屈と膏薬はどうとでもつくものなのです。 明智光秀の謀反が突発的なものだとの指摘や黒幕説への批判など、なるほどと思える説明は他にも散見されるものの、よくも悪くも、通俗歴史としての「本能寺の変」の解釈。これなら現代パートはやめにして、陰謀論的解釈にもとづく伝奇歴史小説として執筆した方がよかったのではないでしょうか。それとも、歴史ミステリーとして新説を発表する方が評判になるという出版社側の判断だったのかしらん。 本書の初出(ノベルス)は1993年。1990年前後の「本能寺の変」の一般認識の程度を知るつもりくらいで読んでみるのが正しいかも。 それはともかく、Amazonの商品ページのあらすじ! 「日本最大の国難、蒙古襲来を描く傑作冒険譚モンゴル平原に興った世界史上最強の騎馬帝国・元。チンギスハ-ンの再来、英雄フビライの攻めを迎え撃つ慓悍、精強の鎌倉武士団。歴史に秘められた驚愕の真実。 」 こんな内容ではぜんぜんございませんので、御購入を考えている利用者の皆さまは御注意を。 | ||||
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ハムレット役者多岐一太郎が入院をきっかけの本能寺の変の謎に取り組むベッド・デティクティブものである。 これまでも取り上げられた様々な陰謀説も分析の対象とし、矛盾や欠陥をついていく(ここらあたりは仮説検証を繰り返すロジックパズラーの趣がある)、そして、ついに真相にたどりつく・・・という歴史ミステリーである。 歴史ミステリーというのは推理の過程を楽しむもので結論を信じてはいけない・・・ということをはっきり言っておきたい。 作者がその結論を信じているかどうかは関係ない。 何故なら、歴史ミステリーは、あえて奇説を主張しないと売れないからだ。 本能寺の変は、光秀の単独犯行で動機は不明、というような当たり前の結論では、そもそもミステリとして成り立たない。 これは通常のミステリーで犯人の意外性が要求されるのと同じだ。 そして、通常のミステリーで意外な犯人を設定することができても、説得力のある推理が展開できなければ失敗作とみなされるように、歴史ミステリにおいても、最後まで読んだ読者に、「これはない」と思わせてしまった作品は失敗作である。(よく出来た歴史ミステリーを読んで、その結論を真に受けた読者を私は何人も知っている。) ここで、その奇説が本当の意味で証明できているのなら学術論文で画期的新説として発表出来るはずだということを読者は念頭に置くべきだ。 歴史ミステリーでは、結論に合わせて史料が選択される。 1.都合の悪い史料を無視する。(最初から取り上げない) 2.史料の解釈に複数あるとき、都合の良い解釈のみを取り上げ、それ以外の解釈はありえないかのように説明する。 本書も、そういう歴史ミステリーの典型である。 だからそのつもりで楽しむ必要がある。 例えば、 1.光秀が丹波、近江の領地を取り上げられたと主張するためには、本来、その根拠となる「信孝文書」の真偽を検討する必要がある。何故なら「信孝文書」には偽書の疑いがあるからだ。 しかし、その存在を無視することで、光秀が丹波、近江の領地を取り上げられたことが事実であるかのような錯覚を読者に与えることが出来る。 2.信康殺しに関しても、徳川家お家騒動説(現在では、こちらの方が通説である。)とその根拠となる「当代記」「安土日記」等の史料を完全に無視することで、大した史料的根拠もなく主張された信康が、信忠より優れていたのを信長が恐れて家康に信康殺しを命じたという説(主張したのが日本史の権威といわれる大学教授だったので評判になった。)がこの本のなかでは「説」ではなく、事実としてまかりとおることになる。 3.波多野兄弟殺しについても、光秀が母親を人質にして結んだ和睦を無視して信長が波多野兄弟を磔刑にした、という江戸時代に作られた疑いのある話を事実であるかのように語るためには、同時代史料から窺える光秀が謀略で波多野兄弟を生け捕りにしたという説を無視するのが最も有効なのだ。(ちなみに波多野兄弟の磔刑は裏切り者に対する一般的な処刑である。史料があちこち抜けていて、点がなかなか線にならないうらみがあるが、波多野兄弟は、信長が京を制圧した直後に一度降伏している。それにもかかわらず、一揆を扇動して露見し、再度反乱に踏み切ったものらしい。光秀にとって生け捕りが信長から最も評価される道だったのである。) 4.「長篠の戦い」について徳川家史料を取り上げ、他の史料を無視することで「長篠の戦い」で活躍したのは実は徳川家だったという錯覚を読者に与えることが可能になる。徳川家の史料を読むと徳川家ばかりが活躍しているというのは歴史をある程度知ってる人にとっては常識なのだが。 ほかにもあるが、”歴史”ミステリーでは、このぐらいのことは許されると言わざる得ない。 何故なら歴史ミステリーでは作者によって与えられた史料(前提条件)のもとで推理を楽しむのがルールだからだ。 しかし、この小説のなかで、一種の(小説内)小説として提示されている歴史叙述の部分は、解釈の押しつけで不愉快である。少なくとも、ハムレット役者多岐一太郎のベッド・デティクティブものとしてはじめたミステリーとしては、ルール違反だと思う。 もちろん、登場人物の一人の推理として提示されている個所もあれば、別のシーンが提示されている個所もあるが、無責任かつ一方的に提示されて放置されているシーンが少なからずある。 特に、この叙述を使って、信康のことで詰問された酒井忠次が必死に信康のために弁明したなどと、何の史料的根拠もない見解を挿入するに至っては論外である。 しかも、この手の記述はあちこちに見受けられる これらの記述で分かることは、筆者が信長嫌いらしいことだけだ。 ただ、あまり細かいところに文句をつけても仕方がないだろう。他のレビュアーの方も書かれているが、この本は最後まで読んで、「これはない!!」と思ってしまうからだ。 この本はやはり失敗作なのだ。 | ||||
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最後の最後で、えぇっ・・と思ってしまったので★4つ。 それまではすごく面白かった。 歴史+謎解きというテーマでは、古くは「猿丸幻視行」や、QEDシリーズなどに親しんでいるし、好きなジャンル。 少しずつ謎が解き明かされ、他の仮説との比較で語られ、かつその謎に対応するように 歴史の流れもなぞられる展開は、とても読みやすかった。 本当に、最後の章までは面白かったんだけど・・ もう、★5つ!って感じだったのに・・ ・・・あれをありとされると、もうそれはそれで、なんでもありに近くないですか? いきなりの失速が、前半の興味を激しく打ち消して、極めて遺憾と言いたくなって・・ ★1つにまで落としたくはありませんが、しかし・・ | ||||
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1993年に講談社ノベルスとして出たもの。1996年には講談社文庫化されている。 『ハムレットの殺人一首』につづき、俳優・多岐一太郎を主人公としたミステリ。 撮影中の事故で入院中の多岐が、本能寺の変の黒幕を推理するというベッド・ディテクティヴもの。信長、光秀、秀吉、家康などの人物関係、事件前後の足取りが詳細に調べられており、そのなかから、誰が黒幕としてふさわしいか検討されていく。 歴史ファンの人なら楽しめるのかも知れない。状況証拠と動機についての検討は良くなされており、信頼性も高い。 結末はいかにも岩崎氏らしい。一般読者には受け入れがたいとは思うが。ちょっと強引すぎるのでは? その強引さを楽しむべきだとは思うのだが、前半の緻密さと比べてしまうと。 | ||||
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