さいはての彼女
評判
さいはての彼女の評価:
4.27/5点 レビュー 262件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1〜20 1/1ページ
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さいはての彼女の評価:
4.27/5点 レビュー 262件。 B ランク
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
それで、本書はぜひに若者に読んでほしいのだ。
「あ、上司にこういうおばさん/おじさんいるわ」と思うこと必至である。
年齢を重ね、とにかく相手の話をじっと聞くという行為ができない人。貴賤に関係なく人間に敬意を払うという道徳が抜け落ちてしまった人。学ぶという行為そのものを忘れてしまった人。
それが本書の主人公たちである。
この主人公たち、素敵な旅を通して成長したようにみせかけて全く成長しないのだ。
これを狙って書いており、主人公と同じような人に「小説を読んで私も清々しい気持ちになった、私も変われた」と感動させているのなら名著だというほかない。
とにかく主人公の言動がひどい。タイトルにも選ばれた「さいはての彼女」を例にしても、偶然会ったバイク乗りの「彼女」との旅を通してまるきり成長しないのだ。
珍走団に絡まれた際に、彼女は波風を立てないように無視を決め込むも主人公は啖呵を切ってしまい後にバイクを壊される。
そして彼女が必死にホールしてもエンジンがかからず、主人公が代わったらなぜかエンジンがかかる。彼女の背中を見て主人公が改心していたらこの展開も感動するのだが、主人公は自分が喧嘩を売ったせいでこうなったことすら理解していないままだ。
あまつさえタンデム中に彼女の後ろで騒ぐな的なことを言われたのに騒ぐ。
極めつけは最後のメール。素敵なバイク旅を終えた主人公は、かつて罵り続けた仕事相手へ謝罪もなしに「また走らない?」とのたまう。相手から見たらまるで意味が分からんだろう。改心した、反省したということが伝わらないし、主人公がタンデムで走ったのを知る由もないのだから「走る」という言葉選びの意味も分からない。
どの短編も主人公の完全なる自己満足だ。主人公から見ればさぞ気持ちがいいだろうが、まわりの人にはまったく伝わらんのである。これが実に巧妙に書かれている。主人公はたしかに憧れるほど素敵な旅をする。私も旅してみたくなるほどだ。しかし、なぜか成長しない。成長しているように見える、でもしていない。驚愕である。
この主人公のようなおばさんおじさん、あなたの身の回りにいるだろう。
普段から横柄な態度で、分かった顔で首を突っ込んでは場をかき乱し、後始末もせずにまた他所へ首を突っ込みに行き、他の人たちがなんとかしたところで戻ってきてどうだ私のおかげだったろうと得意げな顔をする奴だ。
こっちの話を聞いているようで聞いていない奴だ。最初から自分の話をしたいがために、こっちの話を聞くフリをして、結局こっちが話している最中に我慢ならずに遮って話し始める、そういう手合いだ。
そいつが厄介払いで休暇をとって戻ってきたと思ったらなぜか「私と仕事しようよ」と意気揚々になっているのを想像してほしい。果たして清々しい気持ちでいられるだろうか。
この短編集は本当にそういう、成長しない人が主人公だ。
どれも素敵な旅なのに「嫌なことあったけどまた頑張ろ☆」程度の感受性なのだ。
どれも自分の一方的な思いを手紙に綴って終わるのがあまりにも救われないのだ。
どうか相手の話を聞いてほしい。人は成長できるということを忘れないでほしい。
本書はそれを狙って書いたのだと、私は信じたい。