さらばその歩むところに心せよ
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エド・レイシイ(1911-1968)ウィキペディアを見ると(英語版。日本語版は無かったです)57歳で亡くなってしまわれた訳か…と、著者が世を去った後に生まれ、著書を読んだのは没後半世紀以上経過したあとの未来の読者にも関わらず、「時代が違うのにページにがっちり据え付けられ、一ページ一ページがもどかしいのに220ページしかないのがもったいない」思いで第二次大戦に勝利してまだたった十数年のニューヨークの警官のピカレスクロマンを読みました。 父親に自らのヒーローを重ね合わせ、それを拒絶されて孤独と自暴自棄に陥る喧嘩っ早くて腕っぷしの強い、そして朝鮮戦争で(皮肉な偶然から)勲章を受勲した「にもかかわらず帰還したあと何物でもない自分に気づく」主人公には、この時代のあとの「成育状況に問題を抱えたアメリカの病めるヒーローたち」の先駆者を感じます。朝鮮戦争でもこれだけ問題を持つ人物を出すのですから、戦争で「男になる」のも考えもんです。 警官の副業として地位を利用してのゆすり、たかりで金を儲ける姿には悪漢小説としての面もあり、そしてなにより、百万ドルが転がり込んでくる(そして最終章でまさか、あっと大向こうを唸らせるどころか叫ばせるような)逆転逆転また逆転が待っていたのですが、この作品、原著上梓の翌年、1959(昭和34)年に翻訳されていることにも驚愕しました。翻訳、早いですね。 日本で言えば岸信介内閣の安保反対運動の前年、いまや干支が一巡するぐらい昔、小林信彦「夢の砦」で書いたような時代で、以後自民党政治の60年(笑)が経過すると、この60年は近代日本史でもまれなほど「変わらなかった」同じ常識、社会が継続した「平和」な時代だったと思う。 今、読んでも説明不能に地続きの同じような社会として読むことが出来ました。 60年前の日本の小説もそのように違和感なく読めるかどうかは判りません。もしかしたら海外小説の翻訳文体の方が極端な個性がなくて読みやすいこともあるのかもしれませんが、社会が極端に変動しないことも、文化を理解するためには必要なことで、今これを読みやすいのには、そうした小説以外の部分で支えられていることもあるのかも。 傑作だと思いましたが、偶然ネットの古書で手に入れました。刊行当時この本を読んだ読者を20台と仮定すると、2020年代現在では80才を越えるので、当時この本がどれだけ売れ、盛名を馳せたかは不明ですが、さきほどの感想とは別に、いったん生み出された作品とその反響は、基本的にはすべて時の流れに押し流されて消えていく、と思った方が自然かもしれません。いや、ミステリに限らず、文化とはそんなもんかも知れませんが。 それが忘れ去られている事も含めて、色々な意味で驚くべき傑作でした。 | ||||
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1959年に刊行された作者の代表作。誘拐犯から身代金を横取りした二人の警官の末路を描く。 当時流行していた悪徳警官物としての緊迫感あるプロットとほろ苦い青春小説的な要素が渾然一体となり、結末に至って驚きと感動を呼ぶ見事な構成の妙。題名 Be Careful How You Liveに秘められた底意も誠に味わい深い。 エド・レイシイは人種問題や差別など第二次大戦後顕在化し始めたアメリカの病理への怒りをいち早くミステリに取り入れ、それを浮き上がらせる事なく物語の面白さと融合させた先進的な作家だった。改めて再評価される存在だと強く思う。 | ||||
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E.レイシーの代表作。ハードボイルド・タッチのサスペンス小説。籠城状態の男二人を中心として話は進む。一応、サスペンス小説としても楽しめるが、実は読んでいて不可解な点があるのである。 それが何なのか良く分からないうちに結末に至り、読者はアッと驚く事になる。ハードボイルド風を装って、結末の意外性を重視している所に作者の良心を感じる。 E.レイシーが技巧の限りを尽して描いたサスペンス小説の傑作。 | ||||
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