透明な一日
評判
透明な一日の評価:
3.00/5点 レビュー 2件。 - ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1〜2 1/1ページ
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話は、この助教授一家を含む複数家屋を襲った14年前の連続放火事件と、これに絡んで起きる現代の連続殺人事件の謎を、やはりこの放火で母を無くした青年が追うというもの。青年と助教授の娘は未承認状態の婚約関係にある。デビュー作ほどのアクロバティック性はないものの、特異なトリックを実現させてしまう手腕は評価できる。トリックに不自然さを感じさせないように全篇に渡って伏線を張ってある用意周到さも見逃せない。「前向性健忘症」の助教授が娘に残す最後の手紙も感動を誘う。
欠点を挙げると、デビュー作でも感じた事なのだが、人物造詣が甘く、登場人物が単なる記号のようにしか映らない点であろう。ミステリーは須らくそうした傾向を持つのだが、トリッキーな作風を考えるとスヴィドリガイロフ的性格を登場人物に付与しても良いのではないか。また、「前向性健忘症」という病気をご都合主義的に使っている点が気になった。
作者はデビュー後10年経っても"覆面作家"を貫いている興味ある人物である。また、言語を解する猿を主題にした作品もある程、科学とミステリーの融合を試みている作家でもある。そんな作者のトリッキーな味が楽しめる佳作。