人間の本性を考える

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人間の本性を考えるの評価:

4.03/5点 レビュー 39件。 A ランク

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平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全66件 41〜60 3/4ページ
No.26
(5pt)

科学書としてではなく

基本的に本書は科学書としてではなく、イデオロギー論争に関する本として読まれるべきだと思う。1992年のクローニンの『アリとクジャク』、95年のデネットの『ダーウィンの危険な思想』、01年のオルコックの『社会生物学の勝利』と社会生物者側から科学に足場を置いた反論は続いていたが、本書は社会的、政治的な含みにまで足を踏み込んで人間行動の進化に関する研究への批判者に対し、猛反撃を試みている。先にイデオロギー論争を仕掛けたのは批判者だと思うので、私はピンカーのやや揚げ足取り的で誇張も見られる反撃は(批判者のイカサマと比べれば)まったく正当防衛の範囲内だと思うが、論争のバックグラウンドを知らなければその点は大きなマイナスかも知れない。

新生得主義に関する概説書としては『心の仕組み』と『言語本能』で十分でだろう。ただそれでも、近年でも見られるタブラ・ラサ(構築主義やラカン派精神分析の社会評論本に多いように思う)の論理のずさんさを批判的に検討する種本としては有益かもしれない。

日本語で読める批判者側の主張をまとめた良質の本がないのが残念。スティーヴン・グールドのエッセイに全体的に批判がちりばめられているくらいか。ナイルズ・エルドリッジの『ヒトはなぜするのか』は質の悪い批判書の典型としてはいいが、わざわざ読む価値は無い。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.25
(5pt)

科学書としてではなく

基本的に本書は科学書としてではなく、イデオロギー論争に関する本として読まれるべきだと思う。1992年のクローニンの『アリとクジャク』、95年のデネットの『ダーウィンの危険な思想』、01年のオルコックの『社会生物学の勝利』と社会生物者側から科学に足場を置いた反論は続いていたが、本書は社会的、政治的な含みにまで足を踏み込んで人間行動の進化に関する研究への批判者に対し、猛反撃を試みている。先にイデオロギー論争を仕掛けたのは批判者だと思うので、私はピンカーのやや揚げ足取り的で誇張も見られる反撃は(批判者のイカサマと比べれば)まったく正当防衛の範囲内だと思うが、論争のバックグラウンドを知らなければその点は大きなマイナスかも知れない。

新生得主義に関する概説書としては『心の仕組み』と『言語本能』で十分でだろう。ただそれでも、近年でも見られるタブラ・ラサ(構築主義やラカン派精神分析の社会評論本に多いように思う)の論理のずさんさを批判的に検討する種本としては有益かもしれない。

日本語で読める批判者側の主張をまとめた良質の本がないのが残念。スティーヴン・グールドのエッセイに全体的に批判がちりばめられているくらいか。ナイルズ・エルドリッジの『ヒトはなぜするのか』は質の悪い批判書の典型としてはいいが、わざわざ読む価値は無い。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.24
(4pt)

進化心理学の入門書

人間の色々な心理的メカニズムが、かつて、ヒトが様々な困難を乗り越える際に生まれたものであると考える、進化心理学の恰好の入門書である。

本の構成としては、人間は生まれた時白紙であり、どのように生きるかで人格が決まるという、タブラ・ラサ説の批判をし、人間の本性は、生得的に決まる部分がかなりあるのだ、ということを述べるというものになっている。

正直、人の心理が、環境と遺伝(進化的要因)両方で決まるということは既に(日本人)皆のコンセンサスになっていることだと思うが、アメリカではそうでもないのであろう。

具体的に、子供の人格は長期的にみると、資質と付き合う仲間によって決まる(統計)という話は子育ての時の参考になると思った。(付き合う仲間をある程度親は決められる。)
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.23
(4pt)

進化心理学の入門書

人間の色々な心理的メカニズムが、かつて、ヒトが様々な困難を乗り越える際に生まれたものであると考える、進化心理学の恰好の入門書である。

本の構成としては、人間は生まれた時白紙であり、どのように生きるかで人格が決まるという、タブラ・ラサ説の批判をし、人間の本性は、生得的に決まる部分がかなりあるのだ、ということを述べるというものになっている。

正直、人の心理が、環境と遺伝(進化的要因)両方で決まるということは既に(日本人)皆のコンセンサスになっていることだと思うが、アメリカではそうでもないのであろう。

具体的に、子供の人格は長期的にみると、資質と付き合う仲間によって決まる(統計)という話は子育ての時の参考になると思った。(付き合う仲間をある程度親は決められる。)
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.22
(5pt)

親子観が変わりました

下巻では、政治、暴力、性、育児、芸術という、最も議論を呼びやすいテーマについて、 人間の本性との関係を述べています。 個人的には、上、中巻と比べても、最も面白く読めました。 中でも、育児において親が子供の人格に与える影響の話が非常に興味深かったです。 必要以上にべったりだったり、無関心だったり、親子の関係は難しいものですが、 親ができること、できないことについての理解が深まり、私が抱いていた 親子観が根底から変わりました。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス)より
4140910127
No.21
(5pt)

より良い人間関係のために

中巻では、人間に本性があると認めた場合に人が感じがちな恐怖と、 本書の核心ともいうべき、人の本性とは一体何なのか? について 触れています。 特に愛情や連帯感の進化については、いわゆる「利己的な遺伝子」とも 関連していて、多くの人にとっては抵抗感のある概念だと思いますが、 人の本性を理解した上で、親子・夫婦・友人とよりよい人間関係を 築いていくためにも、是非知っておいた方が良いと思います。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.20
(5pt)

全ての社会人に

人類の進化のスピードは、社会の変化よりずっと緩やかだ。 だから、私達は原始時代の生活に適応した脳で、この複雑な現代社会を 生きていかなくてはならない。 そんな中、私達は、人間を理性的な存在としてとらえるあまり、 高い期待を抱き過ぎて、かえって失望することが多いように思う。 本書を読むことで、人類が進化の過程で獲得してきた性質を ありのままにとらえ、人に対してもっと現実的な期待を抱けるはずだ。 一部の科学好きの人のための学術書ではなく、現代社会に生きる多くの 社会人に読んで欲しい良書。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.19
(5pt)

より良い人間関係のために

中巻では、人間に本性があると認めた場合に人が感じがちな恐怖と、 本書の核心ともいうべき、人の本性とは一体何なのか? について 触れています。 特に愛情や連帯感の進化については、いわゆる「利己的な遺伝子」とも 関連していて、多くの人にとっては抵抗感のある概念だと思いますが、 人の本性を理解した上で、親子・夫婦・友人とよりよい人間関係を 築いていくためにも、是非知っておいた方が良いと思います。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.18
(5pt)

全ての社会人に

人類の進化のスピードは、社会の変化よりずっと緩やかだ。 だから、私達は原始時代の生活に適応した脳で、この複雑な現代社会を 生きていかなくてはならない。 そんな中、私達は、人間を理性的な存在としてとらえるあまり、 高い期待を抱き過ぎて、かえって失望することが多いように思う。 本書を読むことで、人類が進化の過程で獲得してきた性質を ありのままにとらえ、人に対してもっと現実的な期待を抱けるはずだ。 一部の科学好きの人のための学術書ではなく、現代社会に生きる多くの 社会人に読んで欲しい良書。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.17
(5pt)

面白すぎる(笑)

心理言語学者のスティーブン・ピンカーといえば、「言語生得説」の主張を論争的かつユーモラスな文体で軽快につづった、『言語を生みだす本能』がNHKブックスから出版されていて有名だ。

 人間が「文法」の規則をあやつる能力をいかにして獲得するのかについて、「後天的」に獲得する──つまり赤ちゃんが、たとえば両親の会話を聞いているうちに帰納的に規則を発見する──と考える立場と、「先天的」にその能力を持っている──つまり遺伝子によって規定される脳の構造のなかに、すでに文法の基本原理は組み込まれている──と考える立場がある。
 後者は、言語学界の革命児ノーム・チョムスキーが創始した「生成文法理論」が採っている言語研究のアプローチで、ピンカーの研究も基本的には同じ流れに属している──「進化論」の扱い等をめぐってチョムスキーと鋭く対立してもいるようだが──。
 ちなみに、『言語を生み出す本能』もこの『人間の本性を考える』もともに、アメリカではベストセラー入りしている。

 さて、本書『人間の本性を考える』のテーマは、言語にかぎらず、人間の性格や能力がいかに広範囲にわたって遺伝的に、つまり先天的に決定されているかである。要するに本書におけるピンカーの戦いの舞台は、「『心』をつくるのは生まれか? 育ちか?」の論争だ。もちろんピンカー自身は、少なくとも論争上は、「生まれ」の重要性を強調する立場にいると言っていい。

 この上巻では、「生まれか? 育ちか?」論争の科学的な内容にも触れられているが、より強い力点が置かれているのは、その論争がしばしば「政治的」な動機によって、非科学的で不公正なものへと歪められてきたという事実の指摘である。

 人間の性格は、「遺伝(生まれ)」と「環境(育ち)」の両者の相互作用によって形作られる。常識的にはそう考えるべきであり、ピンカー自身もそう主張する。したがって論点は、「生まれ」と「育ち」の双方がどの程度の割合で作用してくるのか、またどのような作用の仕方をするのか、に絞られてくるはずだ。
 ところがアメリカの知識界では、「平等主義」的なイデオロギーが幅を利かせているせいで、この常識的見解が否定され続けてきたのである。「生まれながらの不平等」を認めたくないわけだ。

 「遺伝」によって決まる人間の性質を、ピンカーは「人間本性」と呼ぶ。そして「人間本性」の存在を認めない立場の代表例が、「ブランク・スレート(空白の石版)」仮説、つまり人間の心はがんらい「空白」で、生まれた時点では個体間に何の差異もないという考え方である。(そのほか、「人間本性」を否定する立場には、「高貴な野蛮人」、「機械の中の幽霊」といったバリエーションがあるらしい。)
 遺伝子の研究や、認知科学、脳神経科学の発達によって、人間の心が「ブランク・スレート」の状態で生まれてくるのではないということは、すでに当たり前の認識となってきた。何らかのかたちで「人間本性」が存在することは認めざるを得ないのだ。
 しかしながらアメリカでは、つい最近まで、科学者が「人間本性」の存在を少しでも認める主張をすると、たとえば「人種差別主義者」といったレッテルを貼られて、社会的に断罪されるという事態が頻発していたのである。
 ピンカーは膨大な量の文献を引用して、「人間本性」説を攻撃する「ブランク・スレート」論者たちが、いかにアンフェアなやり方で、心ある科学者たちに不当な攻撃を仕掛けてきたかを明らかにしている。

 本書(上巻)から我々が学ぶべきなのは、アメリカのアカデミズムやジャーナリズムが、少なくとも特定の分野では、「自由」でも「公正」でもないのだという事実であろう。アカデミックな実証研究が社会的・政治的なイデオロギーによって歪曲されるという事態は、「自由の国」アメリカにおいてすら日常茶飯事なのである。
 もちろん「自由」であればいいというわけではないし、科学哲学者のT.クーンが「パラダイム」という言葉で説明したように、自然科学の研究とて、その基本的な前提や枠組みは、ある種の「社会心理」によって規定されているのが普通ではある。
 しかし本書のなかでピンカーが告発しているのは、そんな生易しい社会心理の支配などではなく、ほとんど暴力的というべき卑劣な研究妨害活動だ。
 興味がある人は、この上巻の6・7章を読んでみるといい。

 さて、中・下巻も買わなきゃ。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.16
(5pt)

面白すぎる(笑)

心理言語学者のスティーブン・ピンカーといえば、「言語生得説」の主張を論争的かつユーモラスな文体で軽快につづった、『言語を生みだす本能』がNHKブックスから出版されていて有名だ。

 人間が「文法」の規則をあやつる能力をいかにして獲得するのかについて、「後天的」に獲得する──つまり赤ちゃんが、たとえば両親の会話を聞いているうちに帰納的に規則を発見する──と考える立場と、「先天的」にその能力を持っている──つまり遺伝子によって規定される脳の構造のなかに、すでに文法の基本原理は組み込まれている──と考える立場がある。
 後者は、言語学界の革命児ノーム・チョムスキーが創始した「生成文法理論」が採っている言語研究のアプローチで、ピンカーの研究も基本的には同じ流れに属している──「進化論」の扱い等をめぐってチョムスキーと鋭く対立してもいるようだが──。
 ちなみに、『言語を生み出す本能』もこの『人間の本性を考える』もともに、アメリカではベストセラー入りしている。

 さて、本書『人間の本性を考える』のテーマは、言語にかぎらず、人間の性格や能力がいかに広範囲にわたって遺伝的に、つまり先天的に決定されているかである。要するに本書におけるピンカーの戦いの舞台は、「『心』をつくるのは生まれか? 育ちか?」の論争だ。もちろんピンカー自身は、少なくとも論争上は、「生まれ」の重要性を強調する立場にいると言っていい。

 この上巻では、「生まれか? 育ちか?」論争の科学的な内容にも触れられているが、より強い力点が置かれているのは、その論争がしばしば「政治的」な動機によって、非科学的で不公正なものへと歪められてきたという事実の指摘である。

 人間の性格は、「遺伝(生まれ)」と「環境(育ち)」の両者の相互作用によって形作られる。常識的にはそう考えるべきであり、ピンカー自身もそう主張する。したがって論点は、「生まれ」と「育ち」の双方がどの程度の割合で作用してくるのか、またどのような作用の仕方をするのか、に絞られてくるはずだ。
 ところがアメリカの知識界では、「平等主義」的なイデオロギーが幅を利かせているせいで、この常識的見解が否定され続けてきたのである。「生まれながらの不平等」を認めたくないわけだ。

 「遺伝」によって決まる人間の性質を、ピンカーは「人間本性」と呼ぶ。そして「人間本性」の存在を認めない立場の代表例が、「ブランク・スレート(空白の石版)」仮説、つまり人間の心はがんらい「空白」で、生まれた時点では個体間に何の差異もないという考え方である。(そのほか、「人間本性」を否定する立場には、「高貴な野蛮人」、「機械の中の幽霊」といったバリエーションがあるらしい。)
 遺伝子の研究や、認知科学、脳神経科学の発達によって、人間の心が「ブランク・スレート」の状態で生まれてくるのではないということは、すでに当たり前の認識となってきた。何らかのかたちで「人間本性」が存在することは認めざるを得ないのだ。
 しかしながらアメリカでは、つい最近まで、科学者が「人間本性」の存在を少しでも認める主張をすると、たとえば「人種差別主義者」といったレッテルを貼られて、社会的に断罪されるという事態が頻発していたのである。
 ピンカーは膨大な量の文献を引用して、「人間本性」説を攻撃する「ブランク・スレート」論者たちが、いかにアンフェアなやり方で、心ある科学者たちに不当な攻撃を仕掛けてきたかを明らかにしている。

 本書(上巻)から我々が学ぶべきなのは、アメリカのアカデミズムやジャーナリズムが、少なくとも特定の分野では、「自由」でも「公正」でもないのだという事実であろう。アカデミックな実証研究が社会的・政治的なイデオロギーによって歪曲されるという事態は、「自由の国」アメリカにおいてすら日常茶飯事なのである。
 もちろん「自由」であればいいというわけではないし、科学哲学者のT.クーンが「パラダイム」という言葉で説明したように、自然科学の研究とて、その基本的な前提や枠組みは、ある種の「社会心理」によって規定されているのが普通ではある。
 しかし本書のなかでピンカーが告発しているのは、そんな生易しい社会心理の支配などではなく、ほとんど暴力的というべき卑劣な研究妨害活動だ。
 興味がある人は、この上巻の6・7章を読んでみるといい。

 さて、中・下巻も買わなきゃ。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.15
(4pt)

面白かったが…

私も上中下巻を個別にレビューします。 まず上巻は「人間の本性論争史」といったところ。 タビュラ・ラサ説の論理的誤り、社会生物学論争の問題点などは分かりやすく説明されている。 が、なぜタビュラ・ラサ説が誤っており「生まれは育ちを通して説」が正しいと言えるのか、その根拠をもっと詳細に提示した方が説得力がでるのではないか。 リドレーの『やわらかな遺伝子』より読みやすさでは上だがパンチ力は足りないと感じた。 中巻以降どう展開して行くのか気になる。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.14
(4pt)

面白かったが…

私も上中下巻を個別にレビューします。 まず上巻は「人間の本性論争史」といったところ。 タビュラ・ラサ説の論理的誤り、社会生物学論争の問題点などは分かりやすく説明されている。 が、なぜタビュラ・ラサ説が誤っており「生まれは育ちを通して説」が正しいと言えるのか、その根拠をもっと詳細に提示した方が説得力がでるのではないか。 リドレーの『やわらかな遺伝子』より読みやすさでは上だがパンチ力は足りないと感じた。 中巻以降どう展開して行くのか気になる。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.13
(5pt)

知的興奮と楽しさの並存する進化心理学入門書

「人間がどうなるのは生れ落ちた環境とその後の教育しだい」という考え方(「空白の石版」の教義)は人間のパーソナリティについての世間のスタンダードのようです。

ちょっと注意すればこの手の考えはいたるところに散見することができます。

「親の愛情を知らずにそだった子供は自分自身の子供にも愛情を注げない」、「虐待された子供は自分のこどもをも虐待する」などといった暴力・虐待の連鎖の考えはその典型でしょう。はたまた未来の博士や芸術家を夢見て物心つかないうちからわが子を熱心に「教育」する親たち。滑稽に映ります。

無論、人間性には経験的な要因が大きくすることは確かですが、先天的な資質の占める部分も非常に多いということも揺るがしがたい事実です。二人の姪の性格の違いを見るにつけつくづくそう思います。

重要なことは事実から目を背けることではなく、事実を把握した上でそれをどう活かすかということでしょう。「教育」「しつけ」の重要性はその先に見えてくるはずです。

人間性を生物学的、とくに進化論の観点から説明することにはかなり拒絶反応を感じてしまう方も、なるべく公平な視点から(といってもピンカーの筆致はかなり挑発的なのでなかなか難しいかもしれませんが)本書を読んでみてください。生物学は人間の根を照射し得るということが理解されると思います。

面白い本です。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (下) (NHKブックス)より
4140910127
No.12
(5pt)

進化心理学っておもしろい

「ブランクスレート」「高貴な野蛮人」「機械のなかの幽霊」という
育ち論者、環境論者、行動主義者らの社会科学系からでてきた人についての
妄想を木端微塵にしてくれています。

しかし、これほどの科学者が、上記の妄想を論破するために本書を書くという
労力をかけなければならない状況とは一体なんなんだろうか。
昨日の新聞でも、「インテリジェント・デザイン」という、
人は何らかの知的な存在によって作られたという説を
学校の教科書に載せる・載せないで議論しているようです。

どんな宗教を信じる・信じないは個人の自由ですが、
それを科学の世界に持ってくる事の危険性を感じます。
宗教は偉大な文化だと思いますが、
科学はそれからは完全に守られた状況で事実を解明することに集中すべきだと思います。
当然、科学の力を利用する際には、善悪を含めて様々な観点から慎重を期すべきですが、
それは科学が新たな領域を見つけたあとに行うべきでしょう。

上中下3巻セットあわせて必読書です。

なお、進化理論について興味を持たれた方には以下の書籍がお薦めです。
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」「延長された表現型」「盲目の時計職人」
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」「ゲノムが語る23の物語」「徳の起源」「赤の女王」
ニコラス・ハンフリー「獲得と喪失」
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.11
(5pt)

進化心理学っておもしろい

「ブランクスレート」「高貴な野蛮人」「機械のなかの幽霊」という
育ち論者、環境論者、行動主義者らの社会科学系からでてきた人についての
妄想を木端微塵にしてくれています。

しかし、これほどの科学者が、上記の妄想を論破するために本書を書くという
労力をかけなければならない状況とは一体なんなんだろうか。
昨日の新聞でも、「インテリジェント・デザイン」という、
人は何らかの知的な存在によって作られたという説を
学校の教科書に載せる・載せないで議論しているようです。

どんな宗教を信じる・信じないは個人の自由ですが、
それを科学の世界に持ってくる事の危険性を感じます。
宗教は偉大な文化だと思いますが、
科学はそれからは完全に守られた状況で事実を解明することに集中すべきだと思います。
当然、科学の力を利用する際には、善悪を含めて様々な観点から慎重を期すべきですが、
それは科学が新たな領域を見つけたあとに行うべきでしょう。

上中下3巻セットあわせて必読書です。

なお、進化理論について興味を持たれた方には以下の書籍がお薦めです。
リチャード・ドーキンス「利己的な遺伝子」「延長された表現型」「盲目の時計職人」
マット・リドレー「やわらかな遺伝子」「ゲノムが語る23の物語」「徳の起源」「赤の女王」
ニコラス・ハンフリー「獲得と喪失」
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.10
(5pt)

真実と「幻想」と

「言語を生み出す本能」でたちまち注目を浴びたスティーブンピンカーの新刊。 翻訳も読みやすいので、たちまち本書の魅力に飲み込まれるだろうと思う。 上巻は、「空白の石版」派との論争を振り返りながら、その欺瞞とトリックを解き明かしていく。 中巻下巻と徐々に本質を付いて行くが、やはりまずは上巻からはいるべきであろう。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.9
(5pt)

真実と「幻想」と

「言語を生み出す本能」でたちまち注目を浴びたスティーブンピンカーの新刊。 翻訳も読みやすいので、たちまち本書の魅力に飲み込まれるだろうと思う。 上巻は、「空白の石版」派との論争を振り返りながら、その欺瞞とトリックを解き明かしていく。 中巻下巻と徐々に本質を付いて行くが、やはりまずは上巻からはいるべきであろう。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100
No.8
(3pt)

もっと「へーっ」を!

確かに読み出したら止まらない部分もあった。70年代の「社会生物学」を巡る論争は面白かった。「人間の行動が遺伝する」と発言しただけで、「反動」「ナチス」と決め付けられて糾弾される様子は、いかに政治の時代のできごとであったとはいえ、アメリカで起きたことだとは信じがたい。ピンカーの洒脱で辛らつな文章とあいまって、良質の科学史研究として読めた。
でも私が本書に期待していたのは、客観的で、しかも驚くべき事実の積み重ねによって「空白の石版」派を論破すること。人間と進化に関する最新の科学的発見をたくさん盛り込んで、「へーっ」と言わせてほしかった。でもこれでは「人間って空白の状態で生まれてきていなければならない」とする道徳派に対して、「科学的にはこうなっていなければならない」と諭しあっている感じ。
『言語を生み出す本能』は、脳と言語の関係ってこうだったのか!という感動を、ほんとに笑えるアメリカンジョーク連発で伝えてくれた。本書にその妙が少なかったのは残念。そして誤解を避けるためだとは分かっているけれど、「私は遺伝だったら何をしてもいいと言っているわけではない」という繰り返しにちょっとうんざりした。
ピンカーの未訳の本が何冊かあるみたいなので、その出版に期待したい。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (中) (NHKブックス)より
4140910119
No.7
(3pt)

もっと「へーっ」を!

確かに読み出したら止まらない部分もあった。70年代の「社会生物学」を巡る論争は面白かった。「人間の行動が遺伝する」と発言しただけで、「反動」「ナチス」と決め付けられて糾弾される様子は、いかに政治の時代のできごとであったとはいえ、アメリカで起きたことだとは信じがたい。ピンカーの洒脱で辛らつな文章とあいまって、良質の科学史研究として読めた。
でも私が本書に期待していたのは、客観的で、しかも驚くべき事実の積み重ねによって「空白の石版」派を論破すること。人間と進化に関する最新の科学的発見をたくさん盛り込んで、「へーっ」と言わせてほしかった。でもこれでは「人間って空白の状態で生まれてきていなければならない」とする道徳派に対して、「科学的にはこうなっていなければならない」と諭しあっている感じ。
『言語を生み出す本能』は、脳と言語の関係ってこうだったのか!という感動を、ほんとに笑えるアメリカンジョーク連発で伝えてくれた。本書にその妙が少なかったのは残念。そして誤解を避けるためだとは分かっているけれど、「私は遺伝だったら何をしてもいいと言っているわけではない」という繰り返しにちょっとうんざりした。
ピンカーの未訳の本が何冊かあるみたいなので、その出版に期待したい。
人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス) Amazon書評・レビュー: 人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)より
4140910100