寛政五年十月、江戸を見舞った大火事のあと、吉原に大勢の客が押し寄せる。

玖珠山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。

頭成の湊に着き、森藩の国家老・嶋内と商人・小坂屋の不穏な結びつきを知った小籐次は、ある過去の出来事を思い出した。

淀川を襲う激しい嵐から人々を救うため、来島水軍流・剣の舞を天に奉納する小籐次・駿太郎親子。

森藩藩主の命により、参勤交代に先行して国許の豊後国を訪れることになった小籐次。

京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和国室生寺に向かう一行と同道することになった。

吉原会所の裏同心神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五歳の浅草弾左衛門に面会した。

日課の研ぎ仕事に精を出す小籐次親子の前に現れた貧相な浪人。

京の都。祇園感神院の西ノ御門前で空也は、往来の華やかさに圧倒されていた。

長く廓の用心棒であった神守幹次郎が吉原を率いる八代目頭取四郎兵衛に就任、御免色里の大改革が始まった。

その幇間と遊んだ客はなぜか数日以内に非業の死を遂げる。紙問屋大松屋の若旦那が溺死。

将軍・徳川吉宗の命で、江戸城内で最強を誇る目付阪崎左兵衛尉を咎め、改易に追い込んだ惣目付の水城聡四郎。

大切な舟が水漏れするようになったが、金の工面に悩む小籐次。

安芸広島城下で空也は、自らを狙う武者修行者、佐伯彦次郎の存在を知る。

江戸で有名な盗人「鼠小僧」は自分だ、とついに明かした子次郎。

わけあって豊後森藩を脱藩し、研ぎ仕事で稼ぎながら長屋に暮らす赤目小籐次。ある夕、長屋の元差配・新兵衛の姿が忽然と消えた。

数年にわたって修行の日々を過ごした西国を去ることに決め、福江島から船に乗り込んだ空也は、長州藩の萩城下に降り立った。

端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。

文政９年初夏。太平の世を謳歌する江戸では近頃、貧しい長屋に小銭が投げこまれるという奇妙な事件が続いていた。

江戸の華〈祭り〉をテーマに人気時代小説作家が競作! 宮部みゆき「三島屋変調百物語」の最新作など、読み応え十分のアンソロジー。

文政９年正月。今年こそは平穏な日々を送りたいと願う小籐次のもとに元日早々、藤藩の近習頭・池端が訪ねてくる。

身の丈五尺一寸、風采の上がらない五十男。しかし実は来島水軍流の凄まじい遣い手――。

幕政改革に邁進しようとする八代将軍・徳川吉宗の先兵として奔走する惣目付の水城聡四郎。

田沼との激闘の日々は遠くなった。尚武館道場に入門し、兄弟子と立ち合い稽古に励む空也。

勘定奉行である父秀信の秘命を帯び、関八州に巣くう公儀の敵を倒してきた夏目影二郎。最後の始末旅より七年。

文政８年冬。

小籐次一家三人は、老中青山忠裕の国許であり駿太郎の実母・小出お英の故郷でもある丹波篠山へと旅立つ。

十三歳にして剣術に優れ、研ぎ仕事の腕も上げた駿太郎はアサリ河岸の桃井道場に入門し、年少組で稽古に励む。

小籐次一家との身延山久遠寺への代参旅から戻ったお夕は、父のもとで錺職修業を始めた。

近ごろ呆けの進んだ新兵衛が妙な間合いで「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えるため、みんなは困り果てていた。

近ごろ、小籐次が研ぎ仕事をしていると、その姿に手を合わせ念仏を唱え柏手を打つ者、さらには賽銭を投げる者が続出する。

その娘、希望か絶望か。 韓国・巨額詐欺事件の遺産を継ぐ少女と、 売春島を生き抜いた女を結ぶ暗い糸。

小籐次父子は公方様に拝謁し、見事な芸を披露して喝采を浴びた。数日後、小籐次は駿太郎の乳母を務めたおさとと再会する。

小藤次は、久慈屋昌右衛門との伊勢道中で知り合った三吉と再会したが、彼は酒飲みで乱暴者の父親のもとで苦労していた。

寛政七年仲夏、豊後関前藩の湊に降り立った坂崎磐音一家。

新兵衛長屋界隈で、赤目小籐次を尋ねまわる怪しい輩がいるという。

改築中の尚武館道場に、読売屋の和蔵が訪ねて来た。聞けば、佐野政言が田沼父子を告発する闇読売をばら撒こうとしているらしい。

還暦を前に大店下り酒屋の主・里右衛門が病に倒れた。

武者修行中の嫡子・空也の身を案じる江戸の坂崎磐音のもとに、長崎会所の高木麻衣から文が届く。

吉原を過去最大の危機が襲う。会所頭取、四郎兵衛の無残な姿。

秋風が吹き始めた江戸。磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに研ぎ師・鵜飼百助のもとを訪ねる。

高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。

吉原が遊女らの白無垢の衣装で彩られる八朔の日、当代きっての人気太夫・香瀬川が忽然と姿を消した。

師走、寒気増す江戸深川・六間堀長屋。

佐野政言が城中で起こした刃傷騒ぎに起因し、田沼意次の嫡男・意知が落命する。

天明四年弥生二十四日。粛然と稽古に打ち込む磐音のもとに、霧子から急報がもたらされる。

平戸を発ち、長崎へと辿り着いた空也は、島巡りの途中で出会った長崎会所の高木麻衣、奉行所の鵜飼寅吉と再会する。

佐々木道場の跡目を継ぐため、浪人・坂崎磐音は生計の鰻割きを辞し、住み慣れた金兵衛長屋に別れを告げた。

吉原で新たな太夫を客が選ぶ催しが行われることに。

正月を迎えた江戸。

正月。小籐次は望外川荘、おりょうの実家、久慈屋と宴席が続き、掏摸を捕まえた駿太郎は、奉行所から褒美をもらうことになった。

ついに、その時がきた 将軍の腹心候補は見つかるのか? 決死の秘命を受けた射貫大伍の 「諸国大名調査行脚」が始まる 旅に出たくても出られない。

将軍家重の治下、江戸に流れ込む者が増えた。

藩と領民が力を合わせ「国替え」という最大の難事を乗り越えた高岡藩井上家。

安永五年、豊後岡藩の馬廻り役・神守幹次郎は、意に沿わぬ婚姻に苦しむ納戸頭の妻・汀女と出奔した。

天明八年、小梅村の尚武館坂崎道場。庭では九歳になった空也が独り稽古に励んでいた。