さかのぼり喫茶おおどけい
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著者初のシリーズとなった「さかのぼり喫茶」2作目です。年代物の古時計が存在感を放つレトロ風喫茶店を舞台にしたタイムスリップ人情譚。本作では「人から人へと受け継がれていくもの」を中心に、人と人とのつながりをストレートに描いたエピソードが重ねられています。シリーズになったことで、栄一おじいちゃんのことが少しずつ明らかになっていく楽しみも増えました。 「今」「ここ」とは違う場所に突然飛ばされる――これは、誰もが経験したことのない異常事態です。ファンタジーやSFでは定番のテーマですが、当事者にとっても読者にとっても常識の外の出来事であり、多くの物語では異常事態を受け入れるまでの心理描写が丁寧に描かれてきました。 とはいえ通常、この現象は物語の冒頭で一度起こるだけです。しかし、『さかのぼり喫茶』ではエピソードごとに異なる人物が初めて体験するため、毎回繰り返しがくどくならないよう工夫しながらどのように納得させるかが重要になります。本作では、眠気に誘われ夢うつつのまま過去へ戻り、会話に引き込まれているうちに元に戻るという仕掛けが用いられています。この手法は物語の流れを妨げず、繰り返し使える巧みな演出といえるでしょう。 近年は「タイムスリップ」という単語も説明なしで使えるほど一般的になり、特に最近の異世界転生モノのブームの影響もあり、読者も慣れてしまったのでしょう。むしろあっさり流して話を先に進める作品が増えています。そうした中で、本作では描写を省くのではなく、自然な流れに馴染ませることで読みやすくしている点が特徴的です。 | ||||
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内山純の小説はどれも「繋がる」ということがテーマの底流にあるように感じています。今回の『さかのぼり喫茶おおどけい』は、この繋がるというテーマを最もストレートに描いた物語です。題名の「さかのぼり」という言葉はこの小説の骨格である「不思議な大時計の音色に促されて時空を遡る」という意味だけでなくて、文中にある「父・祖父・曾祖父とさかのぼっていく…」「僕という人間は祖先の人たちの積み重ねでできている」という想いを表す言葉として使われています。 戦中・戦後のとてもとても辛い時期を生きていた祖先の人たちが、「だた話を聞いてもらえるだけで人は楽になる」「今自分がここに生きているだけで誰かの支えになる」「あなたは、ただ”あなた”でいるだけでいい」と「誰かのために生きようともがき」ながら繋いできた「優しさの連鎖」の言葉の数々が、少し疲弊した今を生きる登場人物や私たち読者の心を癒していきます。 最終章に登場人物オールキャストになったところで、名前を覚えるのが苦手な私にはちょっと辛くて星4つとなりました苦笑 | ||||
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