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街とその不確かな壁の評価:
3.89/5点 レビュー 221件。 B ランク
Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです
平均点3.89pt
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。 未読の方はご注意ください
四次元と自我
かなりキツい
1️⃣主人公と彼の影
・2️⃣との失恋(⁈)を引きずって、壁に囲まれた異世界を心象に想像して、そこで故人たちの残した夢を読む。異世界から現実の世界に戻って、出版取次社員から福島県の図書館長となり、子易氏の助言に従いながらM少年の旅を助ける。
2️⃣一歳歳下の少女
・高校時代に愛し合っていたのに、突然連絡が取れなくなった、理由は全くわからない。
3️⃣壁に囲まれた世界にいる少女
・2️⃣と同じ少女なのだが別世界にいる別の少女、異世界での図書館で主人公の仕事を助ける。
4️⃣ 壁に囲まれた世界にいる門番
・壁の内と外で影を実体を引き離す役。
5️⃣単角獣たち
・壁に囲まれた世界に住む獣たち。寒い冬には次々と死んでゆく。
6️⃣福島県の図書館員である添田女史
・幽霊となった子易氏と面談できる有能な司書。
7️⃣福島県の図書館長だった子易氏
・この町の名士だったが、75歳で急逝した後も、幽霊となって新館長となった主人公を助ける。風貌は薔薇族編集長だった伊藤文学氏を想起させる。
8️⃣福島県のコーヒーショップを営む30代の女性
・主人公と愛し合うが、SEXに痛みを感じてできないことを、負い目として抱えて生きている。
9️⃣イエローサブマリンの絵のヨットパーカーを着た少年M
・社会的なコミュニュケーション能力には欠けるが、読んだ本を全て暗記できる異才。壁に囲まれた世界へ移ることを望む。
700頁近い大作。これまでで最も読むのに労力を要した作品だった。特に序盤の200頁くらいは、同じような箇所が繰り返されて、正直かったるかった。登場する女性たちには『「ノルウェイの森」を再現させたいのか?』と思わせた。著者も71歳、青春の姿を描くには靄がかかっていて、輪郭がハッキリとしない。それに引き換えて、幽霊となった子易氏が登場してから、俄然面白くなった。それもやっぱり著者と登場人物の歳が近いからこそのリアリティだろう。巻末に登場するM少年。異形であるかのような際立った個性と才覚。彼は著者生涯のテーマである異世界の存在と決着をつけてくれる存在だった。
四次元の世界とは、複数の三次元の世界があること。あるSEに、それを4本の座標軸で習った。異なる三次元世界の別世界としての独立や、内在するズブズブの境界線の共有の曖昧さ。壁で囲まれた世界には、コロナ禍の影響も伺える。そして単角獣の存在は、著者らしい幻想性を醸し出している。著者は自分が何者であるかを、生涯ずっと問いかけている。自分である自分、自分でない自分。今回は自分自身の肉体と影の存在によって、それを問い糺している。物語のエンディングで、著者は彷徨の末に、生きている自らを確かめることができたのではないだろうか。