アヴリルの相続人 パリの少年探偵団2
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本書はピエール・ヴェリー作『サインはヒバリ』の続編にあたる。1960年7月、パリのノエル少年に莫大な遺産相続の話が舞い込む。彼は1914年9月に第一次世界大戦で戦死したギヨーム・アヴリルの子孫の一人だったのだ。相続人は全部で4人。しかし、遺言書のありかを吹き込んだレコードは二つに割れており、しかも半分しか見つからない。その不完全な音声の解読が物語の前半を引っ張っていくのだが、その知的な作業を探偵グルローと競うのはノエルの親友であり、「パリの少年探偵団」の「グラン・シェフ」ことドミニック少年である。一方、相続人たちと、グルロー探偵、公証人のフェスタラン、レコードの持ち主夫妻、ドミニックの両親、ノエルの父親、ドミニックとノエルの友人ババ・オ・ラムの一同がイル・ド・フランス地方のクレシー・アン・ブリへ、さらにはドルドーニュ地方へと移動する物語後半には、とりわけ拳銃を手にした黒眼鏡に髭の謎の男の登場とともに活劇的な要素も加わる。アヴリルの遺産はどこに隠されたのか? この精緻なミステリーに大人も子どももきっと夢中になるだろう。 アヴリル以外にも第一次世界大戦の死者ジョヴァンニが亡霊のように登場し、物語全体が1914年-1918年の死者たちへの敬意に包まれているように思われる。ギヨーム・アヴリルの言葉を伝えるために、彼を看取った英軍の看護兵ウィルキンスが1914年にアヴリルの友人で公証人のフェスタランに宛てて送った手紙は、郵便事故のせいで46年後の1960年に届く。フェスタランはすでに亡く、受け取ったのはフェスタランの息子(現公証人)であったが、彼が相続人たちに語る次の言葉は、この謎解きを、時を超えた友情の物語へと昇華させている。「ひとつは、ギヨーム・アヴリルが戦場で負傷して、祖国のために名誉の戦死を遂げたこと。もうひとつは、彼が私の父の親友だったことです。四十六年前に、父がウィルキンスの悲愴な手紙を受け取っていたら、アヴリルの相続人をすぐに地の果てまで捜索して、親友の遺志を実現していたでしょう。仮に、あの手紙が失礼きわまりない、不吉な作り話である可能性が九九パーセントだったと仮定しても、父は一パーセントの真実に必ず賭けたはずです! おわかりかな。私も今、同じことをしているのです。戦死した英雄に、そして尊い友情をわかちあった今は亡き二人に、敬意を表するために(本書36、37頁より)」 レコードの破損によって切れ切れの暗号のようになったフランス語を日本語に訳すという困難な仕事を、本書の訳は見事にやり遂げている。訳者による「解説」は原著の挿絵も含み、内容が豊富である。 | ||||
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