ボグ・チャイルド
- 湿地 (18)
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「怪物はささやく」と同様、ダウドの死後に発表され、2009年度のカーネギー賞を受賞した作品。 1980年代、北アイルランドとアイルランドの国境近くの町に住む17歳のファーガスは、紛争の絶えない故郷から脱出して医者になることを目指し、勉学に励む高校生。ある日、偶然湿地(Bog)の泥炭に埋まった鉄器時代のものと推定される少女の遺体を発見する。ファーガスによってメルと名付けられた少女の遺体は、腐敗を免れ生々しく、その首には縄が巻き付き、背中には刺し傷がくっきりと残っていた。 少女の遺体の帰属と死因を巡って論争が起こる一方、北アイルランド紛争に関与して収監されているファーガスの兄、ジョーは獄中でハンガー・ストライキを始め、刻々とその死期が迫る。他方、兄の友人の策謀により、活動への関与を余儀なくされたファーガスはジョーの命を救うため、ある決断をする…。 北アイルランド紛争の渦中、行く末が見えない陰鬱で不気味なムードを通奏低音としつつ、若者の心の成長の軌跡を描く。罪のない人々がイデオロギーの犠牲となるさま、思想に殉じる若者の純粋さと理不尽さ、家族の懊悩など、残酷な現実の姿を描きつつも、ファーガスが夢に見るメルをめぐる悲劇に、一片の救いが用意されているように、ダウドは、暴力と矛盾に満ちた時代を打開する力や希望を、未来を担う若者に託したかったように思える。 ジュヴナイル小説と位置付けられている本作であるが、内包するテーマは重く、一般小説にカテゴライズされても何ら違和感のない、大人の鑑賞に耐えうる秀作である。 | ||||
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届けるのが早くて、本もほぼ全新のような感じです!買って、よかったです! | ||||
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ジョンレノンやアバの時代に育つファーガソンは,医学部をめざしながらも恋に揺れる高校生である.アイルランド民族組織の私兵である兄ジョーをめぐる家族の物語と,泥炭地でみつかった少女のミイラ・メルのファンタジーを織り交ぜながら物語は進む.ハンガーストライキ中に昏睡状態に陥ったジョーに点滴治療を受けさせたい母と思想を全うさせたい父の対立の中,ファーガソンはある答えを出す. 北欧一帯に広がる泥炭の中からたくさんのミイラが出土している事を初めて知った.一つ物語に,もったいないほどの要素が詰め込まれているが,どれもが薄くならず,ファーガソンの成長に陰影をつけている.重いテーマも取り扱っているが,読後感がさわやかで一気に読める良書だと思う. | ||||
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舞台は1981年、政治的に複雑な北アイルランド。 主人公の高校生・ファーガスは、紛争が続くこの土地から離れて、 イギリスの大学で医者になることをめざして勉強しています。 兄のジョーは、イギリスからの支配・独立を目指すIRAの過激派の一員で、 現在は刑務所に投獄され、獄中で命がけのハンガーストライキを始めます。 そのため家族中に重苦しい空気が漂っています。 そんなある日、ファーガスは小遣い稼ぎに泥炭の盗掘にでかけた湿地で、 少女の遺体を発見してしまうのです。 湿地の作用によって、生々しく保存された、鉄器時代の少女の遺体らしいと。 政治に対するやるせない気持ちを抱くと同時に、 少女の遺体をめぐる想像を楽しみました。 さらに、主人公の車の運転を覚えたり、調査にきた学者の娘コーラと淡い恋に落ちたり、 友達と飲めないお酒を飲んで遊んだり、うまく利用されたり、 時々うるさい母親にうんざりしたり、 意見を曲げない父親に対峙したり といったごくごく普通の高校生としての日常に なぜか安心もしました。 | ||||
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☆2009年カーネギー賞受賞作 北アイルランドの政治的背景に、医者をめざしていたファーガスも自分の意志に反してそれに影響を受け、ある意味まきこまれてゆく。叔父と一緒に泥炭を掘っていたときに見つけた少女の死体にはじまり、自分の兄が政治活動によりハンガー・ストライキをおこしていき家族の苦悩は深まることなど、さまざまな出来事がどっさりとファーガスの夏に関わってくる。1981年、実際にイギリス政府に対しての行動としてハンガー・ストライキで10名が餓死にいたったできごとに触発されて著者はこの物語を書いたという。 遠い国での話なのに、ぐいぐいひっぱられるように読み進んだ。自分ひとりの感情や行動ではどうしようもない、政治的事情で苦しみの中でも、友情、恋と18歳のファーガスは日々を生きていく。「人生はランニングのようなもの」そう、ファーガスは自分の道を進む。 10代だからこそ味わう苦み、よろこびをこんな風に物語れるのかと著者の力に感嘆する。 残念ながら2007年に亡くなってしまった著者の新しい作品を読むことはかなわないが、死後に刊行された本書を含むもう一冊の"Solace of the Road"もゴブリン書房から発行予定とのこと。楽しみに待ちたい。 | ||||
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