姻族関係終了届
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 | 1981年04月30日 姻族関係終了届 (文春文庫) ※あらすじは登録されていません |
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| 技巧を凝らした短編ミステリーの名手、佐野洋が手を変え品を変えて読者を楽しませてくれるさまざまな「届け出用紙」が絡んだ犯罪ドラマの連作短編集です。本書に収録された作品の主役はほとんどが警察官ではなく一般の素人で、その事から犯人逮捕で終わるミステリーの常識が破られる事もあって、決してありきたりではない変化に富んだストーリーが堪能出来ます。やや強引な推理の部分もありますが、一編が約４０頁前後で気軽に読めて必ずや一定の水準で満足させてくれる著者の実力は相当な物だと思いますね。 『死亡届』癌に冒され余命いくばくもない兄から自分の死亡届の名前を書き換えて保険金を手に入れる犯罪のアイディアを教わった弟が妻と相談して実行に踏み切るのだが・・・・。思いの外疑われず上手くいったかと思わせて実はという鮮やかな結末に心がスーッとしましたね。『姻族関係終了届』息子と孫を交通事故で亡くした若い嫁が姻族関係終了届を用意しているのを見てしまった義父は悲しむのと同時にある不審を抱く。死者の連鎖が続き最後に迎えるショッキングな結末には正直驚愕させられましたね。『被害届』ＴＶ出演で人気の大学教授が自宅に泥棒に入られて警察に被害届を提出する。続いて近くで起きた男子大学生殺人事件と先の盗難事件の関連は何なのか？巧妙な犯罪ドラマの仕掛けに酔い痴れましたね。『認知届』高血圧気味の社長が脳溢血で死亡するのだが、近くにあった認知届だけが妙に引っかかるのだった。二十年前に関係があった女が産んだ娘の役割は？確かな証明は出来ないとは言え人でなしの悪党はいるものですね。『養子離縁届』貧しい境遇の妹が金持ち夫婦の養女となって一転して幸せを掴みかけた矢先に死亡し、それは何と自殺だったと知った兄が事情を調査し始める。大金は人間を悪魔に変えるとはこの事で醜悪な事件の全貌に強烈な嫌悪感が込み上げて来ますね。『欠勤届』普段から好意を持っていた女子社員が風邪による欠勤届を提出した事に上司が不審を抱く。単純ながらも中々に効果的で大胆なアリバイトリックに感心しましたが、でも普段と違う事をするとついボロが出てしまうのですね。『弁護人選任届』昔つきあいのあった女が殺され男がいい加減なアリバイを言った為に疑われて逮捕されてしまう。麻雀仲間に弁護士がいて運が良かったと思ったら逆に頼みを断られて見放されるのだが・・・・。この展開はかなり唐突で強引さを感じましたが意外な真相に驚かされ心が晴れ晴れとする嬉しい結末でしたね。 | ||||
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