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犯罪の進行
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犯罪の進行の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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ジュリアン・シモンズは『二月三十一日』で初めて日本に紹介された作家で、『ブラッデイ・マーダー 探偵小説から犯罪小説への歴史』(新潮社)の著者としても知られる。 本書は「探偵小説から犯罪小説への移行は必然である」というシモンズの持論を立証する作品の一つだろう。犯人当てクイズ、という娯楽的要素はない。というのも、殺人犯は捜査が始まる段階ですでにしぼられていて、あとは証拠をどのように集めるかという問題しか残っていない。殺人を犯したらしい不良少年のグループが育った環境はトラブルの温床で、自白を引き出すには暴力しかないと派遣されたスコットランドヤードの警官たちは考え、そのようにして状況証拠を固める。 検察官も、弁護士も、容疑者である少年の一人を支援することにした大新聞の記者たちも、有罪か無罪かということにしか関心はない。容疑者たちは尋問され裁判にかけられ、判決を受けるまでの一種のゲームに巻きこまれた被害者のように見えてくる。だから「犯罪の進行 The progress of a crime」という表題は意味深長だ。 主人公の一人である若い新聞記者ヒュー・ベネットをはじめとした人物造型がすばらしく、ドストエフスキーの『罪と罰』とかグレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』くらい読みごたえがある。 | ||||
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ジュリアン・シモンズは『二月三十一日』で初めて日本に紹介された作家で、『ブラッデイ・マーダー 探偵小説から犯罪小説への歴史』(新潮社)の著者としても知られる。 本書は「探偵小説から犯罪小説への移行は必然である」というシモンズの持論を立証する作品の一つだろう。犯人当てクイズ、という娯楽的要素はない。というのも、殺人犯は捜査が始まる段階ですでにしぼられていて、あとは証拠をどのように集めるかという問題しか残っていない。殺人を犯したらしい不良少年のグループが育った環境はトラブルの温床で、自白を引き出すには脅迫と暴力しかないと派遣されたスコットランドヤードの警官たちは考え、あらゆる手を使って状況証拠を固める。 検察官も、弁護士も、容疑者である少年の一人を支援することにした大新聞の記者たちも、有罪か無罪かということにしか関心はない。容疑者たちは尋問され裁判にかけられ、判決を受けるまでの一種のゲームに巻きこまれた被害者のように見えてくる。だから「犯罪の進行 The progress of a crime」という表題は意味深長だ。 主人公の一人である若い新聞記者ヒュー・ベネットをはじめとした人物造型がすばらしく、ドストエフスキーの『罪と罰』とかグレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』くらい読みごたえがある。 | ||||
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