明智左馬助の恋

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

明智左馬助の恋の評価:

3.77/5点 レビュー 30件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.77pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全30件 21〜30 2/2ページ
No.10
(4pt)

無難な作品。前二作の焼き直し風もまとまる。

本能寺三部作の完結編。
正直、「信長の棺」、「秀吉の枷」に続くのは、「家康」かと思ってましたが、「明智」でした。しかも、光秀ではなく、左馬助であり、意表をつかれました。
そのため、時系列的に、前二作、特に第一作と舞台設定が重なってしまい、「未発見である織田信長の遺体」に焦点を当てた第一作、「豊臣秀頼は秀吉の子では有りえない」との着眼から生まれた第二作のような歴史再検証、発見が乏しかったです。
物語自体は、登場人物のかかわり合い等は流石に面白いです。ただ、やや盛り上がりには欠ける気もします。ただ、歴史上の人物をポジティブに捉えている点は好感が持てます。
佳作ですが、前二作が良すぎた分だけ、もの足りなさも感じます。尚、本作だけを読まれても、意味は通じるのではないかと思います。

明智左馬助の恋 Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋より
4532170761
No.9
(5pt)

これこそが歴史

「信長の棺」、「秀吉の枷」と来て「明智左馬助の恋」。三作目は、明智左馬助の物語と聞いてはいましたが、このタイトルは予想できませんでした。しかし、内容は正しく左馬助の恋。戦国時代のラブロマンスです。物語としては、一番面白かったのではないでしょうか。<br /> 「本能寺」三部作の完結編となる本作ですが、既に謎らしい謎は前二作で明かされております。あとがきにもありますように『一つの謎は三つの方向から追う』の観点で、三つの立場から、このお馴染みとなった本能寺の抜け穴物語を読み解いていくというのが、このシリーズの楽しみ方でしょう。一作目の牛一から見た信長と本作の光秀から見た信長と立場が異なれば、こうも評価が異なる。これこそが歴史なのでしょうが。<br /> 前二作同様、大胆な歴史解釈で、今までに見たことの無い場面を描き出してくれているのも歴史ファンには興味深いところ。でも、妙に納得できたりします。<br /> 左馬助が主人公と聞いた時、二種類の結末を予想しておりました。どちらになるか、非常にドキドキしながら読み進めましたが、読み終えて何故タイトルが光秀でなく左馬助なのか、なんとなく解った気がします。あくまでも「本能寺」三部作の完結編なのかなと勝手な解釈をしつつも、そういった余韻に浸らせてくれる優良歴史エンターテイメントだと思います。<br /> <br />
明智左馬助の恋 Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋より
4532170761
No.8
(3pt)

三部作の最後を飾るにしては・・・

「信長の棺」「秀吉の枷」に続く、織田信長の遺体の謎に挑む三部作の完結編です。

三方から書かれた作品の最後は、明智方から見た物語になっています。主人公は光秀の娘婿左馬助です。

正直、前の二作品を読んでからだと、もう一つ盛り上がりに欠ける作品のような気がします。

左馬助と綸との二人の恋物語をバックに明智一族の破滅に至る道を描いているのですが、前二作で謎の大半が解ってしまっており、残された謎は信長の遺体が何故見つからなかっただけです。従って、二人の恋物語や、光秀、左馬助の生き方に魅力を感じられなければ、この作品の良さを感じられないことになります。その意味で、前二作に比べて、やや魅力に乏しい作品になってしまっているように思います。それと、一番気になった
のは、信長の死に纏わる周りの動きの理由が、前よりもぼんやりしてしまったことです。

とは言うものの、<小の慈悲><中の慈悲><大の慈悲>という論議が出てきますが、そこで、<大の慈悲>を「善悪の彼岸で、人間同士が、お互いの未熟と至らざる性を悲しみ、抱き合いながら流す熱い涙」と定義しています。この本の主人公左馬助の人生の中に、それを感じさせるものがあるような気がしました。
明智左馬助の恋 Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋より
4532170761
No.7
(3pt)

三部作は完成したか?

第1作「信長」は、本能寺の変をめぐる奇想天外な着想と謎解きの巧みさに脱帽だった。
第2作「秀吉」は、主殺しに走る秀吉の心理描写は面白いが、既知の解釈の描直しの域を出ず
小説のスケールは遙かに小振りになったという印象だった。
そして3部作の最後、タイトルが「左馬助」と聞いて、わずかに期待しつつ読み始めた。左馬
助が第1作の終盤、信長の遺体処理に謎めいた行動を取った人物として登場していたためだ。
著者の言う3点照射の最後の光源は、敗者の側からどのように事件を描くのだろうかと期待し
たのだが、正直なところ、左馬助とその妻、舅であり主である光秀を巡る家族ドラマでしかなく
「本能寺」という歴史上の事件に関する謎解きも物語の中では付け足しのように見える(信長
の遺体処理での左馬助の行動や安土城天守の謎解きも含めて)。
左馬助にも、もう1人の主役であるはずの光秀にも、回天の軸となる人物としての躍動感は読
みとれない。姿を隠したままの真の反逆者のシナリオに翻弄されながら、利ではなく、義や理
の一分を守ろうとした武士の悲喜劇といったら言い過ぎだろうか。いずれにしろ、様々に書か
れてきた光秀とその一党の解釈に新たに付け加えるものは感じられなかった。
本能寺という事件を異なる3つの視点から照射するという3部作の完結編としては残念な結果
になったが、湖水渡りという爽やかな武辺譚で記憶される部将に光を当てた佳作ではある。

明智左馬助の恋 Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋より
4532170761
No.6
(3pt)

明智左馬助

感想の前に。著者は本能寺の変を天正10年(1587年)と記されているが1582年の誤りである。何故こんな間違いをされたのか。作風は『信長の棺』によく似ている。信長の遺体を発見できなかったことで謎めいた展開にしている。多くの光秀作品では愛宕山での歌会で光秀の謀反を疑わせる発句を取り上げているのに対し、作者はむしろ紹巴の第三句以降の他の句に焦点を上げながら解説した点など興味深い。さらに信長弑逆は朝廷命令であるとした点などはこれまでになかった発想である。信長打倒説が、他にも家康、秀吉らもあることからしても本作品の展開には驚かせられる。一番興味深いのは信長の無慈悲な所業の分析をしていることだ。これは現代社会心理学の面からすればすごく頷けるものだと思う。作品名と内容とはそれほど頷けるものではない。歴史小説343作品目の感想。2011/11/11

明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫)より
4167754061
No.5
(2pt)

ここまで来ると文章力の勝負

本能寺の変を明智側視点で描いた作品ですが、歴史ミステリーとしての具体的な内容は前二作で描かれており、もはや一般の歴史小説として評価せざるをえないです。本作を面白いと思うかは人それぞれでしょうが、個人的にはどこかで見たシーンの焼き直しにしか感じられず、高評価できない作品でした。
明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫)より
4167754061
No.4
(4pt)

本能寺の変に至る過程を明智側の視点で描く。

私は著者の歴史解釈に賛同する者ではない。例えばこの上巻では天正九年の馬揃えが信長の押しつけだったとしているが、現在はそもそも公武の対立は先鋭化しておらず、京での馬揃えの開催も、安土の左義長を耳にした朝廷の方が要請したとする説が支配的なはず。

しかし、歴史解釈の当否はさておき、本能寺三部作を完読して、本能寺の変及び前後の真相に「信長の棺」では太田牛一の視点で、「秀吉の枷」では秀吉の視点で、そして本書では明智側の視点で、それぞれ迫り、かつ三部作が互いに絶妙に関係し合って壮大なスケールの物語を構築していることに感心した。例えば多志のエピソードや左馬助が馬にのったまま湖水を渡ったエピソードが本作でこのような形で生かされようとは思ってもみなかった。まるで、ジグソー・パズルのあいた所が埋まっていくような快感だ。

そして、本能寺の変の一因であると多くの人が指摘する、秀吉との出世競争や信長の酷使によって徐々に光秀が追いつめられていく心理状態を、左馬助の観察を通して書くアイデアが秀逸。律儀な明智の家風と好漢・左馬助を知るためだけでも一読の価値ありだ。
明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋〈上〉 (文春文庫)より
4167754061
No.3
(3pt)

明智左馬助

感想の前に。著者は本能寺の変を天正10年(1587年)と記されているが1582年の誤りである。何故こんな間違いをされたのか。作風は『信長の棺』によく似ている。信長の遺体を発見できなかったことで謎めいた展開にしている。多くの光秀作品では愛宕山での歌会で光秀の謀反を疑わせる発句を取り上げているのに対し、作者はむしろ紹巴の第三句以降の他の句に焦点を上げながら解説した点など興味深い。さらに信長弑逆は朝廷命令であるとした点などはこれまでになかった発想である。信長打倒説が、他にも家康、秀吉らもあることからしても本作品の展開には驚かせられる。一番興味深いのは信長の無慈悲な所業の分析をしていることだ。これは現代社会心理学の面からすればすごく頷けるものだと思う。作品名と内容とはそれほど頷けるものではない。歴史小説343作品目の感想。2011/11/12

明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫)より
416775407X
No.2
(5pt)

「本能寺の変」三部作の中で一番「時代小説」らしい作品

「本能寺の変」三部作の中で最も「古き良き時代小説」にふさわしい主人公を据えた作品。本作を持って本能寺の変にまつわるミステリーは完結するのだが、種明かしのほとんどは「秀吉の枷」までで明らかになっている。本作は明智左馬助の動きを中心にして坂本城落城までのストーリーを紡ぐことによって、これまでの作品で具体的に描かれてこなかった事変の実際部分を補完することが主たる目的になっているようだ。それだけにストーリーも人間味豊かな内容になっており、最後の坂本城落城の描写は非常に深い余韻を残す。長い長いストーリーの果てにようやく「泣ける場面」が出てきた。それにしても三部作を読むことで、作者の考える「本能寺の変」が立体的に浮かび上がるように設定されているのは、多分に映画的手法であり、全て読まなければ気が済まないようにさせられるのは余りに見事と言う他ない。
明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫)より
416775407X
No.1
(4pt)

明智一族への挽歌

本能寺の変に関し、私は単純な光秀単独犯説を採るから、変それ自体及びそれに至る状況についての著者の説とは相容れない。そのことは「信長の棺」のレビューで書いたから詳細は繰り返さない。この下巻で私が気になったのは信忠が信長の愚息とされていることだ。信忠は武田家殲滅戦で活躍し、信長が家督を譲ったほどの優秀な男というのが私の理解なのだが。変に巻き込まれた時に判断ミスがあったとしても。

しかし、著者の仮説に従って進行する本能寺の変を描く筆致は緊迫感があり、読ませる迫力がある。そして何より歴史を大きく動かす歯車の役を終えてあっという間に滅亡した明智一族の行動を、哀悼の念を込めて丁寧に記しているのには共感を覚えた。坂本城落城までを書く必要があり、そのためには左馬助が本書の主人公でなければならなかったのである。彼はまた、山崎の合戦に加わらず、安土城での留守役だったからこそ、安土城に込めた信長の、常人の発想の及ばない意図を知るのだが、それが何かは各自読んで確かめてほしい。それにしても、あの有名な論争がここに結びつくとは。著者の想像力の豊かさには唸らされる。
明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 明智左馬助の恋〈下〉 (文春文庫)より
416775407X