産業カウンセラーとして、ヒーリングスタジオなども運営する友部真幌。

牧丘南欧子、三十四歳。つまらない仕事。

(どうしてこんなに完璧なんだろう)。 誰をも惹きつける美貌。

亡き父の借財を抱えた大学生、井領哲之。

人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ―祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。

母と若い愛人、娘とドイツ人の青年。ドナウの流れに沿って旅するふた組の恋たち。

石屈日和は文具メーカーで働く三十歳。創業者の孫ということもあり、職場では恵まれた立場だ。