狡猾なる死神よ
- 死神 (120)
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十年以上前に出たこの本、テニスンの名詩“シャロット姫"が通奏低音として使われていると聞いて、ずっと気になっていたのですが、カバー見て、あらすじ読むと、何となく暗い陰惨な話のような気もして、躊躇っていました。 ところが読んでみると、スリリングではあるけれど、全然陰惨じゃない! 謎解き主眼のパズル系で、登場人物にも、底意地悪い人や悪意の塊みたいな人は殆どいなくて、そういうの苦手な私はホッとすると同時に、なんだ、もっと早く読めばよかったと、ちょっと後悔。 面白かったし、もっと評判にならないのが不思議です。日本ではテニスンやアーサー王物語に馴染みのない人が多いからでしょうか? でも、この訳者さんのオリジナル訳と思われる“シャロット姫"とその他の詩の訳はとっても素敵で、お上手で、是非味わって欲しいな、と思うのですけどね。 唯一点、謎解きのポイントとなる詩文についてですけど、前半で一度、後半で二度紹介されますが、原文が添えられているのは最後の一度だけ。これは日本の読者に対してアンフェアじゃないかな、と思います。 何にせよ、次も期待させてくれるシリーズの幕開けです。まだこれを含めて二冊しか翻訳されていないようですが、その先はどうなってるんでしょう、創元さん? | ||||
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作者はアメリカ東部のニューヨーク州生まれ、ダブリンのトリニティ・カレッジで文学と創作を学んだという方だそうで、その処女作です。アメリカ人ですが、作風はむしろ英国ミステリに近い感じで、それは作者の育ったアメリカ東部が保守的、清教徒的で、どこかヨーロッパの雰囲気が残っていること、また、アイルランドの大学で学んだということも影響しているのかもしれません。たまたま先に作者の2作目から読んでしまったのですが、今まで出会ったことのない個性的な作風に惹かれて、この作品も手に取りました。 主人公はハーバード大学で、墓石や服喪品の歴史、意義を芸術として研究し教えている助教授のスウィーニー。高名な画家だった父は自殺、元女優の母親は今ではアルコール中毒で絶縁状態。孤独な彼女は、ひとりで過ごそうと思っていたクリスマスに、親友トビーに、伯父の屋敷へ行ってみんなで一緒に過ごさないかと誘われます。孤独を愛する彼女が招待に応じたのは、その村にめずらしい墓石があることを知ったからでした。美しい女性の遺体と死神を象ったその墓に1800年代末に葬られた女性は、当時、実は殺されたのではないかという噂が流れていました。そしてその村では今、連続窃盗事件が続いており、さらに殺人事件まで起きてしまいました。果たして過去の事件と現在に繋がりはあるのか?・・というところから話は始まります。 かつて芸術家が集まって創作に励んだ美しい村、昔から何代にも渡って住んでいる住民と、19世紀にコロニーを作った芸術家たちの子孫、そして最近、新しく村に入ってきた人たちの間の微妙な軋轢、一見素晴らしい名家の家族に潜む問題、スウィーニー、トビーそれぞれの恋愛問題など、様々な事柄をバックに、状況は進行します。 作中にさりげなくとりあげられる美術の薀蓄、今回は特に絵画についての記述が興味深いです。そして作品の中心には19世紀の詩人テニスンのアーサー王伝説を元にした詩があって、全体の格調高い雰囲気が魅力的です。こういう作風が好きな人にはたまらないと思います。舞台は現代ながら、ひと昔前の英国ミステリのような風格が感じられます。登場人物たちも個性が際立っていてわかりやすいです。 気になるのは、このスウィーニー・シリーズは4冊出版されていて、最後のものは2006年なのですがまだ日本で翻訳されていません。ちょっと風変わりな作風なので、最初の2冊だけで終わりになってしまうのではないかと危惧しています。緻密で大変すぐれたミステリだと思うので、あとの2冊もぜひ翻訳出版をお願いしたいところです。 | ||||
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米国ハーバード大学の芸術・建築史学科に勤める助教授スウィーニー(女性)が主人公の現代ミステリーです。彼女の研究テーマは墓石の芸術というかなり珍しいもので、この設定が彼女の活躍する世界を形作る核となっています。 事件の発端はまさに彼女の研究テーマである墓石。奇妙なモニュメントのある墓石が、彼女を事件の舞台である芸術家村へと誘います。芸術家村というのは19世紀後半から20世紀前半におこったムーブメントで、芸術志向の田園回帰運動といった所でしょうか。 本書は物語の設定からして芸術色が濃く、さらには文学なども織り交ぜた格調高い雰囲気が一番の魅力となっています。こうした知的な断片が雪の中の芸術家村に潜む謎(ミステリー)を盛り上げています。 難点を挙げるとすれば、随所に登場する芸術、文学作品に対する解説はほとんどないため、それらの知識の無い読者にとっては極めてイメージしにくい世界になっている点です。特に、芸術というのは目で見るということが前提のものですから、それを言葉だけでイメージするのは難しいです。こうした要素を、単に物語を彩るスパイスとしてその表面的な雰囲気だけを酌みつつ読み進めてもいいと思いますが、この世界観をもっと味わうことができたら・・・と自身の無教養を嘆いてしまいました。 | ||||
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米国ハーバード大学の芸術・建築史学科に勤める助教授スウィーニー(女性)が主人公の現代ミステリーです。彼女の研究テーマは墓石の芸術というかなり珍しいもので、この設定が彼女の活躍する世界を形作る核となっています。 事件の発端はまさに彼女の研究テーマである墓石。奇妙なモニュメントのある墓石が、彼女を事件の舞台である芸術家村へと誘います。芸術家村というのは19世紀後半から20世紀前半におこったムーブメントで、芸術志向の田園回帰運動といった所でしょうか。 本書は物語の設定からして芸術色が濃く、さらには文学なども織り交ぜた格調高い雰囲気が一番の魅力となっています。こうした知的な断片が雪の中の芸術家村に潜む謎(ミステリー)を盛り上げています。 難点を挙げるとすれば、随所に登場する芸術、文学作品に対する解説はほとんどないため、それらの知識の無い読者にとっては極めてイメージしにくい世界になっている点です。特に、芸術というのは目で見るということが前提のものですから、それを言葉だけでイメージするのは難しいです。こうした要素を、単に物語を彩るスパイスとしてその表面的な雰囲気だけを酌みつつ読み進めてもいいと思いますが、この世界観をもっと味わうことができたら・・・と自身の無教養を嘆いてしまいました。 | ||||
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