(短編集)
水平線がきらっきらっ: さすらいのキャンパー探偵
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辰巳翔一がこのようにシリーズ化されるなんて、かつての『春になれば君は』『虚国』ではもちろん想像だにしなかった。辰巳は固定した事務所で活躍する探偵というより、訪れた土地で副業的に巻き込まれるタイプの探偵と言う印象。これを決定づけたのが『虚国』であった。廃墟カメラマンが主業……と呼べるかどうかは収入の多寡から計れば疑問があるにせよ(苦笑)……だが、辰巳翔一イメージには、車を使った旅するハードボイルドのイメージを既に埋め込まれているような気がする。 だからこうして連作中編小説集となる定めは予期すべきことであったかもしれない。かつてより香納諒一は短編小説の名手として個人的には高く評価しているつもりだが、初期にこそ多かった短編作品は滅多に読む機会がなくなってしまった。長編小説が多いのも、表現したいこと、書きたいことが年齢を重ねるにつれ増えてきたのではないか、と想像されるが、かつての優れた短編群への愛着は忘れ難い。 作家として決して多作ではなく、一行一行を丹念に紡ぐ作家であるからこそ短編で腕を見せてくれるのだと、ぼくは思い、そう評価している。商売っ気に走って安っぽい作品を乱造する多くの出版界に生息する作家たちの模倣をせず(きっと出版界出身の作家だからその辺りの塩梅がわかるんでしょうね)、良作を常に己に課してきた歴史が今も、長編であれ、中編であれ、魂のこもった作品作りに繋がっているのだと思う。 三ヶ月連続で、かつで雑誌連載されていた中編シリーズの刊行となった本書はその第二作。辰巳翔一の個性というよりも、彼を媒体にした物語群だなあと感じた。このさすらいのキャンパー探偵を介さなくても出来上がりそうな作品ばかりだけど、二作目の大型トラック集団を持ち出したところなどは、ロードノベル短編小説としても切れ味があるので、今後追及して頂きたかったり、と内心思うところ。 また表題作も、実は辰巳はルポライター的存在にとどまり、事件も解決も渦中の集団内で解決している。ただ彼らの言葉の中からそのコアな部分を嗅ぎ出しヒントを与えてゆく役割としてのさすらい探偵の存在が、このシリーズの醍醐味なんだろうと思われる。 さすらいの果てであれ途上であれ、辰巳翔一の現在を描く長編小説にも期待したくなる佳品ぞろいのこのシリーズ。香納ファンとしては眼を放してはいけない路程標みたいな存在に、ぼくには思えてならないのである。 | ||||
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※以下の内容には【ネタバレ】が含まれる可能性があります 車中での料理や星空観察など,胸が躍らされたキャンパー要素はだいぶ減っており, その愛車のワーゲンバスについても,ほぼ街中の移動手段の扱いで登場自体が少なく, 三話とも違う土地ではあるのですが,『さすらい感』も薄れてしまったように映ります. 一方,過去に囚われた人々の苦悩と再生という,軸の部分は 前巻 と同じに映るものの, 登場人物やその境遇に今ひとつ入り込めず,嫌悪感の方が先に来てしまう話がいくつか. また,映画や楽曲からと思しき各話のタイトルは,知らないものもあってピンとは来ず…. 絡み合う人と時間や,それで良かったのかなど,どの話も読ませてはくれるのですが, 大きな魅力を削ったために,普通のハードボイルド・ミステリになってしまった印象で, キャンプばかりともいかないのでしょうが,どうしてもそこが残念に感じてしまいました. | ||||
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