ボグ・チャイルド
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あらすじ
1981年、北アイルランド。国境近くの村に暮らす高校生・ファーガスは、紛争が続くこの土地から離れて、イギリスの大学で医者になることをめざしてい た。ある日、こづかい稼ぎに泥炭の盗掘にでかけた湿地〈ボグ〉で、少女の遺体を発見する。泥炭の作用で生々しく保存された遺体には、絞殺の跡があった。 一方、アイルランド独立をめざす兄・ジョーは、獄中でハンガー・ストライキを敢行。死へのカウント・ダウンがはじまる。故郷への思いと、自由への渇望と のあいだで揺れる ファーガスは、兄の命をかけて、ある決断をする……。 湿地の少女〈ボグ・チャイルド〉の死の真相とは? ファーガスは、その手に未来をつかめるのだろうか?2009年カーネギー賞(英国)受賞の話題作、 待望の邦訳!(「BOOK」データベースより)
評判
ボグ・チャイルドの評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
ボグ・チャイルドの総合評価:
9.60/10点 レビュー 5件。
感想一覧
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1980年代、北アイルランドとアイルランドの国境近くの町に住む17歳のファーガスは、紛争の絶えない故郷から脱出して医者になることを目指し、勉学に励む高校生。ある日、偶然湿地(Bog)の泥炭に埋まった鉄器時代のものと推定される少女の遺体を発見する。ファーガスによってメルと名付けられた少女の遺体は、腐敗を免れ生々しく、その首には縄が巻き付き、背中には刺し傷がくっきりと残っていた。
少女の遺体の帰属と死因を巡って論争が起こる一方、北アイルランド紛争に関与して収監されているファーガスの兄、ジョーは獄中でハンガー・ストライキを始め、刻々とその死期が迫る。他方、兄の友人の策謀により、活動への関与を余儀なくされたファーガスはジョーの命を救うため、ある決断をする…。
北アイルランド紛争の渦中、行く末が見えない陰鬱で不気味なムードを通奏低音としつつ、若者の心の成長の軌跡を描く。罪のない人々がイデオロギーの犠牲となるさま、思想に殉じる若者の純粋さと理不尽さ、家族の懊悩など、残酷な現実の姿を描きつつも、ファーガスが夢に見るメルをめぐる悲劇に、一片の救いが用意されているように、ダウドは、暴力と矛盾に満ちた時代を打開する力や希望を、未来を担う若者に託したかったように思える。
ジュヴナイル小説と位置付けられている本作であるが、内包するテーマは重く、一般小説にカテゴライズされても何ら違和感のない、大人の鑑賞に耐えうる秀作である。