パーフェクト・ライフ
- 精神科医 (98)
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本業の企業弁護士から転進して活躍を続ける遅咲きのアメリカ新進ミステリー作家スチュアートの本邦初紹介となる力作長編サスペンスです。本書のタイトル「パーフェクト・ライフ」には主人公の将来を嘱望される若き精神科医の卵スコット・トーマスが何者かに嵌められて殺人事件の容疑者にまで転落してしまう散々な運命を自ら評して「完璧な人生だな」と自嘲気味に呟く皮肉な意味が込められていますが、私が考える一番の読み所はそんな不運な彼であっても冷たく見捨てずに温かく救いの手を差し伸べてくれる二人の男女の友情と愛情に満ちた心模様がしみじみと感じ取れる真摯な人間ドラマです。 不自然な車の盗難事件に続いて何も盗まない侵入盗と奇妙な被害に遭った若き精神科医の卵スコットは、やがて受け持ちの女性患者が病院内で殺される事件が起き何時の間にかその容疑者にされてしまう。偶然にも途方に暮れる彼を助けてくれた黒人老ブルースマンのキャノンボールの助言を受けながらスコットは自らも正体不明の敵を突き止めるべく調査を開始し反撃に出るのだった。 本書はミステリーとしては最初から「フーダニット」ではなく「ホワイダニット」なのかな?と思わせておいて実は・・・・という趣向なのですが、正直言ってそのどちらの部分も意外性は少なく大きな驚きは味わえませんでした。冷静に考えると途中で犯人にあまりにも都合の良過ぎる展開になったり、最後にあっさり主人公が危険を逃れ自由になるのが不思議に思えたりと、細部にまで神経が行き届かず詰めの甘い荒削りな印象が残る筋立てなのですが、それでも著者は随所に意表を突いて常識をくつがえす小さなサプライズを仕掛けて読者の目をハッと開かせてくれます。帯に書かれた「一気読み必至」の言葉に偽りはなく、凶悪な敵に対し無力な素人でも不眠不休で必死に苦闘する主人公の熱気と迫力に引き摺られ誰もが時間も忘れて熱中し気づけば読み終えている事でしょう。スコットの協力者の黒人老ブルースマン・キャノンボールが見せた世渡り上手で頼もしく強かな実力には渋い大人の魅力を感じましたし、病院のIT部門担当の女性ナタリーが人間性の善悪を瞬時に判断し自らを犠牲にしてまで相手を助けようとした無私の行為には単純な男女の愛だけで計れない人としての情け深さを感じ強く心を揺さぶられました。また本書の陰の主役とも言える途中まで謎のストーカー男の複雑で理解し難いけれど善悪両面の性格を併せ持つダークな魅力には強く心惹かれもう一度会いたいと誰もが望む事でしょう。 諸々の理由から本書は決して完璧な出来とは言えませんが、読み手の心を打つ情感溢れる人間ドラマには素晴らしい物があり著者の非凡な才能を感じさせますので、これからも本書に続いて他作品の紹介が進んで行く事を期待したいと思います。 | ||||
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