かつぎ呉服で元盗賊の伊之助は、往来で二人の侍に絡まれている踊りの師匠小鈴を助けた若い浪人に惚れ込んだ。

大枚千両を使い江戸で道楽修業してこい。小田原の豪農である父親から途方もない宿題を与えられ、若き夢介は旅立った。

剣に驕った我が身を恥じて隠居を選んだ浪人・浅香伝八郎。

スリにあっても気づかず、「わしは最近まで頭の病気で座敷牢にいたからな」と自嘲する浪人・福は内福太郎。

銚子の網元灘喜のせがれ・喜太郎は、おとなしくしていれば若だんなで苦労知らずだったが、なまじ剣術や柔術で腕力をつけたのが災いして、凶状持ちになってしまった。

明石藩十万石の当主松平直之助は、小名木川の下屋敷に若隠居の身。

世のため人のためならば、貧乏でも浪人暮らしが性に合うという曽我平九郎、剣は強いし情にも厚い。

時の将軍家斉の子、斉忠を藩主に押しつけられ、若隠居の憂き目を背負わされた松平鶴三郎。

西国某藩の藩士だった黒潮太郎は藩船で江戸へ向う途中、出世のために許婚を横取りしようとする同輩に海に突き落とされた。

“浜町の火薬”の異名をとる五千石の旗本格・松平鶴七郎ー。

思いもよらず、生涯浪人で終わらなければならない因果を背負ってしまった比良雪太郎。

たのまれると後へは引けない浪人・南堂源八。

「巷説に出てくる遠山の金さんは好きだ。

この「又四郎行状記」は、「鬼姫しぐれ」「美女峠」「又四郎笠」の３部作からなり、戦後の時代小説不遇の折に「夢介千両みやげ」とともに時代小説のエポック・メーキングとなった、山手文学の代表作。

浪人・古賀新三郎は神田の小料理屋で尼ヶ崎藩の鷲尾軍兵衛という若侍に因縁をつけられ、思わぬ騒動に巻き込まれる。

桑名十一万石の若殿、松平千代三郎。

天下の剣客、千葉周作道場に突如現れた一人の美貌の剣士。

丹波亀山家五万石の家老、鶴田礼三郎は大きな悩みを抱えていた。