廓に上がらず、吉原で金を使わない地廻りと呼ばれる男の骸が切見世で見つかった。

花魁・薄墨太夫に驚きの運命が訪れた。 幹次郎と汀女、薄墨改め加門麻は、思いがけぬ新しい生活を始めたのだった。

吉原の用心棒神守幹次郎を、豊後岡藩から二人の侍が訪ねてきた。かつて出奔した旧藩に復帰せよとの話に、幹次郎は戸惑う。

鎌倉の旅から帰った裏同心の幹次郎らは、玉藻と正三郎の祝言を控え、忙しい日常に戻る。

京での修業先が決まった幹次郎と麻。その新生活は不穏な空気に包まれていた。

寛政五年十月、江戸を見舞った大火事のあと、吉原に大勢の客が押し寄せる。

禁裏の刺客・不善院三十三坊を斬った幹次郎。その直後から、禁裏と、ある西国の雄藩の影が祇園の町にちらつきはじめる。

江戸・吉原で、評判の遣手らが不可解な辞職をし、相次いで姿を消した。

さまざまな人生の交差する吉原で二十年余、按摩稼業で身を立てていた孫市が殺害された。

札差の筆頭行司を巡る争いが激化する御蔵前で、当代の伊勢亀半右衛門宛てに不可解な投げ文が届く。

凶作のため高岡藩の米収穫高も例年の七割しかなく、藩財政がさらに困窮することが予想された。

吉原を過去最大の危機が襲う。会所頭取、四郎兵衛の無残な姿。

吉原会所の頭取四郎兵衛の傷がようやく癒えた折り、またも吉原が脅威にさらされた。

端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。

吉原遊廓の陰の用心棒・神守幹次郎は、姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯して客と床入りをしているとの噂を聞く。

久しぶりに幹次郎を訪ねてきた左吉。身代わりで入牢した間に財産を盗まれたという。

吉原裏同心・幹次郎の前に、人喰い猿を連れた三人の武芸者が現れる。男たちは廓に乗り込み、遊女を殺し金銭を奪う悪行に及ぶ。

虚栄と粋と張りを競い合う吉原が炎上、仮宅商いを余儀なくされた師走。遊女・花蕾が行方を断った。

遊女たちの髪洗いの日、千惷楼でお職を張る女郎莉紅が客と心中した。

高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。

吉原会所の裏同心神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五歳の浅草弾左衛門に面会した。

長く廓の用心棒であった神守幹次郎が吉原を率いる八代目頭取四郎兵衛に就任、御免色里の大改革が始まった。

女髪結おりゅうの妹で髪結見習いのおきちが不審な客に狙われているという。

吉原遊廓の裏同心・神守幹次郎は、表向きは謹慎を装い、元花魁の加門麻を伴う修業の旅に出た。

浄心寺改築で己の懐を肥やし、なおかつ正紀、正広を世子の座から追い落とそうと、正棠一派が悪巧みを進めていた。

富岡八幡の相撲見物で浮き立つ十一月。吉原で最近人気の半籬に脅し文が投げ込まれた。

江戸・三十間堀の小さな町道場が、怪しい証文を盾にした男たちから狙われている。

天明八年正月、京で大火が発生、吉原を狙った島原の勢力は力を殺がれたかに思われた。

年が明けた吉原で、客の懐中物や花魁の櫛笄が次々に盗まれる騒ぎが続いた。

早朝の浅草寺で、廓の用心棒神守幹次郎は血の臭いをまとうふたりの男とすれ違う。

京の袋物問屋の隠居・又兵衛と知り合った空也は、大和国室生寺に向かう一行と同道することになった。

かつて花魁を務め、今は切見世に落ちた女郎の白川が斬殺された。

日本橋に現れた、誰より走るのが速い若侍。

再建前夜の吉原。幼い孫娘のおみよを連れ、地蔵を背負った遍路が現れた。

神守幹次郎・汀女夫婦は、札差の伊勢亀半右衛門から薄墨太夫との川遊びに誘われるが、それを機に新興札差・香取屋武七の魔手が忍び寄る。

京の都。祇園感神院の西ノ御門前で空也は、往来の華やかさに圧倒されていた。

安永五年、豊後岡藩の馬廻り役・神守幹次郎は、意に沿わぬ婚姻に苦しむ納戸頭の妻・汀女と出奔した。

天明八年の正月、吉原にある引手茶屋の沽券が次々売り渡される事態が発生。

日本橋小伝馬町の牢から出された一人の男。名は夏目影二郎という。

安芸広島城下で空也は、自らを狙う武者修行者、佐伯彦次郎の存在を知る。

玖珠山中に暮らす刀研ぎの名人「滝の親方」は、小籐次にそっくりだという。

数年にわたって修行の日々を過ごした西国を去ることに決め、福江島から船に乗り込んだ空也は、長州藩の萩城下に降り立った。

森藩藩主の命により、参勤交代に先行して国許の豊後国を訪れることになった小籐次。

淀川を襲う激しい嵐から人々を救うため、来島水軍流・剣の舞を天に奉納する小籐次・駿太郎親子。

豊後関前藩の若き武士３人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。

大志を抱き切磋琢磨した友を喪い、豊後関前藩を出奔した坂崎磐音は、江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る。

小籐次の想い人おりょうに持ち上がった、二千四百石の高家・畠山頼近との縁談。おりょうは不安と不審を小籐次に吐露する。

久慈屋の大番頭、観右衛門の依頼で芝神明大宮司、西東正継を助けることになった小籐次。

侮辱された主君の恥を雪ぐため、大名四家の御鑓先を強奪する騒ぎを起こした小籐次は、紙問屋久慈屋の好意で長屋に居を構え、研ぎを仕事に新たな生活を始めた。

安永二年、深川の夏祭りをめぐって、地元の親分の間で起こった諍い。

当代随一の女形・五代目岩井半四郎と知り合い、再三、芝居への招きを受けていた小籐次。

かつて仕えた森藩の呼び出しに応じ、旧主・久留島通嘉と面会した小籐次は、思いがけず若き日の悪さ仲間だった松野藩藩主・松平保雅の窮地を救うよう依頼された。

江戸で有名な盗人「鼠小僧」は自分だ、とついに明かした子次郎。

武者修行中の嫡子・空也の身を案じる江戸の坂崎磐音のもとに、長崎会所の高木麻衣から文が届く。

ほの明かり久慈行灯の製作指南と、手代の浩介の婿入りが決まったことを報告するため、小籐次は久慈屋の面々と水戸に向け旅立った。

自ら考案した行灯づくりの指南に水戸に行くことになった小籐次。だがなぜか、同行者の中に探検家・間宮林蔵の姿が。